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最弱がザコだなんて誰が決めた?  作者: Ver
第二章:僕はタダの村人A、存在感はそれ未満。
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第二話:村人Aですから

 僕達のパーティの目の前に立ちはだかる、手に武器を持った男達。どいつもこいつも目つきが悪く、嘲笑う様に見ていた。


「ハッハッハッ! 運が悪かったなぁ、えぇ? 流石にこの人数に囲まれちゃあ、おしまいだろう?」


 道は細く、馬車がギリギリすれ違える程度しかない。左右には茂みの先に森が広がっており、その木々の合間から僕達へ矢を向ける人間達が居た。

 その数は、優に20を超えると、メリアさんから伝えられた。

 その手段は口ではなく、魔道具である【魔導通信機(トランシーバー)】だ。5つの個体が一セットとなっているこれは4つの子機と1つの親機から成る。

 通信可能な範囲は約500mと結構広い。そしてその親機を付けているのは、僕だ。僕が持っているのが最も安全であるというのはライドさんの提案である。


「おいおい、なんだなんだ揃いも揃って押し黙っちまってよぉ」


 この魔道具を購入したのは、前回お互いに連絡を取ることが出来ずにみんなに心配を掛けてしまったからだ。

 前回の二の舞にならないように、と思って僕が買ってきた物だった。

 そんなことに想いを馳せていると、目の前にいた男が隣に居る男と会話をしていた。態と声を大きくしている様だが……。


「女が2人、全員で回すか?」

「良いですねぇ。男の方はどうします?」

「ありゃ労働奴隷にでもしとけ。たかが二人(・・)だ」


 やっぱり僕には気づいて無かった。ルドガーさん、ライドさん、僕で男は3人なのに……。まぁ、今更か。


《クソ、どうする……?》

《伏兵だけでも結構キツイ。突破するには……》

《魔法で焼き払ったら引火するし……どうしようかしら》


 仲間の声ではなく、思考が流れ込んでくる。


《……目の前の奴に気付かれずに伏兵を無力化することは出来るか?》


 ライドさんの思考が僕に向けられる。僕はそれに答える為に思考を送った。


《僕は村人Aなんで、多分全然行けます》

《ムラビトエー、って何だ?》

《そこら辺に居るようなやつで居ても誰も気付かない奴のことです……》

《その……なんだ。頼めるか?》

《はい……》


 言ってて若干悲しくなりながらも、僕はパーティメンバー達から離れる。取り敢えず普通に歩いて茂みへと向かっていく。

 そんな目立った行動をしたにも関わらず、まだ盗賊の誰も僕の存在に気づいていなかった。

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