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13th Stage

 それから1カ月後、俺たちはシンゴーキチャンネルの企画会議をスタッフとMOOZYを通して話し合っている。この日は、大好評だった自転車企画の続編でスタッフへ送ったいくつかの案について内容を詰めている。


「この中で言うと、サンニンビンゴをゲストに迎えた湘南へのサイクリング企画を推したいところですね」

「いずれもトリオで男女3人ずつだから、男女1人ずつで3ルートにすれば湘南の魅力を伝える上でも大きなプラスになるのでは」


 オンライン越しで伝える坂塚と峰渕の言葉に、俺たちはパソコンの画面を見ながら何度もうなずいている。俺たちは、CeroTubeチャンネルの運営をサポートするスタッフへの感謝の気持ちを忘れることはない。


 県境を跨いだ移動自粛制限が解除されたことから、都心から離れた場所でロケを行うことができるのは喜ばしいことだ。もちろん、ウィルス感染を防ぐことを徹底した上でという条件つきだが……。


 スタッフとの企画会議が終わると、俺はマネージャーに連絡を取ろうとスマホで電話をかけることにした。マネージャーへの事前の電話連絡も、ウィルス感染防止で接触をできる限り回避するための一環だ。


「これから収録でそちらに自転車で向かいますので……」


 俺たち3人はマスクを着用すると、地下駐車場から自転車に乗ってテレビ局へ向かうことにした。


 遠方のロケだったら、時間の都合上マネージャーの自動車への同乗がどうしても必要となることが多い。けれども、都内のテレビ局やラジオ局、ネット配信専用のスタジオなどへ行く時は自宅マンションから自転車に乗って行くことができる距離だ。


 テレビ局の駐輪場に自転車を置いて施錠すると、俺たちは手指の消毒をしてから局内へ入った。俺たちに限らず、テレビ局の中をせわしく動き回る関係者やスタッフは全員マスクを着けている。


 この日、ここへやってきたのはバラエティー番組『ハレハレとーく』の収録に参加するためだ。楽屋へ向かう途中、俺たちの目の先にはサンニンビンゴ3人の姿が入ってきた。


「お久しぶりです」

「この前はどうもありがとうございます」


 お互いに会釈をすると、俺たちは3人揃って『シンゴーキ様』と表示された楽屋の中へ足を踏み入れた。先ほど目にしたサンニンビンゴとは、『ハレハレとーく』のゲストとしてひな壇席に座ることになっている。


 シンゴーキはというと、俺自身はMCの原崎とおると小道具を挟んだ見守りゲスト席に、青田と黄島はサンニンビンゴの3人とともにひな壇席にそれぞれ座る。俺だけが他のゲストと別の席になっているのは、この日に収録するテーマと密接に関係するそうだ。


「自転車芸人と銘打っているからなあ。出演者には長市さんもシノマも入っているし」


 シノマと顔を合わせるのは、俺がDJを担当するFMラジオの番組にゲスト出演した時以来だ。俺は、問題のネットオークションの出品者がシノマだという事実を赤沢から耳にしたのがまだ脳裏に残っている。


 見守りゲストという立場だけに、シノマの姿を目にして複雑な思いをしているのは俺だけだろうか。そうするうちに、番組収録の時間が迫ってきたので俺たちはすぐに楽屋から出てスタジオへ向かった。

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