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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第八章 学校教育の推進

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第156話 ふしだらな大おじい様

 それから、さらに季節が一巡(いちじゅん)した(ころ)

 十六歳になっていたフィーナとティータが、仲良く私の里へと旅行していた。

「「ここが、森の隠れ里デスか……」」

 二人が独特(どくとく)語尾(ごび)でハモりながら感想を()べている。

 同じ語尾(ごび)でずっと会話を続けている様子(ようす)は、はたから見ていれば、仲の良い双子(ふたご)の姉妹にしか見えない。

 今回は、比較的(ひかくてき)順調(じゅんちょう)に旅が進んでいたため、夕食までには若干(じゃっかん)の時間の余裕(よゆう)があった。そのため、祭司長の小屋(こや)にて、私が外の世界の出来事(できごと)面白(おもしろ)おかしく(つた)えながら会話を楽しんでいた。

 そんな私と祭司長の様子(ようす)を二人は見ていたのだが、やがてフィーナがティータにヒソヒソと話し始めた。

「この二人、(なか)が良すぎませんデスか?」

「まるで老夫婦の貫禄(かんろく)デスね」

「でも、それだと、クリスさんはどうなるデス?」

「はっ……。もしかして、デス」

「何か分かったデスか?」

 最初はヒソヒソ話だったので、私は聞こえないふりをしていたのだが、少しずつ声量(せいりょう)()していき、このあたりでヒートアップしすぎたのか、結構(けっこう)な大声でティータが(さけ)んだ。

「大おじい様は、各地に現地妻(げんちづま)を作るふしだらな人だったデスよ!」

「それデス! 大おじい様はふしだらだったデス!」

 とんでもない言いがかりを受けた私は、思わず(ひたい)に手を当て、天を(あお)いだ。

 私の現地妻(げんちづま)(あつか)いをされた祭司長はどんな様子(ようす)だろうと、そちらをチラリと(うかが)ってみると、腹を(かか)えてカカ大笑(たいしょう)していた。

(ああ……。やっぱり、私は、異性(いせい)としては意識(いしき)してもらえていませんね)

 私はそんな感想(かんそう)(いだ)いていた。

 (かな)しくなるのかとも思ったのだが、全く動揺(どうよう)していない自分に気づき、少し(おどろ)いていた。

 そんなことを考えていると、ふと、クリスさんの笑顔(えがお)()かんできた。

(次にクリスさんがやって来るのは、いつ(ごろ)でしょうかね?)

 そこまで考えを進めて、はっとなった。

(私はいつの間にか、クリスさんと会える時を楽しみに待つようになっていますね……)

 (みずか)らの心の(うち)で、クリスさんの存在が、思っていたよりも(はる)かに大きくなっていることに気づかされた。

(私の心の内堀(うちぼり)も、もう(すで)相当(そうとう)()め立てられてしまっていますね)

 そして、これからのことに思いをはせる。

(今度こそ、時が来たら、私の方からクリスさんに……)

 私はあることを、クリスさんに(もう)()むことを心に決めた。

 このようにして、私に不名誉(ふめいよ)なあだ名が増えそうな一日が、ごくごく平和(へいわ)()に過ぎていった。


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