邂逅
ある時、男は言った。
「あれは何でしょうか。」
男は外を見つめ、怒りを覚える。
どうゆう事だろうか。
少しずつ進んでいく。
「時のことを言っているのか。」
私は、そう問う。
「ああ、その指摘は的を得ているのではないだろうか。」
彼は、そう尋ねる。
「意識、規範が、作品を導いているとするならば、私が最終的にそれがすべてだと思っていた。」
私は、そう聞く。
「君、それが『倒錯する』ということだよ。」
「ここは、舞台だ。ゆえに流れてくる曲、聞こえてくる曲は、すべて作り物だ。
私たちは、私たち自身の代理人であるのだ。
私は、本当に私を演じただろうか。」
彼は、そう疑問に思う。
私は、窓から真っ直ぐに伸びる大通りを見つめる。
道のわきに止めてある、数台の車。
「私は、ここにいる。ここにいる私がすべてだ。」
私は、意識せず、自然と言葉が漏れてゆく。
ある一室に男性が二人
いた。
「オートマティズム、本来あるべき我々の全体像の一部をこの言葉に感じないか?」
チャールズ・ブロックは、深川透にそう尋ねた。
「芸術領域の言葉だったかな。元々は、精神医学用語らしいな。」
ブロックは、窓から外の様子をうかがう。
部屋の中は、本が広がっていた。
一般人がこの状態を見れば、
「だらしがない。」
とレッテルを張られるだろうか。
なぜなら、確かに一見すれば、散乱しているようだが、数分で規則性を見出すことができるからだ。
深川は、その中央に一つ置かれた椅子に腰かけていた。
ブロックは、深川に背を向けて起立して窓を見つめ、微動だにしない。
深川は、反対にコーヒーを飲んだり、貧乏ゆすりをしたり、落ち着きを見せない。
「やはり、知っていたか。」
とブロックは、返すのだった。
「ところで、まさか、この一杯とオートマティズムの認知確認をするために俺を呼び出したわけではないだろう。」
と深川は、しびれを切らしてブロックに部屋の大きさには合わない声量で、問いかける。
ブロックは、それに答えるように深川の方に体をむける。
「君は、僕が呼び出さないとあの暗い部屋に引きこもっているだろう。」
「お前も大概だろう。大よそのことは、深いところまで行けないから退屈なんだ。」
ブロックは、わずかな笑みを浮かべて、彼専用の部屋に見合わない大きな椅子に腰を掛け、まるで何かを確信するかのようにうなずくのだった。
「浅いところだとしても、いろいろな切り口を得られるだろう。
外をでることをお勧めするよ。
僕らの意識は、いちお、上がってこれているのだからね。」
二人の場は、一転して、ある病室らしき空間にいる。
二人の目の前には、女性がベットの上に横になっている。
「彼女は?」
と深川は、当然の質問をする。
「僕が、最後に見た時までは、この女性の中には、当人以外のもう一人の意識が入っていた。」
「潜ったのか。」
ブロックは、深川の尋ねには、すぐには返さなかった。
そして、光の無い女性の瞳をブロックは、見つめ続けた。
空間には、いったい何が流れているのだろうか。
化学の観点から見れば、細分化を論理的に求められるだろうか。
我々は、我々自身のつながり方を全く理解することなど、できるのだろうか。
そもそも、そのつながり方とはいったい何なのか。
物理的、精神的、神学的つながりに共通点は、あるだろうか。
強いて言うなら、
『意識すること』
である。
「深川、頼む。協力してくれ。
僕一人で潜り、戻ってくる自信はないんだ。
危険なことであることは、間違いないと思う。」
ブロックの懇願に、
「共時性を感じるのは、傲慢かな。」
と深川は、返すのであった。




