友達
いくら好きだと思っても、この想いを伝えることはしない。
伝えてしまったら終わり。
私と貴方の関係も、私と貴方を取り巻く仲間との関係も。
だから、永遠にこの気持ちを口にすることはない。
それなのに、私の心は矛盾ばかり。
次はいつ会えるんだろう。
貴方の笑顔を見れるんだろう。
貴方の隣に座って、馬鹿話をすることができるんだろう。
社会人になって2年目の私たちには、無条件で会う約束なんて存在しない。
それなのに、あたしの心は引き裂かれそうなほど貴方のことを考えている。
貴方のことばかり考えている。
小学校の同級生。
仲のいい男女。
それだけのはずだったのに。
いつから、貴方をそれ以上の人と感じてしまったのだろう。
「最近、君の口癖がうつったよ。」
そんなことを言われて、泣きそうなほど嬉しくなってしまった。
貴方の心に少しでも、入り込めているんじゃないのかって。
貴方の心の大部分を占めるのは、最近できた美人な年上の彼女であっても。
2人で会うことはしない。
2人で会ったら、私の気持ちが溢れ出てしまうから。
平穏で、幸せな友達関係が崩れてしまうから。
それでも、仲のいい同級生数人で旅行に行ったり、遊びに行ったりすると2人の時間ができてしまうのだ。
周りは、ふざけて私たちをナイスカップルと呼ぶから。
その瞬間だけは、堂々と貴方の横にいることができる。
車で出かけるときは、運転手はいつもお人好しの貴方。
助手席はナビゲートがうまくできないのに私。
この距離感が落ち着くのだ。
後ろの席と少し違う空気感を、2人だけで共有してたまに手が触れたり、ペットボトルの蓋を開けてあげたり、たまに目があったり。
この関係を崩してまで、貴方を手に入れようとは思えないんだ。
緩やかに、緩やかにだんだんと貴方を嫌いになれますように。
緩やかに、貴方の本当の幸せを願うことができますように。
心がキシキシと悲鳴をあげる。
目からは涙が溢れる。
次に貴方に会えるのは、貴方の笑顔を見れるんのはいつなのだろう。
貴方の幸せな姿を見ても心が痛まなくなるのは、いつなのだろう。