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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十二章 進む近代化

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第213話 有線放送

 それから、また、四年ほどの歳月(さいげつ)が流れ()った(ころ)

 六十七歳まで頑張(がんば)ってくれていたイサミが、ついに天へと旅立(たびだ)っていった。

 今回も私を見て()(くず)れている家族を背後(はいご)にしながら、微笑(ほほえ)みながらの見送(みおく)りに成功(せいこう)していた。

 また、この(ころ)になると、デンワも少しずつ普及(ふきゅう)を見せ始めていた。

 実験(じっけん)段階(だんかい)で最初に設置(せっち)していた私へのホットラインは、交換局(こうかんきょく)を通さずに専用(せんよう)回線(かいせん)を使うようになっていて、いつでもボタン一つで私を()び出せるように改造(かいぞう)がなされていた。

 ヨシツネは、少し(もう)(やく)なさそうな(かお)をしながら、以下の(よう)説明(せつめい)してくれていた。

「いつでも大おじい様を()び出せるこの専用(せんよう)回線(かいせん)が、私にとっては、とてつもない安心感(あんしんかん)になっているのです」

可愛(かわい)子孫(しそん)にそこまで(たよ)られてしまっては、(いや)だとはとても言えませんね……)

 私はそんな感想(かんそう)(いだ)いていた。

 また、ダイガクのある研究者が、私には思いつかなかったマイクとスピーカーの使い道を発見(はっけん)してくれていた。

 領民への一斉(いっせい)放送(ほうそう)に使われている大音量(だいおんりょう)スピーカーと放送局(ほうそうきょく)を見て、これを小型化(こがたか)して各個人の家にそれぞれ設置(せっち)する方法を思いついたのだ。

(なるほど、有線(ゆうせん)放送(ほうそう)のラジオというわけですか)

 私はとてもいいアイデアだと思ったのだが、どうしても解決(かいけつ)できない案件(あんけん)があると、開発者から相談(そうだん)を受けていた。

「これを使えば、各家庭(かくかてい)放送(ほうそう)(とど)けられます。しかし、これを使ってどうやってお金を(かせ)ぐのかが、どうしても分からないのです」

 そう言って、深刻(しんこく)(かお)をしながら、開発者の彼は話を続ける。

各家庭(かくかてい)から料金(りょうきん)徴収(ちょうしゅう)するにしても、それほど高額(こうがく)設定(せってい)するわけにはいきませんから、設備(せつび)投資(とうし)金額(きんがく)回収(かいしゅう)できないのです……」

 私は一つ(うなず)きを返し、解決(かいけつ)(さく)伝授(でんじゅ)することにした。

簡単(かんたん)ですよ。『コマーシャル』、いえ、放送(ほうそう)合間(あいま)宣伝(せんでん)(はさ)めばいいのです。そして、放送(ほうそう)時間帯(じかんたい)などによって金額(きんがく)変動(へんどう)させ、宣伝(せんでん)(もう)()んだ企業(きぎょう)からお金を回収(かいしゅう)すればいいでしょう」

 これは彼にとっては新しい考え方になったようで、納得(なっとく)できない様子(ようす)が見て取れる。

「そんなものに、巨額(きょがく)資金(しきん)(はら)う人がいるのでしょうか?」

 そこで、私はある折衷(せっちゅう)(あん)(てい)()してみることにする。

「では、こうしましょう。まずは、全ての放送枠(ほうそうわく)をヒデオ工房で買い取ります。そこで商品の宣伝(せんでん)実際(じっさい)に流します。目端(めはし)()くものであれば、きっと食いつくこと間違(まちが)いなしですよ?」

 彼もこれには納得(なっとく)してくれたようだ。(うなず)きながら同意(どうい)してくれる。

「分かりました。その方向(ほうこう)でやってみます」

 そこで、私は少し冗談(じょうだん)めかして以下の(よう)に言ってみる。

「ただ、いかなヒデオ工房でも、宣伝(せんでん)巨額(きょがく)費用(ひよう)はかけられませんので、できればお安くしてくださいね?」

 そして、彼と二人で微笑(ほほえ)み合った。

 それからしばらくすると、ガイン自由都市で(はつ)となる有線(ゆうせん)放送局(ほうそうきょく)開局(かいきょく)された。

 それは、たちまちにして、領民たちの話題(わだい)に上がるようになっていた。

 そして、ヒデオ工房と関連(かんれん)企業(きぎょう)の商品が放送(ほうそう)合間(あいま)宣伝(せんでん)されていたため、それらの売り上げが激増(げきぞう)することになったのであった。

一般(いっぱん)企業(きぎょう)からのコマーシャルの(もう)()みも、思ったより早く実現(じつげん)しそうですね)

 私は(たし)かな手ごたえと共に、(あら)たなガイン自由都市の名物(めいぶつ)となった有線(ゆうせん)放送(ほうそう)を聞いていたのであった。


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