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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第七章 ガイン自由都市

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第118話 魔道具の父

 シゲルの婚約(こんやく)から、一年ほどが経過した(ころ)

 特に大きな問題もなく、つつがなくシゲルの結婚式(けっこんしき)を終えていた。

 ただ、結婚式(けっこんしき)直後(ちょくご)に、クレアさんは以下の様にシゲルに宣言(せんげん)していた。

「私と結婚(けっこん)したのですから、以後の浮気(うわき)は許しませんからね? 後、私が執務(しつむ)を手伝って差し上げますので、領主となった(あかつき)には、そのお仕事から逃げることも許しませんよ?」

 このように、何本もグサグサと(くぎ)を刺されまくっていたシゲルは、(うつむ)き加減で小さく(つぶや)いていた。

「これだから、結婚(けっこん)はまだしばらくしたくなかったんだよ……」

 しかし、それを耳ざとく聞きつけたクレアさんにひと(にら)みされただけで、小さく(ちぢ)こまってしまっていた。

 早くも(しり)()かれているようだが、女性が少し強いくらいの方が長く家庭(かてい)円満(えんまん)でいられるという話をどこかで聞いていたため、私は微笑(ほほえ)みながらその様子(ようす)(なが)めていた。

 それからの私は、ようやく完成に()ぎつけたデンタクの魔道具の販売に向けた準備に奔走(ほんそう)するようになる。

 最初に考えていた時よりもかなり安価(あんか)になったとはいえ、魔道具として考えてもかなり高額な商品になっていた。

 大きさもかなり小型化できていたのだが、それでも、フルタワーパソコンを四つ横に並べた程度(ていど)の大きさになっていた。

 また、ボタンの部分は、押しやすいように少し(なな)めに()()りを作っていた。

 これらの設計のため、重量も専用の台が必要になってくるほどの重さになっていた。

 しかし、計算ができる魔道具の(うわさ)は、(またた)()に広がりを見せるようになる。

 魔道具店で陳列(ちんれつ)されるようになったデンタクの前で、計算が得意なものを連れて来て、答えが本当にあっているのかどうかを何度も確認するものが(あらわ)れるなど、ちょっとした混乱(こんらん)もあったのだが、(うわさ)(うわさ)を呼び、生産が追い付かないほど売れに売れている。

 また、このデンタクもトッキョを取り、同時に発売された解説本(かいせつぼん)もチョサクケン登録をしていた。

 この(ころ)になると、トッキョの意味がようやく理解できたのか、ちらほらと、トッキョの申請(しんせい)をするものが増えてきていた。

 私がレイゾウコなどのトッキョは取得していたが、秘伝(ひでん)塗料(とりょう)合金(ごうきん)の製法は申請(しんせい)していないことから、本当に秘匿(ひとく)したいものはトッキョを申請(しんせい)しない方法もあると理解できた点も大きかったようだ。

 そのため、それ以外のものであれば、トッキョ登録すればそれ以上何もしなくてもお金が入って来ると、だんだんと周知(しゅうち)されるようになっていった。

 トッキョ制度を推進(すいしん)したのが私であることや、再現(さいげん)不可能(ふかのう)と言われていた合金(ごうきん)の開発に成功したこと、そして、デンタクの開発とその技術を一般公開したことなどが広く平民に知られるようになり、私は「魔道具の父」という、(あら)たな二つ名をいただくことになった。

 私は、一般公開すればとても有用な技術になると考えていた合金(ごうきん)の製法を秘匿(ひとく)し続けていることで、何か非難(ひなん)を受けるのではないかと覚悟(かくご)していた。

 だが、これまではコピー天国であったため、重要な情報を秘匿(ひとく)することに対して特に忌避感(きひかん)がない様子(ようす)で、特に問題(もんだい)()されなかった。

 それどころか、複数の魔法式のプレートを連動(れんどう)させる技術を特に(かく)しもせずに公開したことが高く評価され、大変(たいへん)名誉(めいよ)な二つ名が増えることになったのであった。


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