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コロシアイクルーズ編 プロローグその1


初めましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは。

普段はハーメルンを主戦場にしている、作者の音佳霰里と申します。

この作品を書こうと思った理由は、『せっかちクズ達のクトゥルフ神話TRPG』様と、スパイク・チュンソフト様の『ダンガンロンパシリーズ』に影響を受け、こういったサスペンス物を書こうと思ったからです。

それと、次回以降からはアンケートを多用して、ストーリーを読者の皆さんに決めていただく形にしたいと思っています。

それでは、本編どうぞ!


 ―――四月五日、午後十時。




 俺の名前は『藤内弘貴(ふじうちひろき)』。毎日課題とバイト、そして趣味に明け暮れている、どこにでもいるような、普通の大学三年生だ。

 俺は今、普通の人だったら出歩くことなどそうそう無いであろう時間に、とある場所を目指して歩いている。

 俺がどこを目指して歩いているのかというと、自宅から車で三十分かかる、近いとも言えないでもない、何の変哲もない、寂れた漁港だ。

 これはGoogleマップで調べたことだが、その漁港の周りにはこれと言って何も無いらしく、遊びたい盛りである一大学生が向かうのには少々物足りない様に感じる。が、なぜ俺がその漁港にわざわざ歩きで向かっているのかというと、昨日の朝、俺の家に届いた一通の手紙に理由があった。





 ―――四月四日、午前七時。




 フジウチ

「ふわぁぁぁ……」


 俺は、いつもの様に趣味の片づけをした後、二階建てである自宅の、二階にある自室から一階へと降り、これまたいつもの様に朝食を摂っていた。

 ちなみに、先ほど『二階建ての家に住んでいる』と言った俺だが、この家の本来の持ち主である両親は、海外出張という体でシンガポールへと遊びに行っており、ここ一年は帰ってきていない。もう二度と帰って来るなこのラブラブカップルめ。

 俺は慣れた手つきで朝食の後片付けを終えると、午前九時から始まる大学に間に合うように、余裕を持たせて七時半位に家を出た。

 家を出て、玄関のカギを閉める直前に、視界の端にあるポストの中に、何か白いものが見えた。


 フジウチ

「……? なんだろ……」


 普段から俺、というか家族全体が、新聞とかチラシとか、とにかくそういった郵便物の類をお断りしているので、形だけのポストの中に手紙が入っている、という事態がどれだけ異常なのかをわかっていただけるだろうか……

 そんな風に我が家の事情を脳内で披露しながら(誰かに聞かせるわけではないが)、ポストの中を覗いてみると、中には一通の高級そうな手紙が入っていた。

 その手紙は、いかにもお金持ちの使っていそうな、黒のバラがあしらわれた真っ白な便箋に入っていて、中央は手紙が飛び出ないように、とご丁寧にも赤いバラの封蝋(※封蝋……蝋を溶かして、糊替わりにした物。少し昔の洋画等で見ることができる。)で留められていた。

 オンライン上で何でも済んでしまう様なこのご時世に、わざわざ手紙―――それもこんな高級そうな―――を家なんかに送り付けるような物好きはいったい誰だろう、と思いながら開けると、次のような内容の手紙が入っていた。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 藤内弘貴様


