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Episode6 My Skill

遅れてしまい、申し訳ございません。投稿し忘れていました。


==カエデ==マクリルロ宅・研究室==


 グリと約束を交わした翌日、私はマーク案内の元、彼の研究室に居た。


「ドロップの研究を手伝ってほしいんだよ」

「……お断りします」


 私がにべもなく答えると、彼はわざとらしく落ち込んだ。


「そんな事言わずにさ、頼むよ」

「世話になっている身分ですが、私はそういうものに興味はありません」


 彼はドロップの研究をしているのだが、それに対する被験者として期待していたらしい。


「そもそも、マークさんの本職は異世界管理官でしたね? にもかかわらず、その研究とやらに熱中するから私やノートの方が即日帰還できなかったのではないのですか?」

「うぅ……、痛いところを突くね。 でも弁明しておくけど、キミの場合は元の世界に帰すことは可能だったんだよ?」

「!? では何故それを――」

「キミは怪我をしていただろう? 万が一キミが帰還後、治療を受けれなければ亡くなっていた。 だからこそ敢えてそれを見送って治療したんだ」

「そう、なのですか……」


 私が元の世界で唯一覚えている出来事、その時点で私は怪我を負っていた。確かにこの世界に来ていなければ絶命していた可能性は低くはないだろう。


「だから、ボクはキミの命の恩人ではあるんだよ? それを笠に着ることはしないけど、少しぐらい協力しても罰は当たらないんじゃないかな?」

「……何も、するのですか?」


 その言葉に、一応の誠意は見せるべきだと判断した私はそう質問した。


「そう身構える程の事はしないさ。 ただ単に、キミの適性を調べさせてほしい」

「適性、ドロップの適性ですか……」


 あのノートにあったドロップ適性測定器という存在について思い当たる。


「そうだね。 さぁ、この装置の前に座って貰えるかな?」


 彼はそう言って、機械が置かれた前の椅子を示しながら着席を促す。


「……承知しました」


 観念した私はその指定された椅子へと座り、その器具のリストバンドへと手を通した。


「おや、使い方を知っているのかい?」

「……あのノートに書かれていました」

「ふーん、あのノートにそんな事まで書いているとは。 彼女は案外マメだったんだね」


 マークの想像するノートの持ち主を私も想像する。抜けている部分こそあれ、それなりに周囲から親しまれる人物だったのだろう。


「それよりも、キミの適性だね。 ……一応言っとくと、若干の痛みはあるから気を付けてね」

「はい……」


 わずかな緊張を感じつつ、じっと腕を動かさずに待つ。そうして、注射針程度の痛みがありつつも、その検査はすぐに終わったらしい。


「……うん。 それはもう外してもらって構わないよ。 それよりも、キミの適性はやはり()()()()()()ね。 あくまでこの世界基準の話だけれど」

「そうですか……」


 彼の見ているモニターに私も視線を移す。既に語学学習こそ始めているが、習得には至っていない為読む事は叶わなかった。


「……どの様な適性を有しているか伺ってもよろしいでしょうか?」

「そうだね。 火、水、風、氷、雷、岩石、光明……。 キミは実態を持たない現象……いや、属性と呼んだ方が適切かな? それらの適性に強いみたいだ」

「属性、ですか」

「そう。 それ以外の適性もある程度は満遍なく所持しているけれど、精々使えるというレベルだ。 それに対して、今挙げた適性は明らかに逸脱している。 それに、この属性種自体の適性にブレがなさ過ぎて、寧ろ不自然だ。 どれも六という数値を叩き出しているけど、これらの差をこの測定器では表れなかった」

「どれも同じ値……」


 彼の言葉通り、画面には属性のドロップというもののみグラフが均一に表示されていた。それら以外は波が存在することからその異質さが見て取れる。


「この測定器の上限に達しているという可能性は……」

「それはあり得ないね。 馬鹿みたいな適性を持っている人間を調べた際に、これ以上の値は表示されていた。 そんな彼にも数値に波が存在していたのだからキミがおかしい」

「……」

「それに、これじゃあ第一適性が判断できない。 この測定器で調べられるドロップの適性を持っているのか、それともこの属性ドロップのどれかなのか……」


 第一適性。それは確か、託宣のドロップで発揮されるその人を代表する適性の名称だと記憶している。


「それを知ることは重要なのですか?」

「当然だよ。 キミの異常な数値を見せられたからには気になって仕方ないね。 そうだ! 今からでも調べよう!」

「……」

「もちろん、協力してくれるよね?」

「はい、承知しました……」


 私の意思とは関係なく、なし崩し的に彼に付いて庭に向かった。


 ……


「それじゃあ、お願いするよ」

「はぁ……。 わかりました」


 手渡された透明なドロップを持ち、それを躊躇いながらも口に放り込んだ。


(これを噛み砕くんですよね? うぅ、破片とか気になります……)


 舌を使って口内でドロップを転がす。そうしていても仕方がないので、意を決してそれを奥歯で壊した。


(ん!? 破片は残らず、本当に消えてしまいましたね……。 どんな原理で――っ!?)


 そんな思考している刹那、私は自分の体の変化に気が付いた。燃えるように熱く、しかしそれが苦しい訳ではない。寧ろ気分が高揚していた。

 それだけではなく、周囲を見れば空気中の流れる風や僅かな水が、下を向けば地面の土が身近に感じられる。


(私は――)


 手を翳して、その場に水球を生成する。


「おや、キミの適性は水だったのかい?」


 離れた位置で私を見るマークがそう呟くが、私は言葉もなく首を振った。


「なら何の――」

「――見ててください」


 私は生成した水球を凍らせると、同時に生成させた岩でそれを砕く。破片となって散らばった氷片を風で一か所に纏めると、それを同じく生成させた火球で溶かした。


「っ!?」


 同時に複数の属性を使用する様子をみて驚くマークに静かに告げた。


「どうも、全部使えるみたいですね……」

「まさか、ユニークドロップだとでも言うのかい?」


 原理はわからない。けれど、ノートで得た知識及び彼の様子から、普通でない事だけはわかった。


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