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カーテン

 皆さんこんにちは!


 やはり、首都圏の緊急事態宣言は延長されてしまいましたね……。このことでプライベートに少々影響がありまして、この数日はだいぶメンタルやられてました。きっと、この延長で人生が狂った人はたくさんいるんだろうな……。早く平和な世になって欲しい。


 はいはいはい、じゃあ本題に入りましょう! 今日のテーマは「カーテン」です! カーテン……。書くことない!! どうしよう!! カーテンにはカーテンの神が……いや、見たことあるなこの流れ!! うーん、難しい……。


 あ、そういえば、私が生まれて初めて家族から任された仕事が、朝と夕方に縁側のカーテンを開け閉めすることでした。これを一週間忘れずに続けると100円貰えるという、時代を先走る前衛的なビジネスです。


 しかし、死に物狂いで一週間忘れずに続けても、たった100円……。まぁ、当時は駄菓子を買うくらいしかお金の使い道が無かったので十分でしたが、ちょっと安すぎやしないかい母ちゃんや……。


 ということで、当時の労働を時給換算してみましょう。まず、カーテンの開け閉めにどれくらい時間が掛かるのかを算出する必要がありますが、あいにく現場は実家なので正確な測定ができません。


 仕方ないので、極めて精密に開け閉めの様子を妄想してみた結果、30秒くらいでした。これが朝晩一回ずつなので、1日1分の労働になります。すると、一週間で7分だから、時給に換算すると約857円……。おや? 思ったよりも妥当な値じゃないか(´⊙ω⊙`)


 少なくとも、地元の最低賃金以上はギリギリ支払われている! なんてこった、今からでも親に不足分を請求しようと思ったのに、これでは勝ち目がない……。きっと両親も、将来計算されることを想定していたのでしょう。なんて抜かりないんだ……。


 それにしてもこの仕事、結構責任重大です。私が朝カーテンを開け忘れれば、縁側に置いてある観葉植物は日照不足により枯れ果て、薄暗い室内で1日家事を強いられた専業主婦の母親は大変不機嫌になります。


 そして、学校から帰宅した私を待ち受けるのは、B級ホラーもびっくりの阿鼻叫喚な光景……なんてわけもなく、実際は母親が家事の片手間にサッと開けてお終いです。言われなければ、カーテンを開け忘れたという事実すら、自覚していなかったことでしょう。


 これ、最初こそ「今朝、カーテン開いてなかったよ!」という注意を受けていたものの、次第に母親も面倒になってきたのか(結構頻繁に開け忘れていた)、何も言わず無言で開けるようになっていき……。


 気がついたときには、「夕方にカーテンを閉める」という文化そのものが消失しておりました。まぁ、我が家の縁側は普段の生活圏外にあったため、特にカーテンで隠すようなものも無かったんですよね(ちなみに、実家は過疎まっしぐらのド田舎)。


 どうやら、「縁側のカーテンの開け閉め」は、私ら子供たちに「手伝い」という仕事を与えるために、親が無理くり立ち上げた新事業だったようです。最終的には誰も得しない結果となってしまっため、打ち切られたのでしょう。


 なお、カーテン事業が打ち切られた後も、毎週100円は支払われ続けました。もはやただの配給……。というかむしろ、私が親に返還しなきゃいけないんじゃないかこれ。よし、これから実家に帰省した際は、朝と夕方にカーテンの開け閉めをしよう!



「あれ? 今日は閉まってるのか、カーテン」


 縁側にやってきた父が、ポツリとつぶやいた。


 このカーテンが閉じられたのは、何年振りのことだろう。長い間束ねられたままになっていたそれは、変な癖がつき、いかにも不恰好な姿をしている。


「うん、私が閉めた。子どもの頃さー、カーテンの開け閉めが私の仕事だったんに、途中で辞めちゃったじゃんか。それを、なんかふと思い出してさ……」

「そんなことあったなぁ。途中から母さんの仕事になってたもんな」

「あの頃は、まだ母ちゃん元気だったんだよね。懐かしい……」

「そうだな。本当に、時間が経つのは早いものだ」


 そして、母親の遺影を見つめる私と父……。しばらく無言の時間が流れた。私もあと5年ほどで、あの頃の母と同じ歳になってしまう。果たして私は、あんなに幸せな家庭を築けるのだろうか。暗澹とした思いが、センチメンタルな気持ちにさせる。


「ところで……」


 そんな空気を打破するように、父が口を開いた。私は、遺影へ向けていた視線を、ゆっくりと父へ戻す。外からは、春らしい小鳥の囀りが聞こえた。


「閉めるのはいいんだけど、朝になったら開けてくれないか?」


 たぶん父は、このセリフを言いたくて仕方なかったのだろう。今朝開け忘れたカーテンの前で、照れ臭そうに頷く私。もう少しで、お昼になる。今日は何を食べようかな。



 はい、おしまい!! また来週!!(^o^)/

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― 新着の感想 ―
[一言] ささやかな日常の一幕やくだらないようなワンシーンをうまく切り取っていてとても良かったです。 頑張ってください。
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