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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第十二章 進む近代化

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第208話 とらんじすた

 それから、季節(きせつ)がまた一巡(いちじゅん)した(ころ)

 五十五歳になっていたイサミは引退(いんたい)決意(けつい)し、ヨシツネへと領主の()(ゆず)った。ここでも一族の伝統(でんとう)(のっと)り、初代の私の目の前で引継(ひきつ)ぎが(おこな)われた。

 八代目領主となったヨシツネは、以下の(よう)抱負(ほうふ)(かた)っていた。

「大おじい様の理想(りそう)とする都市が、どこまでのものになるのか、私には理解(りかい)しきれていません。ですが、それでも、私の代でなるべく実現(じつげん)させたいと思っています」

 そんな、とても(うれ)しいことを言ってくれていた。

 そして、この(ころ)。私を狂喜(きょうき)乱舞(らんぶ)させる研究(けんきゅう)成果(せいか)が、ついに発表(はっぴょう)されていた。

 ゲルマニウムを(もち)いた、ダイオードが開発されたのである。実に六十年以上の歳月(さいげつ)をかけた基礎(きそ)研究(けんきゅう)が、ついに()(むす)んだのだ。

 ちなみに、半導体(はんどうたい)を作るためには、純度(じゅんど)の高いゲルマニウムやシリコンの結晶(けっしょう)をいったんは作る必要(ひつよう)がある。

 しかし、それだけであれば、実はそれほど意味(いみ)がない。

 これらの結晶(けっしょう)に、わざとアルミニウムやリンなどの不純物(ふじゅんぶつ)を、少量(しょうりょう)()()む。この時に()ぜるものによって、p型やn型と呼ばれる半導体(はんどうたい)が作成できるのである。

 そして、これらを組み合わせることによって、ダイオードなどの基礎的(きそてき)電子(でんし)部品(ぶひん)が作成できるようになるのだ。

「ですが、名誉(めいよ)学長(がくちょう)。これが、そこまで(よろこ)ばれる成果(せいか)になるとは、とても思えないのです。私たちには、どうにもこれの使い道が分からないのですよ……」

 このように、開発者のキョウジュは(かた)っていた。

 元々ダイオードは、交流(こうりゅう)発電所(はつでんしょ)を作った時のためにと、開発していたのが始まりだ。

 電流(でんりゅう)を一方向にしか流さないこのダイオードを、直流(ちょくりゅう)電源(でんげん)を使っている現在(げんざい)電気(でんき)製品(せいひん)で使うところが分からないと言われた。

「『ダイオード』だけなら、そうかもしれません。ですが、この『半導体(はんどうたい)』の技術(ぎじゅつ)があれば、比較的(ひかくてき)簡単(かんたん)に『トランジスタ』が作れるようになるのです。そして、この『トランジスタ』があれば、安価(あんか)なデンキ式のデンタクが作れるようになります」

 トランジスタさえあれば、比較的(ひかくてき)容易(ようい)加算器(かさんき)減算器(げんざんき)、フリップフロップと()ばれる記憶(きおく)素子(そし)が作れるようになる。

 私の前世での専門(せんもん)はソフトウェアだったと思われるため、ハードウェアについては、ごく基本的(きほんてき)内容(ないよう)しか記憶(きおく)していない。

 しかし、これら三つの回路図(かいろず)については、その基本的(きほんてき)内容(ないよう)(ふく)まれているらしく、私の記憶(きおく)(そん)(ざい)していた。

 そして、これら三つの回路(かいろ)を組み合わせれば、本物(ほんもの)電卓(でんたく)電子(でんし)卓上(たくじょう)計算機(けいさんき)が作れるはずだ。

 ()け算とは()し算の()り返しであるし、()り算とは引き算の()り返しになる。

 つまり、四則(しそく)演算(えんざん)のそろった電卓(でんたく)作成(さくせい)可能(かのう)になるのだ。

 地球の歴史(れきし)では、真空管(しんくうかん)や、リレーと()ばれる物理的(ぶつりてき)なスイッチを利用した計算機(けいさんき)(じゅん)に作っていた。そして、真空管(しんくうかん)やリレー式の計算機(けいさんき)は、かなり大きなものになってしまう。

 しかし、トランジスタがあれば、それらを一気に()ばして、(つくえ)の上に()るサイズのものが作れるようになるのである。

 また、トランジスタを利用すれば、電流(でんりゅう)を、見かけ上、増幅(ぞうふく)させることもできるようになる。これは、アンプとして使えるため、スピーカーやマイクも作れるようになるだろう。

「さあ、次の(ゆめ)の広がる研究を、早速(さっそく)、開始しましょう!」

 私は研究者たちに発破(はっぱ)をかけ、(あら)たな(ゆめ)に向かっての邁進(まいしん)を続けるのであった。


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