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最弱がザコだなんて誰が決めた?  作者: Ver
第一章:ステータス最弱。実態も最弱。
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第四話:最弱がどうした

 サーティさんの前を走っていた僕は、咄嗟に後ろを振り向き、停止する。


「……ッ」

「サーティ!」

「サーティちゃん!?」


 僕の声で気付いたのか、前に居た三人も気付く。だが、気付くのがやや遅れたせいで距離が空いているし、メリアさんの魔法では僕たちを巻き込んでしまう可能性がある。


(サーティさんを……守る!!)


 最弱がなんだ。ステータスがどうした。

 その程度で恩を捨てる様な人間になるくらいなら、突貫して死んだほうがマシだ。不思議と頭にあったのは恐怖ではなく、闘争心とサーティさん目掛けて突進してくるゴブリンへの怒り。


「【魔弾(バレット)】ーー!」

「おい!!」


 僕が臨戦態勢に入ったのを見て、ライドさんが声を上げる。三人は既に【補助魔道具】が無くても逃げ切れる距離にある。後はこっちでどうにかする。

 それが分かっているのか、声こそ荒げたがライドさんは此方へは向かって来なかった。


「【風衝弾(ストームエクスプロージョン)】!!」

「きゃぁぁあ!?」


 僕はサーティさんの足元の、僅かに後方へ狙いを付けて弾丸を放つ。この弾は反動が大きく、腕が悲鳴を上げているのが分かる。

 でも、ここで止まるわけには行かないーー!!


「走って!!」


 僕は風に飛ばされるように走ってきたサーティさんの手を掴んで、前へスイング。その反動で僕は尻餅をついた。やばい超痛え。


「え、ちょ」

「早く! 僕は大丈夫(・・・)だから!!」

「……っ、分かった!」


 僕は尻餅を付いた状態でみんなを見送る。大丈夫、サーティさんには握った時に【補助魔道具:身体性能】を持たせておいたからきっと逃げ切れる。

 それに、僕にはパーティ全員の場所が分かるアレがある。きっと、どうにかなるだろう。


「……さて」


 僕は、横を素通りしていく(・・・・・・・)ゴブリンの集団に轢き殺されない様に避ける作業へと移った。


『ホント、ザコどころか完全無視ですよね。まぁいつも通りってことで』


 僕は半ば諦めの境地へ踏み入れていた。今の言葉を理解できる人間は、この世界には居ないであろうが。

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