 私は貴方の『秘密』を知っています。それもバレたら貴方の人生に重大な影響を及ぼすような。《/color》

 もしその『秘密』がバラされたくなかったら、四月五日の午後十一時、S県N市の〇〇漁港にお越しいただきますようよろしくお願いいたします。

 また、この手紙は招待状も兼ねておりますので、お越しの際はこちらのお手紙を必ずお持ちいただきますようお願い致します。


 木宮きらら


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 フジウチ

「……なんだって?」


 思わずそんな声が出てしまう。

 気のせいだろうか、そう思って目をこすってから改めて見直してみても、その文面はちっとも変わるそぶりを見せない。

 首を傾げながら、俺はこの手紙について考える。


『木宮きらら』


 木宮きららとは、日本有数の財閥、『木宮財閥』の一人娘。

 両親の愛情とその権力を一身に受け、すくすくと育った、いわゆるボンボン。

 そんな木宮きららだが、面白い噂には事欠かさない人物……否、木宮きららという人物を語る上で、そういった噂は欠かすことの出来ない人物だ。

 例を挙げるとするならば、『木宮きららは複数の影武者が常にいる』『木宮財閥は全員が何かしらの武術を極めている』といったものだろうか……

 そういった噂が出る理由は、彼女が毎月の様に開催している、あるイベントにある。

 イベントには毎回十六人の人間が招待されて、完全非公開で『パーティー』を開いているみたいだ。

 彼女の所有する『ユスティノフ号』という豪華客船がパーティーの会場になっているらしい。

 あとは……そうだな、あの噂についても少し触れておくか。


『木宮きららのある噂』


 一時、木宮きららのファン達(ファンがいること自体が意外だった。なんにでもファンは付く物なんだな……)の間に流れた噂がある。

 それは、『木宮きらら死亡説』というものだ。

 この噂は、木宮きららのパーティーに参加したと名乗る女性が、SNS上にアップした『木宮きららが目の前でバラバラになって死亡した』というコメントが発端となって、一か月もの間、論争が巻き起こっていた。

 このコメントがアップされた当初は、テレビニュースでも取り上げられるほど話題となったが、彼女が再びパーティーを開いてからは、テレビでもニュースでも一切合切その話題を見なくなってしまい、奇妙な感覚がしたのは、当時中三だった俺もしっかりと覚えている。


 ……こんなところだろうか。

 もう少し調べてみたかったが、これ以上は授業に遅れてしまうし、ネット上の情報もあまり良い物が無さそうだったので、ここいらで切り上げることにした。

 俺は手に持っていたスマホを着ている上着のポケットにしまい、最後に手紙に一度目を落としてから、玄関の鍵を閉める。

 しっかりと鍵が閉められているのを確認した俺は、改めて学校へ向かうのだった。




 ―――四月五日、午後十時半。




 俺はようやく集合場所の漁港へと到着した。

 集合時間の三十分前だからだろうか、まだ参加者と思しき人は二、三人しかおらず、Googleマップの画像データで見た通りの寂しい印象が与えられた。

 まだまだ全員が集まるには余裕がありそうだったので、俺は一番近くにいた、気弱そうな、黒縁の眼鏡をかけた茶髪の男性に話しかけてみることにした。


 フジウチ

「こんばんは」


 ??? 

「……こ、こんばんは……」


 フジウチ

「えっと……あなたもこのパーティーの参加者なんですか?」


 ??? 

「は、はい……ということは貴方も……?」


 フジウチ

「えぇ……昨日の朝に手紙が届きましてね……」


 ??? 

「僕もです。いったい何が何だか……」


 そういうと男性は、腕を組んでイラついたような雰囲気を出している。

 それに俺は苦笑しながら答える。


 フジウチ

「それはみんなが思っているなんじゃないですか? ……それはそうと、ここで会ったのも何かの縁です、お名前を伺っても?」


 俺がそう言うと、男性は「忘れてました」なんて言いながら、こちらに自己紹介をする。


 ??? 

「はい、僕の名前は『四宮眞樹(しみやまさき)』と言います」


 フジウチ

「なるほど、四宮さん……ですね。俺は『藤内弘貴』と言います。よろしくお願いしますね」


 シミヤ

「えぇ、よろしくお願いします……藤内さんは、見たところ大学生、ですか?」


 フジウチ

「はい、そうですけど……」


 シミヤ

「やっぱりですね! 経済学部ですよね、〇〇大学の?」


 フジウチ

「えぇ、まぁ……」


 俺は、俺の個人情報をポンポンと出してくる目の前の男に、不信感を抱く。

 そんな俺の様子に気付いたのか、四宮は急いで謝ってくる。


 シミヤ

「あっ! すっ、すみません! 別にストーカーとかそういうのじゃないんです! だから引かないで!」


 さすがにそれは無理があるんじゃないか? 

