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7話 回復
美しい花が、私の目の前を通り抜けていった。
呼吸をする度に、良い香りがする。
「レナ殿!」
藤吉郎君の声。いつもと同じ、明るい声。
「まだまだこれからでありますぞ!毒などで倒れてはいけませぬ!」
毒?ああ、私、毒にやられて死んだのね。
誰かしら?トモキかな。
「レナ殿、レナ殿、レナ殿。」
藤吉郎君の声がだんだん社長の声になってきた。
「レナっ!!」
私の視界は一瞬で病院の個室に切り替わった。
「レナ、犯人が分かった。トモキの妹・ミナだ。トモキは出仕停止、ミナはクビにしといた。」
「そうですか。」
「もう退院できるらしいが、依頼が来ている。引き受けてくれるか?」
「かまいません。」
「依頼人は最上義光。駒姫を助けてほしいと言っておる。会って、うまくごまかせ。」
「はい。」
駒姫は、豊臣秀次の失脚にともない、命を落とした悲劇の主人公。
「分かりました。」
カプセルに入った。