その頃…〜ルーカスside
王宮での仕事が一段落し、別宅に帰ってきた私に待ち受けていたのは…
「なんだこの書類の山は…?」
私の質問にちょうどお茶を運んできたばぁや…いや…メイド長のモネが
「本宅からの使いが持ってきたのです。ぼっちゃまにご確認いただきたいとコークスよりのお届け物ということです。コークスは奥様より公爵様に確認してもらってほしいと預かったようですよ。」
「そうか…。」
昨日結婚したソフィアからだったからか。
「ふぅ。これを確認か…。」
書類を一部手に取ると…。
わかりやすく大事なとこに付箋が貼られていて、綺麗な文字で端的に説明のメモがついていた。
「え!?これを一晩で?」
びっくりして思わず声が出てしまった。
怒って私のほうへ全て投げてきたのかと思っていたから。
いや…そんな子ではないのは知っていたが…。
昨晩も私は彼女のもとへは行かなかったから、さすがに怒ったのかと思ったが…。
他の書類も手に取るが同じようになっていた。
才色兼備だとは聞いていたが…。
ここまでとは…。
私は王宮の仕事にかまけて、書類は暇になったらと後回しにする私を見兼ねて、結婚しろとたくさんの人に言われた。
まだ、結婚する気もなかったし、子供を作るなどしないし、そういう行為をすることに寒気がした。
なので白い結婚してくれる領地経営も任せられるような優秀な頭脳を持っている子いないかと知り合いにきいたらソフィアの名があがった。
婚姻する気もなく、才色兼備で領地経営も小さな頃から叩き込まれていたらしい。
そうはいっても伯爵令嬢だ。
たかが知れているとは思ったがここまでとは…。
ソフィアがまとめてくれた書類を手に机に座った。
そういえば彼女は一晩でこれをやりおえて今日は何をしているのか…。
「そういえば奥様は本日領地内を身分を隠してまわっているようですよ。」
飲もうと思っていた紅茶を吐き出しそうになった。
「なんだって?昨日一晩でこの書類を片付け、今日は領地内をまわるのか?買い物の間違いではないのか?」
「いえ。領地内をまわるとコークスから承りました。コークスと護衛に騎士を一人つけているそうです。」
「そうか…。」
「おぼっちゃま。」
「はぁや、おぼっちゃまはやめてくれと言ってるだろ。」
「でしたら、おぼっちゃまもばぁやはやめてださいましね。それよりも奥様のことです。なぜ、本宅と別宅で別々にお暮らしになるのですか?まだあの事が…?」
あの事…
「彼女とも合意の上だ。それこそ彼女もそれをのぞんでいた。これでいいんだ。」
「おぼっちゃま…。」
「もう思い出したくないんだ…。」
ばぁやは静かに部屋を出ていった。
「ふぅ。」
大きなため息をつき書類の山に目を通し始めたんだ。