ルーカス様の秘密
王太子殿下とルミエル様がお帰りになった後、二人でお茶をしている。
ルーカス様は別宅にはメイド長であるルーカス様の乳母だった方とコークスの部下である執事たちそれに護衛騎士しかいないと言っていた。
お好きな方がいると言っていたのは嘘だと言っていた。
でも、きっと深い理由があるのだと思う。
それにコークスが来なければ、私はルーカス様にキスをされていたかと思うと落ち着かずそわそわしている。
それになぜか目の前にいたはずのルーカス様は私の隣に座っている。
「ソフィア。私は女性に対して嫌悪感しかないのだ。だからメイドも必要最低限しかいない。だから私は結婚する気もなかったが周りの圧力には逆らえずただ女性丸出しの令嬢は無理だと言うことで頭もよく領地経営も理解していて、将来は結婚せずに平民として会社経営をしている君の話を聞き、君となら仕事上だけで夫婦としての仕事をせずに済むと思い結婚を申し込んだ。そして好きな人がいると嘘をついた。申し訳ない。」
私は首を振った。
「私も背中の痣のせいで結婚はできないと思ってましたから。夫婦としての営みはできませんのでルーカス様の申し出はありがたいばかりでした。」
私がそう言うと少し微笑んでくれたルーカス様。
すぐに真面目な顔をして、膝の上で組んでいる手に力が入ったのがわかった。
辛そうな顔のルーカス様。
「もしお辛いようでしたら無理しなくても…。」
私の言葉に首を振ると少しずつ話し始めた。
「私は小さな頃からこの容姿で老若問わずに好かれてきたのだ。世の中には小さな男の子が好きなご婦人たちもいる。母に連れて行かれた茶会で私は襲われそうになったんだ。その茶会の主催のご婦人に。そんな事誰にも言えなかった。それからもその婦人から執拗に母宛に茶会のお誘いがきて是非私にもという話がきた。私は絶対行かなかった。そんな事していれば母も気づくのは当たり前だ。母は何度も茶会に参加したくないのかと訪ねてきた。仕方なくあった事を話した。母は有力なご婦人なのよ。少しは公爵家への次期当主としてご奉仕してもよろしいんでは?なんて言ったんだ。私はびっくりしたよ。でも、それも当然だった。母には愛人がいた。それもそのご婦人から紹介された人だったらしい。父はその事を知って激怒し、母とは離縁、そのご婦人の夫にその事を伝え対処はそちらに任せたと聞いた。それで女性からそういう事はされないだろうと思っていたが同級生の女性に魅了の薬を飲まされそうになったがそのジュースをふざけていた友人が飲んでしまい友人がその女性を襲おうとしていたのを力ずくで止めた。その女性は震えながらなんで友人が自分が渡したジュースを飲んだのかと私に詰め寄った。そこで気づいたんだ。魅了の薬が入っていたんだと。友人は溺愛している婚約者がいたのにそんな事するはずないのと思っていたから納得した。父に報告し、そのご令嬢の家へ抗議文を送った。それから…。」
ルーカス様の手が震えている。
私はそっと手を握る。
「ソフィア?」
「ルーカス様がお辛い想いしてきたのはよくわかりました。だからもういいです。言わなくて大丈夫です。私はルーカス様が嫌がることは一切しません。今まで通り領地経営させていただければルーカス様をお支えできればそれで十分ですから。」
「ソフィア…。」
ルーカス様は私を抱き寄せた。
「違うんだ。君にちゃんと話しておきたかった。私は君に惹かれてるから。」
「え…。」
「惹かれていなければキスしようとなどとはしない。私ははじめて女性にキスをしたいと思った。守りたいと思った。」
その言葉に頬が熱くなった。
ルーカス様も私に惹かれてくださってる…。
胸がドキドキする。
頬が熱い。
私は顔を上げて
「私もルーカス様をお慕いしております。ただ、背中には薔薇の大きな痣があります。なので夫婦としての営みはやはり出来かねると思います。なので側室をとられるなら私は反対いたしません。」
胸がズキンと痛む。
好意を抱いている方が他の女性とそういう事をされるということはあまりにも辛い。
「ソフィア。その背中の痣を見せてくれないだろうか?」
「え?」
「私はその痣をひっくるめてソフィアを愛せる自信がある。だから見せてくれないか?それと私は側室をもつつもりはない。それだけははっきり言える。」
私は意を決して
「わかりました。少々準備をさせていただいてもよろしいんでしょうか?」
「わかった。では夕食後湯浴みをしてから夫婦の寝室で。」
夫婦の寝室へと言う言葉にドキッとした。
でも、逃げるわけにはいかない。
「わかりました。では夕食後に。」
絶対に見たらひかれるとわかっているのに見せなければならない。
湯浴み後念入りに肌の手入れをしてくれるイリス。
背中の痣を見て、
「お綺麗ですよ。」
と言ってくれる。
「ありがとう。そう言ってくれるのはイリスだけよ。」
私の言葉に
「そんな事はありません。」
そう力強い言葉をかけてくれる。
支度が終わり私ははじめて夫婦の寝室へと足を踏み入れたんだ。




