序章~学院初日~
異能の力を持った少年が、異能の者たちの集まる学院で成長していく、ストーリー。①
西暦2X01年
『アイギス』という、建物が密集し混沌とした迷宮のような巨大なエリアが、
東京湾に出現した。
そこには、世界各地から、突如として流行した、異能を与える謎のウイルス「リヴァイス」に感染した
異能者が集まる、異能学校が複数存在した。
異能といっても、細かく分けるといくつもの種類があるが、
その力の源は、「仂」という、世界に普遍的に存在する未知のエネルギーが、
変化したものである。
おおよそ二つに大別される、
一つは、
「静」=「識」というアンテナで有形無形の情報を読み取る
「動」=「念」という動的な力で物を動かす、身体の強化やエネルギーの放出
謎のウィルス「リヴァイス」に感染すると、高熱に3日3晩侵され、その後「静」と「動」半々ずつ、あるいはどちらかに偏った力が発現される。
そして、そんな、晩夏のよく晴れた日に、複数ある異能学校の一つ、名門の『ステラ学院』の校門の前で
メモを片手に途方に暮れている若い青年がいた。
白亜の瀟洒な貴族のお屋敷のような建物の前には、立派な柵の門があるが、奥の詰め所の建物は人が出払って不在らしい。
青年の年頃は、だいたい16歳か、17歳頃だろうか?艶やかな濡れ羽色の黒の前髪をさらりと垂らしたストレート・ヘアで、やせて引き締まった体型でスタイルが良くシルエットはアイドル並みである、上衣は、両胸フラップポケットの白い長袖のポロシャツで左胸のポケットの上にはオレンジ色の星がついている、黒のトレッキング・パンツは、激しい動きでも中身が零れないよう両サイドのポケットにはファスナーがついており、腰には白いベルトが通してあり、そこには、ソード・フォルダーが、取り付けられ、緑色の漆の日本刀が収められていた。
入学式は4月だが、今は晩夏の頃、転校生だろうか?青年は、しばらくキョロキョロした後、少し考えて、胸ポケットからスマートフォンを取り出した。
5,6分した頃だろうか、、、
一人のその青年と同じ年くらいの少女が現れた、頭が一つ分くらい小さいが、青年と同じ格好の動きやすいパンツ・スタイルで、金髪の腰まであるストレートの髪を背中に垂らし、前髪は作らず、左右の髪を青い星ついたヘアピン・クリップで止めている。そして、腰のベルトには、ガン・フォルダーがついており、シルバーの銃が収められている。
「私は、ステラ学院のシトラス寮の副寮長、アリシア=フォードといいます。『御劔 刀夜』さんですね。貴方は、シトラス寮に入ることが決まりました。これから、簡単な学院内の案内と、寮の割り当てられた個室について案内します。ちょうど学院の制服を着ている事ですし、自室で荷解きが済んで、食堂で昼食を取ったら、良かったらトレーニングルームで、手合わせ願えますか?最近、腕がなまっていますし、お相手下さったら嬉しいです」
良く澄んだ透るソプラノの声で、そのアリシアという少女は、軽く会釈をして説明した。
学院は、巨大な白亜の西洋風のお屋敷で、少女は、割り当てられている自室は少し先の部屋だと言い、中庭の奥にどんどん案内した、、、。
その歩いている最中、青年と少女は雑談の様なものを交わした。
「『御劔』さんは、たしか、、、異能の力は、そこそこ強そうですよね。戦闘場面は拝見してませんけど。ところで、、、その腰の緑色の漆の刀は、、、」アリシアという少女は神妙な面持ちで青年を見る。
「『刀夜』でいいよ。そんな、、異能の力の強弱なんて、把握してないし、、強いとは限らない、、ですよ。ちなみに、腰の刀の名前は、『翠珂』といいます。僕の祖父が武術家であり、剣士で、幼少時、剣の手ほどきを受けた時に貰ったんです、、。」
『御劔 刀夜』こと『刀夜』は、自身の異能と腰につけている剣について、説明した。
「そうですか、私の直観ですが、貴方はそこそこ、強い『仂』の持ち主だと思いますよ」
アリシアは意味深に微笑んだ。