4話 藤吉郎君の本性
気がつけば、私はふかふかの毛布にくるまっていた。
部屋に信長様が入ってきた。
「具合はどうだ?」
「腹が減りました。」
「柿か?」
「はい。」
藤吉郎君が柿をもってきてくれた。
「お館様、家康殿が面会を望んでおられます。」
「今行く。藤吉郎、レナの世話はお前に任せる。ただし、ぜったいに手を付けるでないぞ。」
「ははっ。心得ております。」
本当かな。のちに大勢の側室を向かえることになる藤吉郎君だから、多分うそだと思う。
信長様は部屋を出ていった。
「あの、れ、レナ殿。」
あれ?何で私の名前知ってるの?まあいいや。
「何?」
「レナ殿は恋する人、おりますか?」
「いる。」
「ど、どのようなお方で?」
「光源氏みたいな人。勉強もできて、優しい人。」
「わしではだめですか?」
それきた藤吉郎君の本性。
「きっぱり言うわよ。だめ。」
「そ、そんな。どこがいけないのですか?」
「あんたろくに勉強もしてないじゃない。聞くよ。枕草子って誰が書いたの?」
「清少納言。」
あら、やるわね。
「蜻蛉日記は?」
「藤原道綱の母親。」
意外と学問に励んでるのかも。
「鎌倉幕府初代将軍は?」
「源頼朝。」
「最後、応仁の乱で荒稼ぎした女性は?」
「え?」
「はい残念。だからいやなのよ。でも、そういう明るい心は大好き。」
その言葉を聞いたとたん、藤吉郎君はすごく喜んだ。
「もう、大丈夫だって信長様に伝えて来て。」
「か、かしこまりました。」