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ドリームドロップ ~魔法のようなドロップと呼ばれる道具がある異世界に転移してしまった剣の少女が、現地の最強勇者と交流します~  作者: ヒロナガユイハ
断章 わたしの友人が失踪したと思ったらとてもヤバい奴になってしまったんだがどうすればいい?
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第--話② 赴く


==杏耶莉(あやり)=雨天の節・三週目=カーティス宅・リビング==


 ――


 転移した先は、マークの家ではなく、カティの家だった。


「リスピラ、何で直接マークの所へ行かないの? 彼は彼の自宅に居るんだよね?」

「マークさんがじぶんのおうちにいるのはそーなの。 でも、あそこにあるきかいがこわれるからちょくせつこないでっていわれてるの」

「……なら、仕方ないのかな」


 異世界管理官とやらであるマークの自宅には、転移や裂け目を観測する機器なんかがある筈である。それ以外にも、精密機器が多いので致し方ないだろう。


「じゃあ、早速向かおう」

「なの!」


 そう言って、カティの家の玄関を開くと、そこから大量の黒い靄らしきものが流れ込む。


「うわっ、何!?」「やばいの!」


 一度玄関を閉めて、二人で顔を見合わせる。


「今のって……」

「くろいのなの……」

「そうだよね、影霧だよね……」


 私は影霧を多少操ることは出来るが、それを感じ取る能力とかは持ち合わせていない。玄関を開かずに窓に視線を向けるとが、高濃度の影霧で外の様子がわからない程に黒々としている。


「……何があったんだろう」

「これじゃ、マークさんのとこにいけないの……」


 影霧はそれなりの量を吸い込むと、感染してしまう。既に取り込んだ上で発症していないどころか行使出来る私と違い、小さい体のリスピラが呑まれればひとたまりもない。


「……私は、多少操る事なら可能だから、避けながら進もう」

「おねがいするの」


 もう一度開けた玄関からリスピラに近づかない様に調整する。彼女の全身を球体状に覆う意識をして混入を防ぐ。


「よし、行こう!」

「りょーかいなの!」


 気を取り直して、マーク宅へと向かった。


 ……


「――アヤリ様、ですわ!? 止めてくださいませ!」


 私の知るエルリーンの活気に乏しく、町全体に広がっている影霧によってその場にぐったりする人達ばかりの通りを歩いてマークの家へと向かう途中、激しい勢いで進む馬車からそんな声を掛けられる。


「……チェルティーナさん」


 私がそんな停止した馬車に駆け寄ってその声の主に声を掛ける。


「アヤリ様、お久しぶりですわ。 随分印象が変わりましたわね。 ――っと、そんな話をしている場合ではありませんわ!」

「……」

「現在(わたくし)達は突如発生した超大量の影霧への対策の為、マーク様を頼りに向かっている途中ですわ」


 馬車の周囲には、影霧が入り込まない様に激しい風が発生していた。それを成していると思わしき騎士がチェルティーナとは別に馬車に同乗している。因みに御者はフェンである。


「カティ様主導にて行われた作戦の影響で、アヤリ様がこの凶事を起こしているものだと結論が出ていたのですが……その表情から察するにどうも違うみたいですわね」

「……はい」

「それで、かの作戦に参加された方は……」

「それはわたしがせつめーするの」


 私の服のポケットに収まっていたリスピラが飛び出す。


「リスピラ様!」

「えぇと、なにからはなせばいーかわからないの……」

「……一先ず、マーク様のお屋敷に向かいながらお聞きしますわ」

「私も同行させてください」

「……そうですわね、お願いしますわ」


 その言葉を聞いた私は、風で防いでいた影霧の制御をする。そんな風を操っていたらしい騎士は、一瞬驚いた表情をしたのち、辛そうに操っていた風の壁を解除した。


「あ、ありがとうございます」

「……助かりますわ」

「……いえ」


 そうして馬車に乗り、再度マーク宅へと走り出した。


 ……


「ジャムーダ……。 闘技大会へと出場していたあの黒い殿方ですわね……」


 一通りの出来事をチェルティーナへと説明する。


「はい。 闘技大会に出場していたとなれば、素性とかわかりませんか?」

「……いえ、そういった情報の提出がなくても参加する事は可能ですからわかりませんわね。 本戦は兎も角、予選は非常に多くの方が参加されますわ。 それに出身等で判別するのはよろしくない、という考え方もありますわ」

「……一応戦時中ですよね。 そんな適当な運営で大丈夫なんですか?」

「……返す言葉もありませんわね。 これまで問題にならなかったのでそう警戒してませんでしたわ。 それに、ギルノーディア側からの入国は厳しい監視がなされておりますので、大丈夫だと……」

「それはもうわかりました。 それに、ジャムーダが向こうの国から来たというのが確定してる訳じゃないですし……」


 口には出さないが、恐らくジャムーダはこの世界の人間ではないと思われる。これに限っては感である。


「それで御三方の安否ですが、話を聞いた限りでは――いえ何でもありませんわ」

「……」


 珍しくチェルティーナの失言が目立つ。一見落ち着いている様に見えて、内心は不安なのだろう。

 それに、あの三人がまだ無事である可能性が低い事ぐらい私も理解している。確証を得られるまでそれでも諦めていないだけに過ぎたいのだ。


「ケホケホ……。 っと、失礼しましたわ」

「……」


 チェルティーナもリスピラも、御者をしているフェンや風の騎士も時折咳をする。少量ではあるが、どうやら既に影霧を吸ってしまっているらしい。リスピラは玄関を開けた瞬間、そして残りの三人は風による防壁が万全ではなかったのだろう。


「ケホ……、着きましたわね」


 そうして気が付けば、マーク宅へと到着していた。


「何らかの打開策をマーク様が有していると願うばかりですわ」

「……そうですね」

「はやくいくの!」


 馬車から降車して、マーク宅の敷地へと足を踏み入れた。


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