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娘の仇  作者: ツヨシ
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――今だ!

駒井は男を追い抜き、男をふさぐように車を停めた。

車を降りる。

男の前に立った。

男は、なんだこいつ、と言った顔で駒井を見たが、駒井はかまわず男のあごに右ストレートをぶち当てた。

駒井は学生の頃にボクシングを習い始め、健康のために今でも続けていた、

無防備な素人など、一発だ。

男は気を失った。

――この間、日曜大工に使ったテープがあったな。

男の身体をテープで縛り上げ、口もテープでふさいだ。

駒井は男を後部座席に転がすと、誰も見ていないことを確認し、妻に「急な出張が入った」と電話を入れてから、車を走らせた。

行先はここから車で二時間ほどの、山の別荘だ。

別荘と言うよりも山小屋と言ったほうがいい代物だが、駒井の財産だ。

もともと人が来ないところではあるが、冬が近いこの時期は、誰かが近くに来る可能性はほとんどゼロに近いだろう。

――途中、警察の検問なんかに引っ掛かりませんように。

もし引っかかったら、「こいつが娘を殺した犯人です」と警察に差し出せばいいのだが、駒井の目的は別なところにあった。

途中、男が気付き、後ろでもごもご言っていたが、駒井は無視した。

あれだけ厳重に縛り上げれば、そう簡単にテープがはがれることはない。

事実、山小屋に着くまで男はどうすることもできなかった。

山小屋に着くと駒井は男のあごをもう一度殴った。

気を失った男を担いで山小屋に入り、テープをはぎ、代わりに小屋にあったロープで男の全身を椅子に縛り上げた。

そのまま待つ。

やがて男が気を取り戻した。

「なんだ、いったいどうなってる。あんたは一体誰だ!」

駒井が答える。

「ここは俺の山小屋。そして俺は、お前に娘を殺されたものだ」

迫力たっぷりの言葉に男はひるんだが、やがて言った。

「娘を殺されたものだって。俺は誰も殺したことなんてない」

その言葉、その表情。

駒井はこの男は嘘を言っていると確信した。

「やかましい。娘を殺された恨み。たっぷりとあじあわせてやる」

駒井は椅子に縛り付けてある男の右手をつかんだ。

そのまま指の一本を折った。

「ぎゃっ」

男が情けない声を出す。

かまわず駒井はもう一本の指を折った。

「いてっ」

さらに一本。もう一本。

そのうちに右手の指は全部折られた。今度は左手の指を順に折った。

「ぎゃわっ」

「やめろ」

そのたびに男が騒ぐが、駒井はやめない。

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