ルーカスとの距離
「それで話とは?」
私の真正面に向かい合う形で座っているルーカス様。
「私はリヌエーヌ国の薔薇の巫女みたいなのです。」
「え?」
「あ、今はもう侵略されてしまい無いようなのですが私の母がそのリヌエーヌ国の王女だったと。薔薇の巫女の証をもつ。そして私もその証があるようです。」
「なんだって…。」
「イリスの母は私の母付のメイドでした。そして今日出会ったセシルもまたリヌエーヌ国に縁のある子で二人とも魔力もあります。それはリヌエーヌ国の王位継承権をもつ王女を守るための力。そしてリヌエーヌ国の王位継承権をもつ王女を守るための聖獣も存在し、今日セシルと共に聖獣様とも出会いました。私の存在はルーカス様にご迷惑をかける存在にもなりますし、利用価値のある存在でもあります。私はベリオス公爵家に嫁いだ身です。ルーカス様のお心のまま動いていただいて結構です。それがいかなる処遇になろうとも運命として受け入れます。ただ、この領地にはいっさい手は出させません。」
私の握っている手が微かに震える。
ルーカス様は沈黙している。
迷惑はかけたくない。
だけどこの領地でまだまだやりたいことがある。
中途半端にしたくない。
だけど…。
「ソフィア。よく話してくれたね。ありがとう。」
そう言って立ち上がるルーカス様は私の隣に腰を下ろす。
そして震えている手を包み込むように握ってくれた。
「怖かったろ。大丈夫。」
そして私を抱き寄せる。
ルーカス様…。
ドキドキして頬が熱くなる。
なんだかんだ言いながら優しいルーカス様。
ルーカス様はお好きな人がいるのに…。
仮面夫婦なはずなのに…。
月二回しか本宅には来ないと言っていたのに…。
こんなふうにされると勘違いしてしまいそうになる。
「ルーカス様…。」
私は顔を上げると
「ソフィア…。」
蕩けるような甘い優しい瞳を私に向けてくれていた。
恐ろしく色気がある。
吸い込まれるように唇と唇が触れそうになった瞬間にノックの音が聞こえて我に返って、すくっと立ち上がった。
コークスが顔を出す。
「お話中申し訳ありません。王太子殿下が極秘にこちらに向かっていると早馬が。」
「わかった。いらっしゃったら応接室へお通ししておいてくれ。」
所在なく立っている私にコークスは微笑んで扉を閉めて出ていった。
「申し訳なかった。」
「え…?」
「仮面夫婦で良いと言いながら君に口づけをしようとしてしまった。」
「いえ…。ルーカス様には親しい方がいらっしゃいますのでその方が嫌な思いをしなければと心配はしましたが。」
「え…?あぁ、そうか…。ではソフィアは嫌ではなかったのか?」
まっすぐ見つめられている。
嘘はつきたくない。
「はい。嫌ではありません。」
私の言葉にふわっと笑うルーカス様。
「たぶんカメラの件はすぐに片がつく。王太子殿下が極秘にこちらに来るということはそういう事だと思う。」
「先日の傍受の魔法も王太子殿下が?」
「たぶんそうだろう。肩を叩かれた瞬間違和感があったから。」
「なぜそのようなことを。」
「殿下は研究者でもある。リヌエーヌ国の事には一番の関心事だ。リヌエーヌ国は別名神に愛されし巫女の国それに世界随一の魔法国でもあったのに簡単に侵略されるとは思えないと。数少ない文献読みあさり、リヌエーヌ国と親しかったものに極秘に会ったりとしていた。」
「そうなのですね。」
「だから私の妻となったソフィアにリヌエーヌ国となんらかの結びつきを知ったのかもしくはまだ確信はないから傍受の魔法やカメラを設置して確信したかったのかもしれない。」
王太子殿下が…。
「私は何があっても守ります。リヌエーヌ国の薔薇の巫女ソフィア様を。そして我が妻を。」
そう言うとまだ立っている私の前に跪き手をとり、手の甲にキスをおとした。
カァーッと身体中が熱くなって、頬も赤くなってると思う。
そんな私を優しい瞳で見上げるルーカス様。
「それと私の別宅にはばぁや、私の乳母だったメイド長あとはコークスの部下の執事と護衛騎士達がいる。」
「え?」
「申し訳ない。好きな人がいるといったのは嘘だ。ただ、詳しい話はまた今度にしよう。もうすぐ殿下がいらっしゃるはずだ。お迎えせねばならない。ソフィアも同席してくれるか。」
「もちろんです。」
私がそう返すと嬉しそうに私の手を引き殿下のお迎えへと向かった。
殿下にお会いするのに着替えてもいないけど、良いのかどうかわからずにそのまま手をひかれて殿下をお迎えにいったんだ。




