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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十二章 進む近代化

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第222話 ディーゼルジドウシャ

 それから、また、季節(きせつ)二巡(にじゅん)した(ころ)

 リノアさんは第二子を出産(しゅっさん)していた。ユキムラにとっては、待望(たいぼう)跡取(あとと)息子(むすこ)誕生(たんじょう)になる。

 私にとっても、記念(きねん)すべき十代目の直系(ちょっけい)子孫(しそん)誕生(たんじょう)である。

 一族(いちぞく)伝統(でんとう)(のっと)り、私がヨシヒロと命名(めいめい)した。

 ユキムラの息子(むすこ)ということで、戦国(せんごく)時代(じだい)名将(めいしょう)(つな)がりで島津(しまづ)義弘(よしひろ)から名前をいただいた。(おに)島津(しまづ)と敵から畏怖(いふ)されるほどの武将(ぶしょう)だったので、いつかは名付けてみたいと(あたた)めていたものでもある。

 島津(しまづ)義弘(よしひろ)は、敵からは(おそ)れられたのだが、人たらしの才能(さいのう)(あふ)れていたため、みんなをひきつける人物になって()しいとの(ねが)いの意味もある。

 ヨシヒロは金髪(きんぱつ)に茶色い(ひとみ)の、お母さんによく()た元気な赤ちゃんだ。

 ニーナは(おい)っ子の誕生(たんじょう)(よろこ)び、(ひま)を見つけてはヨシヒロをあやしている。

 それはいいのだが、そのあやし方がちょっと独特(どくとく)なものになっていた。

「ほーら、ヨシヒロ。この魔道具はここを(さわ)るとこう動くのよー。面白(おもしろ)いでしょ?」

 この、相変(あいか)わらずの魔道具バカっぷりは、どうにかならないものかと私は少し(あたま)(かか)えていた。

 しかし、ヨシヒロもそれでキャッキャと(よろこ)んでいるので、将来(しょうらい)(たの)しみなような、ちょっと(こわ)いような。

 また、この(ころ)になると、ディーゼルエンジンの開発もほぼ終わっていて、(あら)たな自動車の試作(しさく)一号機(いちごうき)が完成していた。

 今はそれを使っての実地(じっち)試験(しけん)()り返されており、細かい問題点などの(あら)い出し作業が続いている。

 魔力ジドウシャからの(つな)がりということで、この車は「ディーゼルジドウシャ」と命名(めいめい)されていた。

 ちなみに、この(ころ)には、「ごむたいや」の一般(いっぱん)販売(はんばい)も始まっていたのだが、このディーゼルジドウシャには今までの(だい)用品(ようひん)が使われている。

 生産量(せいさんりょう)関係(かんけい)で、まだまだ「天然(てんねん)ごむ」が非常(ひじょう)高価(こうか)だったためである。

 開発されたディーゼルジドウシャはトルクなどの性能(せいのう)が低かったこともあり、大昔の安っぽいオープンカーのような形状(けいじょう)になっていた。

 少しでも車体(しゃたい)重量(じゅうりょう)(かる)くするために、屋根(やね)などが布製(ぬのせい)だったのだ。

 変速(へんそく)ギアは()段階(だんかい)しかなく、これとバックギアを(ふく)めた三段(さんだん)変速(へんそく)のトランスミッションも開発されていた。

 実はエンジン本体よりも、こちらの開発の方が難航(なんこう)していたのである。

 私の知識(ちしき)の中には、クラッチなどの構造(こうぞう)(かん)するものがなかったので、手探(てさぐ)りで開発する必要(ひつよう)があったのだ。

 苦心(くしん)惨憺(さんたん)(すえ)にようやく開発されたディーゼルジドウシャではあるが、現在のところ、(せい)能面(のうめん)では魔力ジドウシャには(およ)ばなくなっている。

 そのため、廉価版(れんかばん)としての販売(はんばい)目指(めざ)している。

 ちなみに、担当(たんとう)キョウジュの一人から、ディーゼルジドウシャの工房を立ち上げたいと、相談(そうだん)を持ち()けられていた。

 新工房の建設(けんせつ)には巨額(きょがく)投資(とうし)必要(ひつよう)になってくるため、私に代表になって()しいと言われていたのだ。

 しかし、これ以上、肩書(かたがき)()やしてしまうと私が(こま)るため、丁寧(ていねい)にお(ことわ)りをしていた。

 それでも(あきら)め切れない彼と協議(きょうぎ)を続けることになり、結局(けっきょく)、私は会長(かいちょう)(しょく)のような名誉(めいよ)(しょく)就任(しゅうにん)することが決まってしまった。

(これは、投資(とうし)専門(せんもん)(おこな)う、銀行(ぎんこう)制度(せいど)を作らないといけないかもしれませんね……)

 私はそのように(かん)じていた。

 しかし、銀行(ぎんこう)業務(ぎょうむ)には、高度(こうど)専門(せんもん)知識(ちしき)技術(ぎじゅつ)必要(ひつよう)になってくるはずだ。

 それらを持ち合わせていないド素人(しろうと)の私がやったとしても、うまくいくとはとても思えないため、残念(ざんねん)ながら(あきら)めることにした。

(今後の平民の発展(はってん)期待(きたい)ですね。(だれ)かが思いつくかもしれませんし)

 ちなみに、(あたら)しいジドウシャ工房の名前を相談(そうだん)された時、(ぼう)有名(ゆうめい)国産(こくさん)メーカーの名前がふとよぎったのだが、なんとなく、それを口にするのはやめておいた。

 この世界では関係(かんけい)がないのだが、気持ち的な問題(もんだい)で、登録(とうろく)商標(しょうひょう)勝手(かって)に使うのが躊躇(ためら)われたのだ。

 そのため、何の(ひね)りもなくヒデオジドウシャと命名していた。

 これが後のトップメーカーとなり、私の名前を(かん)した会社が有名になっていくにつれ、()ずかしさで悶絶(もんぜつ)するはめになるのである。

 この時の私は、そのことにまだ気づいていなかった。


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