第33話⑤ 代替案の提示
遅れてしまい、申し訳ございません。
一日途切れるとエタりそうなので無理やりにでも投稿します。
体調不良の中無理して書いたので、誤字脱字の確認や見直しが出来ていません。
その為、後日内容の大幅な修正がある可能性がある事をご了承ください。
それと、明日も投稿が遅れる見込みです。すみません。
==杏耶莉=快天の節・六週目=エルリ―ン城・応接室==
私の婚姻云々は捨て置いて、爵位を受けるかどうかについての話が続く。
「アヤリ当人がどちらでも良いとは……。 価値観が違うとはいえ、凄まじい発言だな」
「……それについては同意する。 アヤリはこういう奴だよな」
妙な所で言い合いをしていた二人が合意する。私がおかしいという部分で意気投合しないでほしい。
「……して、カーティス殿としてはアヤリに爵位を与えるのは反対なのだろう?」
「あぁ、なし崩し的に話を進められそうだからな」
「うむ……。 意見の相違だな。 であれば、如何にして決めるか……。 本人がこの様子では、な」
「だな。 アヤリがこれじゃあな……」
二人して私を見てくる。
「……だって、なんだか面倒になっちゃったから」
「お前はいつもなー……」
そう言うと、今度は瑞紀に悪態を付かれる。
私自身、私の事に対してあまり関心がないので、正直面倒になってしまった。
「殿下。 それならば、闘技大会を利用するのは如何でしょうか?」
「……それがあったな」
「闘技大会?」
控えていたメルヴァータが王子にそう進言する。
私が最初に異世界転移した当初に開催していたあれの事だろうか?
「でもあれって、聖天の節に開催してなかった?」
「それについては私が説明しますわ! 前周期の聖天の節にてあの襲撃が御座いましたわね。 その所為か、多数の貴族から別の節に開催してほしいとの要望が多数送られましたの。 それで、今節に開催がズレたという訳ですわ」
「……お貴族様だけじゃなくて、庶民からも別開催が良いんじゃないかって意見は多かったな~。 聖天の節は別の催しが多くて観戦に行けないってな~」
私の質問に、チェルティーナと第二王子――改めランケットのリーダーであるグリッドが答える。
自分も貴族どころか王族にも拘らず、白々しいと私は思った。
「とーぎたいかいってなんなの?」
「……闘技大会とは、特別に設けられた会場で強さを競う大きな集まりですね。 ノートで得た知識ですので、私は見た事がありませんが……」
今度はリスピラの疑問に、宿理が回答する。そういえば、私の半年間の行動は彼女に筒抜けだったのだ。
「闘技大会か……。 それで決めるってどういう事だよ。 代理で騎士でも参加させるのか?」
「うむ……。 それについてだが――我が参加しよう」
「殿下!?」
流石のメルヴァータも予想外だったのだろう。面食らった様子になった。
「当然だ。 自らの意見を通すのであれば、我が参加しなければ道理が通らんだろう?」
「ですが……」
「……それは構わんが、俺は手は抜かないぞ?」
「うむ、望むところだ」
勇者であるカティに対し、自信満々に王子は答える。そもそもの話、王子が戦えるのだろうか……?
「日程は予選と本戦が快天の節の十一週だ。 連日にて開催されるのだが、其方らは観戦できるのか?」
「十一週か。 えぇと……」
「……その週ですと、丁度夏季休暇に入っておりますので、此方への長期滞在は可能ですね」
私が指を折って確認している最中に宿理が答えてしまう。暗算での計算が早過ぎる。
「うむ、では良い成績を収めた方の意見を尊重するというので宜しいかな、カーティス殿?」
「あぁ、それでいい」
「……誓約書は後日作成しよう」
珍しく慌てふためくメルヴァ―タを抑えて、二人はそう約束を交わす。
「んむ……。 かつてのランケットのエース、カーティスと勇猛と囁かれる第一王子、ディンデルギナ殿下……これは商機を感じますな!」
商魂逞しいスコーリーが一言添える。
「面白そうだな! 折角だし、わたしも参加してみるか! 他の奴はどうだ?」
「……私は遠慮します。 争い事は苦手ですので……」
「カエデが出ないなら、私も出ないです。 元々興味ないですし」
「ランケットは当日警備なんだけどな~。 ま、一人ぐらいは構わないか。 元々自由にしてくれと言ってるしな~。 あ、因みにオイラは出ないぞ~」
瑞紀の言葉に宿理とメグミ、グリッドが反応する。
「おもしろそーなの! でも、わたしはたたかえないの……。 みるだけでがまんするの」
「私も参加は見送りますわ。 御ばあ様は面白がりそうですが、御母様に何と言われるかわかりませんので……」
リスピラとチェルティーナも見解を示す。どの道リスピラは公衆の面前には出せないだろう。
それと、実は見た事のないチェルティーナの実力を見れないのは残念でならない。
(闘技大会か……。 自分の実力を確認するには丁度良いかも?)
「私は出ようかな……」
「「「「!?」」」」
私の率直な回答に全員からの注目を集める。
「……え? な、何……?」
「お前……、今の話を聞いててそれなのか? 馬鹿なのか?」
瑞紀に再度悪態を付かれる。私は何かおかしい事を言っただろうか……?
「……アヤリはこういう奴なんだよな」
「うむ、一度考えを見直す必要があるやもしれぬと我も思った……」
「……?」
私が首を傾げると、リスピラを除く全員が落胆したり、溜息を付いたりする。
「(……帰りたい)」
静寂が包んだこの場にて、サフスの悲痛な呟きが全員の耳に届いた。
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