聖獣様
「なんだこのふわもこの丸っこい物体は!?ルミエル、触って大丈夫なのか!?」
王太子殿下が慌てたようにそういうのでルミエル様は
「殿下にはおわかりにならないようですがこの魔力の大きさ、それにこのなんとも言えない神々しさ、聖獣様ですわ。」
神々しさ…。
確かに魔力と神聖な気は伝わってくるけど、神々しさは…。
なんていうか、ふにゃっと顔が緩んでしまうような可愛さとしか…。
でも、ルミエル様の言葉にイリスもセシルも頷いている。
神々しさ。
ふわふわな毛並みは金色だけどそれでかな?
「この真っ白な丸っこい物体に神々しさ…。」
「え!?金色の毛並みですよね?真っ白ではないですよね?」
「「え!?」」
殿下とルーカス様が2人でそう言う。
2人には真っ白に見えるのか…。
でも、確かに始めてみたときは真っ白に見えた気も…。
「この子こちらに来てから神々しいオーラを纏うようになったようです。こちらに来るまでは真っ白だったので。もしかしたら何かに共鳴してるのかもしれません。」
セシルがそう言うと
「それでしたらこちらかもしれませんわ。亡きお祖父様のお兄様の忘れ形見だと言われております。代々我が家の魔力の強いものに受け継がれております。」
そう言ってルミエル様が見せてくださったのは紫の薔薇の紋様があしらわれたペンダントだった。
聖獣様がそのペンダントをもふもふの手で触る。
小さな手で何かを確かめるように。
そう思うとキラキラ光ったペンダント。
その瞬間、眩い光が放たれたと思ったら、ふわもこ聖獣様はライオンのように大きな姿で現れた。
金色の綺麗な毛並み。
その綺麗な姿に見惚れていると
「薔薇の巫女が神官、魔導士、守り人を見つけ巫女が覚醒したので我も姿を現す事ができた。この姿になると悪しき者に気配を気づかれる可能性が高いがあの小さな身体だと我の声は届けられぬ。悪しき者達が薔薇の巫女の存在を気づきつつある。細心の注意を図れ。お前がこの国で1番の者か。」
殿下の方を向いてそう言う聖獣様。
「お前の良き選択を願う。」
「良き選択とは…?」
「お前は今揺れ動いている。最後はお前が決め動かす。そして薔薇の巫女の番よ。巫女を守れ。巫女から授かったその剣はお前にしか扱えぬ。そして、巫女よ。強い意思を持ち前を進め。神官、魔導士、守り人よ。巫女を頼む。」
そう言うとぱっと光ってまたふわもこの小さなまるっこい子になった。
強い意思…。
ギュッと手を握るとその手をふわっと包み込むように握ってくれるルーカス様。
「ソフィア。何があっても守る。」
「私も何があっても負けず前に進みます。皆様を守ります。」
「殿下?」
「ルミエル…。」
「私は王太子妃となる身です。なんでもおっしゃってください。一緒に考えます。今までどおり。」
「あぁ。ありがとう。」
何か苦しそうに考え込む殿下。
きっと陛下や宰相閣下の事だろう…。
「それにしても聖獣様カッコよかったわ。さすが伝説の聖獣ですわ。思ったとおり。お目にかかれて本当に幸せです。」
ふふと無邪気に笑うルミエル様。
重苦しかった空気に柔らかな雰囲気へと変化した。
これが次期王太子妃様。
素敵な人だなと思った。
「殿下、殿下は思うとおりにしてください。私は私の道を進むだけです。」
「わかった。ありがとう。ソフィア嬢。」
そう言って微笑む殿下。
「なるようにしかなりませんわ。私なんて王太子妃で薔薇の巫女の神官ですよ。やる事たくさんで大変ですわ。」
なんて笑顔で言うルミエル様に
「ルミエルには敵わないよ。」
そう言って愛おしそうにルミエル様を見つめる殿下。
そんな二人を引き離すような事は絶対にしない。
そう心に誓ったんだ。
何があろうとも。