 半歩後ろに下がりながら、そういった思いも込めて半目で睨む。


 シミヤ

「あぁっ! 全く信用されていない目線っ!! 違うんです僕は貴方と同じ学年で学部だから敬語は必要ないって言おうとしたんですだからそんなに引かないでっ!!!」


 フジウチ

「……それは無理があるだろ」


 シミヤ

「あっ! ようやく敬語が抜けましたね! ……でも信用してませんね!? なら良いです! こちらをご覧下さいっ!」


 そう言うと、四宮は肩にかけているショルダーバッグから、財布を取り出す。

 何をするのだろうと見ていると、彼は中から1枚のカードを抜き出し、こちらへ突き付けてくる。


 シミヤ

「ほ、ほら! 学生証ですよ! これで問題はないと思いますぅ!」


 フジウチ

「ん……まぁそうだな。……でもお前本当に同じ学部か? 見た事無いぞ? お前みたいなやつは」


 シミヤ

「……ほら、僕ってなんか印象薄いじゃないですか、だから覚えてないんだと思いますよ? きっと」


 フジウチ

「……そんなもんか?」


 シミヤ

「えぇ、そんなもんです」


 正直言ってそれはよくある。

 俺も俺自身があまり目立ちたくないのもあるが、一ヶ月ぶりに会った人とかに話し掛けると『誰?』とかよく言われるからな……ああいうのってなかなかに悲しいんだぞ。


 フジウチ

「そう言えばお前、なんで敬語外さないの? タメなんだろ?」


 シミヤ

「いやー、これはもう癖みたいなものでして……今までに何度か『敬語を外せ』と言われましたが、いずれも10分も持たず……」


 フジウチ

「んー、まぁお前がそう言うなら良いけどさ……とにかく! これからよろしくな、四宮!」


 シミヤ

「えぇ、よろしくお願いします!」


 そうして、俺達は握手をする。

 四宮に断りを入れてから、もう一人居た男性に声を掛けようとする。

 すると、もう集合時間になっていたのか、いつの間にか周りには年齢の違う、十五人の男女が居る。

 ……なんだアレ。どう見ても未成年な和服の子とかいるぞ。良いのか? 確か青少年健全育成条例とかあっただろ……

 俺が周りの人達を見回していると、黒服を来た人が、暗闇の奥からぞろぞろと、俺達を取り囲む様に出て来る。

 自然と俺達は、黒服の作る円の中央に集まるような形になる。

 俺達の間に緊張感が走る。

 すると、黒服の円の外から、新たに1人の黒服が入ってくる。

 その黒服は確認する様に俺達を見回すと、口を開く。


 クロフク

「皆さん、お集まりですね。……それでは、皆さんにはこれより木宮きらら様主催のパーティー会場へと移動して頂きます。なにか質問のある方はいらっしゃいますか?」


 黒服が、俺達に確認する様な声で聞く。……が、誰も声を上げない。

 黒服はそんな俺達を、30秒程待った後、頷いて、ほかの黒服達に指示を出す。

 俺達にその指示は聞き取ることは出来なかった。

 指示を出し終えた黒服は、俺達に向き直ると、先程よりも少し大きな声で、俺達にしっかりと届くように言う。


 クロフク

「かしこまりました。それでは、これから皆さんには、パーティーの舞台である『ユスティノフ号』へと移動して頂くのですが、場所が分からないように、皆さんには少しの間、眠っていただきます。少々手荒になってしまいますが、お許しください」


 そう言うと、黒服が一人一人の腕を掴む。

 その手には中に液体の入った注射器が握られており、誰でもこの後注射器が刺される事が、容易に想像できる。

 そして、俺の腕に注射器が刺さり、中の液体が体内へと流れ込む。


 フジウチ

「うっ……!」


 いきなりの鋭い痛みに声が出てしまうが、それよりも眠気が身体を蝕んだ。

 薄れゆく意識の中で、俺が最後に見たのは、段々と光を失いゆく、集合場所である漁港の姿だった―――。



疲れた(唐突な脱力)

この作品を書こうと思った理由なんですが、元々は『せっかちクズ達のクトゥルフ神話TRPG』様のリスペクトをして、TRPGのシナリオを一本書きあげ、それのリプレイ風小説にしようと思っていました。

が、自分には書き上げるだけの技量がなかったので、この形に落ち着きました。

ちなみにこの話、及びあらすじの辺りからもう伏線が増し増しになっております(だから疲れた)。

それでは、次回でまたお会いしましょう。

以上、音佳霰里でした〜。

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