3話 出陣
私は特別に、輿を用意してもらった。
「ついたぞ、おりろ。」
「はい。」
少し、天気が悪い。小雨がふっている。
「柿でも食うか?」
「はい。」
私は柿をもらった。
柿にかぶりついていると、柿の表面に水滴がぽたぽたと落ちてきた。
雨だ。雨がだんだんと強くなってきた。
「天が、我らに勝てと言っている。」
「お館様!申し上げまする!今川軍は、桶狭間山にて、弁当をとっておられます。」
「よし。全軍、桶狭間山に向かえ!」
またまた輿に乗って移動した。
眠かったから、少し横になった。
わあああああっ。
叫び声や唸り声がうるさかったので、私は起きてしまった。
「姫様!」
男の人が入ってきた。
「姫様って、私のことですか?」
「そんなことはどうでもいいのです!とにかく、この甲冑を身に着けて下さい!」
「戦えってことですか?死んだらどう責任取るんですか!?」
「そんなことはございません。もし姫様が討ち取られるようなことがあったら、われら家臣団は全員自害する覚悟にて。」
「そういう意味ではなくて!」
「我ら家臣団、命をかけて姫様をお守りします。」
「わ、分かりました。でも甲冑の着方分かりません。」
「手伝います。」
甲冑を着させてもらった。
すごい、私、本物の甲冑を着ている。
輿から出て、抜刀した。
早々、足軽が襲いかかってきた。私は足軽の胸を刀で刺した。
「来るなら来い、足軽ども!」
そう叫びながら、3人の足軽を切った。
倒れてきた足軽とぶつかった。
体が傾いているなか、馬上で槍をぶんぶん振り回している武将が見えた。ああ。多分、信長様だろう。
ドサッ。
後頭部で鈍い音が響いた。そのまま、意識を失った。