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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第七章 ガイン自由都市

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第128話 大おじい様

 (いま)だ、ガイン自由都市軍の設立の熱狂(ねっきょう)()めやらぬ(ころ)

 クレアさんは第二子を出産(しゅっさん)した。生まれた子供は女の子で、後にリズと名付けられた。

 銀髪(ぎんぱつ)に緑の(ひとみ)という、お母さんにとても良く()たかわいらしい女の子だ。

 お兄ちゃんのカズシゲとは(こと)なり、しずしずといった感じで泣く、少しおとなしい感じの赤ちゃんだ。

 三歳になっていたカズシゲは、妹ができたことをとても(よろこ)んでいた。

「大おじい様、(ぼく)はリズが守れるぐらい、強いお兄ちゃんになりたいです」

 カズシゲは体を動かすのが大好きなようで、いつも外を()け回っている。

 そして、妹ができたことで奮起(ふんき)し、シゲルに剣を(なら)いたいと(もう)し出たようだ。だが、さすがにまだ(おさな)すぎるため、もう少し大きくなってからと条件付(じょうけんつ)きで許可(きょか)をもらっていた。

 ちなみに、大おじい様というのは私のことだ。

 私の里の昔話(むかしばなし)をしていたとき、祭司長の()び名がひいひいひいおばあ様では長すぎると感じたため、大おばあ様と説明(せつめい)していた。

 そうすると、いつの間にか私の()び名まで大おじい様になっていたのだ。

 なんだか、祭司長と夫婦(ふうふ)になったようで少しこそばゆいのだが、悪い気はしないため、そのままにしている。

 また、この(ころ)には、私はカント将軍からガイン自由都市軍の訓練(くんれん)メニューについて、相談(そうだん)()けることもあった。

(むね)の熱さが残っているうちに、徹底的(てっていてき)(きた)え上げたいですからな」

 (てつ)は熱いうちに打て、ということらしい。

 そこで、私は、個人の武勇(ぶゆう)(かん)する訓練(くんれん)は将軍に全面的に(まか)せてしまい、連携(れんけい)訓練(くんれん)の重要性について()くことにした。

「個人が強いにこしたことはありませんが、軍として連携(れんけい)できるようになれば、その強さを何倍にもすることができます」

「それは分かるのですが、そこまで重視(じゅうし)するほどのことですか?」

 この時代の傭兵は魔物ばかり相手にしているため、人間同士の戦いについては不慣(ふな)れなことが多く、連携(れんけい)について重視(じゅうし)していない場合が多い。

 パーティ単位(たんい)のような少人数での連携(れんけい)はしているようだが、部隊(ぶたい)単位(たんい)での必要性が理解(りかい)できていないものが大半(たいはん)だろう。

 一部の傭兵が騎士団に(ひき)いられて盗賊(とうぞく)討伐(とうばつ)をしたことがあるぐらいの経験(けいけん)しかないのである。

 そのため、私は大きく一つ(うなず)いてから例を()げる。

「例えば、個々人でバラバラに戦っている集団と、お(たが)いが連携(れんけい)しあい、カバーしあって戦っている集団を比較(ひかく)してみてください。どちらが相手としてより厄介(やっかい)かは、すぐに答えがでると思います」

 私は別の例も()げる。

(ほか)には、軍として指揮官(しきかん)の命令をすぐさま反映(はんえい)できる場合、このような陣形(じんけい)を作って対応することも可能になります」

 私はそのように言って、(かく)(よく)(じん)(じゅう)深陣(しんじん)(ぎょ)(りん)(じん)などの説明を行った。

「なるほど。お貴族様には、そのような戦法(せんぽう)(つた)わっているのですか……」

 カント将軍は、うなりながら納得(なっとく)してくれた様子(ようす)だ。

 それからの彼は、(きび)しい訓練(くんれん)をガイン自由都市軍の各員に()していたが、誰一人として脱落(だつらく)することもなく、みんな訓練(くんれん)(はげ)んでいるらしい。

「初代様の演説(えんぜつ)()いていますからな。ガッハッハ」

 カント将軍は、そう言って笑いながら、いつも自軍がいかに精強(せいきょう)になってきているかを周囲に自慢(じまん)するようになっていった。


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