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先祖返りの町作り ~無限の寿命と新文明~  作者: 熊八
第七章 ガイン自由都市

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110/160

第110話 通称、ガインの都市

 島アルクの里を再訪問(さいほうもん)してから、一年ほどが経過(けいか)していた(ころ)

 ガインの町は拡大と発展を続けていた。今では、近隣(きんりん)のガルムの都市と比較しても遜色(そんしょく)がないほどの規模(きぼ)になっていた。

 そのような事情であったため、この町に住む住人たちは自分たちの町ことを、(ほこ)りをもって「ガインの都市」と呼ぶようになっていた。

 ただ、正式には町のままであったため、貴族たちは(さげす)みを()めて「ガインの町」と呼び続けている。

 そのため、官僚(かんりょう)たちの中には、次のように進言(しんげん)するものも(あらわ)れていた。

「領主様、ガインの都市を正式な都市とすべく、国王様に申請(しんせい)しましょう」

 しかし、エストは、次のように言って取り合わなかった。

「我がガイン家は、どうせ貴族たちには(きら)われています。申請(しんせい)しても無駄(むだ)でしょう。それに、我が家が上級貴族になってしまいますと、他の貴族家といらぬ(いさか)いの種になってしまいます」

 実際、代々のガイン家の領主たちは、リスティン王国が崩壊(ほうかい)するその時までずっと中級貴族のままであり、貴族たちは最後まで、我々の都市を「ガインの町」と呼び続けることになる。

 また、私はこの(ころ)になると、例の金色の粉の存在を一般公開しようと考えていた。

 そのことを副工房長のワントに相談してみると、猛反対(もうはんたい)にあった。

「初代様、そんなことをしてしまえば、我らヒデオ工房の売り上げが激減(げきげん)しやすぜ? あなた様は、あっしらを路頭(ろとう)に迷わせるつもりでやすか?」

 私はブンブンと(いきお)いよく頭を()って否定する。

「そんなつもりはありません」

 ワントは私の目をじっと見つめながら、さらなる問題点も指摘(してき)する。

「それに、それをしてしまいやすと、ルツ工房の経営も(あや)うくなりやす。ヒデオ工房は初代様が作られたものでやすから、ご自由になさってもいいかもしれやせんが、大恩(だいおん)あるルツ工房を(つぶ)すつもりでやすか?」

 それを聞いた私は、そういうこともありうるのかと、(あご)に手を当ててしばらく考え()んでしまった。

「それに、初代様。生産量のことは考えておいででやすか?」

 私は指摘(してき)されている意味が分からず、思わずキョトンとして聞き返してしまう。

「と、いいますと?」

「あの粉を量産できるのは、今のところ、初代様だけでやす。お一人で全ての需要(じゅよう)(まかな)えるだけの粉を生産することなんて、不可能でやしょう」

 その説得を受けた私は納得(なっとく)し、あの粉の存在は秘匿(ひとく)し続けることにした。

 ただ、何か別な方法で平民たちの技術力を底上(そこあ)げできる方法はないかと、思案(しあん)するようになっていた。


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