薔薇の巫女
イリスがもってきてくれた宝箱をあける。
お父様やお姉様、お兄様からいただいたアクセサリーが入っている。
そして1番奥に…
懐かしい小さなお守り袋。
薔薇の刺繍がしてある。
お母様…。
私はそのお守り袋をギュッと握りしめる。
そして袋を開ける。
そこには小さな綺麗な魔石があった。
今なら確かな力を感じれる。
大きな守りの力。
でも、なぜ今まで力を感じなかったんだろう…。
こんな力を持つ魔石が宝箱に入っているならわかったはずなのに…。
そしてその魔石をお守り袋に入れると力を感じなくなった。
これって…。
このお守り袋に封印魔法がかけられてる?
お母様が?
ノックの音が聞こえてイリスが食事を持ってきてくれた。
私の手を持つお守り袋を見るとイリスは
「奥様、思い出したのですね。」
そう言う。
「イリスは何か知っているの?」
「私の母は奥様のお母様、エレン様にお仕えしてましたから。そして母はエレン様に小さな頃からお仕えしておりました。私がソフィア様にお仕えしているように。」
「そうだったのね。」
「母は元は隣国の北にあるサマエルという町の出身で今は無きリヌエーヌ国の代々王位継承権の証をもつ王女様に仕え護る者として母はエレン様にお仕えしておりました。証とはリヌエーヌ家に産まれた女児に現れる薔薇の証。エレン様にもその証が左腕にありました。」
「お母様も!?」
「そしてエレン様のお子様であるソフィア様にも。」
「でも、お姉様にはなかったわよね?」
「リアンヌ様はエレン様のお子様ではありません。ユアン様もです。お二人はエレン様の前の奥様のお子様だそうです。」
「お母様が違うって事なのね。」
「はい。なのでリアンヌ様がその証を受け継ぐことはありません。それと伯爵様はエレン様がリヌエーヌ国の王女様だったという事は知りません。リヌエーヌ国が他国からの侵略により滅亡し、エレン様のご両親とお兄様は亡くなられました。エレン様を守るために。そして母と共にこの国でリヌエーヌ国とも繋がりがあった辺境伯様の養子として迎え入れられました。」
「お母様を守るために。」
「薔薇の証はリヌエーヌ国の巫女の証。類まれな能力を持って産まれ、そしてその証の大きさは能力の大きさを表します。」
「類まれな能力は癒やしの力はもちろん、魔力の種類や大きさがわかったり、色んな魔法が使えたり?」
「奥様が普通にやってこられたことは私達には普通ではありません。魔石の力を剣にうつすなどできません。優れた魔導師でもできるかわかりません。」
「そうだったのね…。私なんとなくだけど、お兄様やお姉様は私の事可愛がってはくれるけどなんとなくなんとなくだけど余所余所しさも感じてたの。そういう事だったのね。背中のあざもかわいそうにと言いながら私に平民になる勉強をするように言ったり。もしかしたらお母様の事も私の事も良くは思っていなかったのかもしれないわね。それも仕方ないことかもだけど。」
「奥様のおっしゃるとおりです。エレン様は伯爵様にのぞまれて伯爵家へと嫁ぎましたがお二人は心を開くことはなかったようです。」
「私の力は悪用される可能性もあるの?」
「はい。なので私がお仕えしております。私はソフィア様を守る為に生まれてきたのです。」
「大袈裟よ。イリスはイリスの幸せの為に生まれてきたのよ。お願いだからもし何かあったときは自分の命を一番に考えてね。これは命令よ。」
「いくら奥様のご命令でも聞くわけには参りません。」
「もー。絶対私の命令聞いてくれないよね。」
「奥様が命令を発動するときはだいたい自分の身を危険に晒しても私を助けようとしてくださってる時なので聞けるわけありません。私はこの命をかけてもソフィア様をお守りします。」
「イリスー。じゃ私もイリスの事守るからね。絶対に。」
「それよりもお食事が冷めてしまいますので無理ない程度にお食べください。」
「そうだった。ありがとう、イリス。」
〜~〜~~イリスside↓↓
奥様にニッコリそう言って笑うと、少しずつ食事をはじめた。
私は飲み物の用意をしながら奥様の顔色が良くなったことにホッとする。
奥様はエレン様が隣国の王女様だったと話しても顔色を変えなかった。
リアンヌ様とユアン様との血が繋がってないと言っても思い当たるふしがあったらしく納得した感じだった。
相変わらず優しいソフィア様。
奥様と最近は呼んでいるけどソフィア様はずっと変わらず優しい。
奥様には幸せになってほしい。
ずっと笑顔でいられるように。
奥様が幸せであればこの地も豊かである。
そして奥様の心が乱れることがあれば嵐をももたらす。
そのくらい大きな力を秘めている。
私が制御できいるうちはいいけど、奥様の力は日に日に大きくなっている。
この地にきてから物凄いスピードで。
悪いものが寄ってこなければいいけど…。
巫女としてこの世界を統べる力。
王よりも尊い存在。
それが薔薇の巫女。
その存在はただのおとぎ話として伝えられている。
薔薇の巫女ではなく、聖なる女神としてだけど。
そんな大きな存在ではなく、一人の女性として幸せに暮らしてほしい。
それがエレン様の願いであり、私達の願いでもある。
そのために私は、私達はソフィア様をお守りする。
何があっても。




