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序章ビギニング

私は気が付くと、病院の屋上のような場所に寝転んでいた。


「あ……れ……?」


どうして此処にいるのか、自分でも覚えていない。ふと、近くに下へ行く階段を見つけた。とりあえず、下に行って、人に会ったら何があったのかを詳しく……。


「お、やっと起きた?」


「うわぁ!?」


突然後ろから話しかけられ、驚いて後ろを振り向く。そこには18歳位の青年が立っていた。


「おいおい、そんなに驚かなくていいじゃんか」


青年はケラケラ笑って、まるで私の知り合いかの様に話しかけてくる。当然、私はこの人を知らない。私がキョトンとしていると、青年が「どうかした?」と訪ねてくる。

私は、青年に話しかける。


「え~っと……もしかして、どこかで会ったことがあります?」


「いや、全然」


即答された。ではあなたは誰なんだ。私がそう問いかけるより先に、青年が「あぁ、そうか」と言って問いかけてくる。


「そっか、そりゃ知らない奴にいきなり話しかけられたら戸惑うよな。……初めまして。俺はゼツ。死神だ」


「死神……?」


あまりにするっと、自分を死神だと言い切った。まずい変な人が出てきた。これが噂に聞く[中二病]と言うやつだろうか?

取りあえずこう言うときはどうすればいいんだろう?相手に合わせておけばいいのかな?


「あんた今、俺のこと変な奴って思っただろ」

「あ、バレちゃいますか」


「当たり前だ」と少し不機嫌そうな顔でこちらを見てくるゼツ。私は彼に質問をする。


「で、そんな死神さんが、どうして私に話しかけてくるの?」


私の意思として、何かこの人とは関わってはいけない様な気がする。なんとなく、面倒事に巻き込まれる感じがする。だから、此処で特に用事が無いんだったら、私はすぐにこの場から離れようと思った。

だけどゼツは、至って真面目な顔でこう告げてきた。


「いや、死神が目の前に立ってたら思い付く答えは一つじゃないか?」


それってもしかして……


「いや、ありえないありえない。死んでるとか、絶対にありえないし。現に、今こうして話せてる訳だし、死んでるわけが……」


ふと、自分の体が視界に入る。なんか体が透けていて、地面が見える気がする。あ、アレーオカシイナー……。


「おーい、大丈夫かー?生きてるかー?」


「えと……大丈夫じゃない。え?もしかして、私死んでる……?死んでるの?て事は、あなた……本当に死神……なの?」


「だから、さっきからそう言ってるだろ。何聞いてんだあんた」


本人がずばっ、と言い切った。どうやら本当に死神らしい。私は現在の状況が段々怖くなってくる。私は立ち上がり、逃げると同時に息を吸い込み、悲鳴をあげる。


「きゃああ…もご!?」


悲鳴をあげた途端、いつの間にか私の前に立っていたゼツが私の口を抑えて完全に声を遮断し、息を出来ないようにした。私が離して欲しくジタバタしていると「落ち着け」とゼツが更に圧力をかけて抑えてきた。

流石の私も息が出来なくて苦しくなって……ふと、私はとんでもないことに気がついた。


「んんんんぐ、んんんぐんぐ!?」


「何言ってるのか分からない。ちゃんと話せ」


「んぐんっんんんんんんん!!」


後から行った方はわかったのか、ゼツは私を離した。ちなみに、さっき言ったのは「まずそっちが離してよ!!」だ。

私はゼツに開放してもらい、さっき言おうとしたことを口にする。


「ぜ、全然……苦しくなかった……?」


あんなに強く抑えられていたのに、息もできたし苦しくなかった。これはつまり、本当に私が死んでいるということなのだろうか。


「ね、ねぇゼツ?……私ってほんとに、ほんとに死んでるの?」

「あぁ、本当に死んでる」

「絶対?」

「あぁ、絶対絶対」


そうなのか、私死んだのかー……。ガクッと膝の力が抜けてその場に崩れ落ちる。

そんな私の姿を見て、ゼツが話しかける。


「なぁ、あんた。もし生き返れるとしたら、俺と契約する覚悟があるか?」

「え……?」


私はゼツの方を見る。ゼツは私に手を伸ばしながら続けて言った。


「少し辛いかもしれないけど、俺に力を貸してくれればあんたを生き返らすことができるかも知れない。

どうだ、力を貸してくれないか?」


ニヤリと笑うゼツ。この人が言っていることがもし本当なら、こちらにしても悪い条件じゃないことは確かなこと。でも、相手は死神。死神については全く知らないけど、なんか悪そうなイメージがある。

でもここは乗っておくべきかな……そうしないと死んじゃうわけだし。


「どうだ?」

「……わかった、あなたに協力する」

「まじか!?よかった……これであのババアにごちゃごちゃ言われなくて済む」


ゼツはさっきの態度とは全く違う……まるで新しい玩具を買ってもらった子供のように笑顔になって、クルクル回りだした。

ふとピタリとゼツは足を止めて、こちらを振り向いた。


「そういや、まだあんたの名前聞いてなかったな。名前は?」

「そう言えばそうだね、えっと、私は柳澤美桜って言います」

「ミオね、よし覚えた。それじゃ、急いで俺たちの隠れ家に行こう!ほら、早くしろっ!」


私は腕を引っ張られ、死神についていく。

こうして、私と死神のよくわからない関係が始まった。

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