盗賊討伐へ
拠点を出発してから半日。私たちは救援要請を出した村に到着してすぐ情報収集を開始した。
金品、作物は盗賊に奪われ、民家はひどい荒れようだった。
ひとまず怪我人の治療を私が担当して、ジェイクさんとルビーさんは盗賊の追跡、ソレイユにーさまとルミナちゃんは情報収集をしている。
「はい、これで大丈夫です」
「わ~、いたくない! おねーちゃんありがとう!」
「ふふっ、どういたしまして。 悪い人に襲われて怖かったですよね」
「んーん、ゆーしゃのおねーちゃんがまもってくれたからだいじょうぶ!」
「勇者のお姉ちゃん?」
「うん! けんとまほうでわるいひとたちたくさんやっつけておいはらってくれたの! おねーちゃんとおなじようなおみみとしっぽはえてたけど、おともだち?」
「う~ん、知らない人だと思うなぁ。でも、もし会えたらあなたのこと伝えておきますね」
「うん!」
武器の扱いもなっていない盗賊だけど魔石を所持しているという情報が入っている。 そんな人たちを1人で相手にできるというのなら相当な強さだろう。
どこかで会えたらぜひとも自警団に誘いたいところだ。
「ソレイユ様。 ジェイク、ルビー2名ただいま戻りました」
村人の治療もひと段落した頃、盗賊の追跡に出ていたジェイクさんたちが戻ってきた。
「二人ともお疲れ様。 早速で悪いけど報告をお願いできるかな」
「はい。 やつらはここから北西にある砦を根城にしています。 数は30人ほどですが、なにやら怪我人が複数名いるようです」
「あ、それなら多分直前まで村を守ってくださっていた方のおかげかと思います。 私たちが来る前に旅立ってしまったようですけど、だいぶコテンパンにしてくれたみたいです」
「ほう。やつらの中には魔石を持っているものもいると聞いたが、それを退けるとはなかなかやるではないか」
「追い打ちかけるなら今ってことね。 どうします、ソレイユ様、ノーラ様?」
「僕としてはここで捕まえておきたい。 ノーラはどうだい?」
「そうですね……。 私も、村の方にこれ以上被害が出ないようにするためにもそれがいいと思います」
「決まりだね。 決行は今夜だ。 ルミナは村に残って――」
「ル、ルミナも一緒にいきます。訓練もしたし大丈夫、です!」
「……わかった。でも、僕かノーラの傍を離れないこと。 いいね?」
「! はい!」