もう一人の自分(その1)
ブラック企業ではないと思う。
「神社儲かるようにする約束、だったわよね」
「うん、そうだけど。」
「掃除と洗濯くらい、私だってしてるわよ!」
あれから毎日掃除と洗濯くらいしか働いていない。
実際、こんなことではダメだって分かってるけどね。
「来ないから仕方ないだろう。」
「そこはあんたが考えてよ。」
「そこまで丸投げされます!?」
まあ、そんな感じで神社の経営を任せられ、事実上、ここの経営者になった。
「それはさすがに来ないはずだわ...」
道が整備されておらず、至るところに苔がはえている。
標識の文字はかすれて、よく読めない。
「整備するしかないよな...」
「しかし、こんなところに来る人なんていないだろ。」
階段は長く、一息つける場所もない。
おまけに、この先についても賽銭箱くらいしかない。
「儲からないわけだよ」
よく生活できるな、霊夢...
とりあえず、これからやることをまとめてみた。
・道、標識の整備
・休憩所の設置
・名物となるような物を作る
ざっとこんなところだろう。
道が長いから、これは辛い作業になる。
名物は、霊夢に考えてもらっとくか。
翌日の朝4時。
昨夜につくってもらったおにぎりを食べ、駿の仕事が始まる。まずは人里の近くから道の整備を行う。
標識の整備も欠かさない。持ってきた道具で標識に文字を書き直し、はえている苔を落とす。
道が凸凹しているので、平らに踏みやすいようにする。
この作業が夕方まで行われ、この作業が二週間程続いた。
霊夢はこれに感心してか、駿に対する態度が変わる。
駿はいつも通りがいいといったが、
「こんなに頑張ってるからちょっとくらいいいわよ」
と言って、態度が変わることはなかった。
この作業も終わりに近づいた日。
その時、予測しない出来事が駿を襲う。
霊夢「いやー、駿がよく働いてくれて助かるわ♪」
魔理沙「お前、ちょっとヤバくないか」
霊夢「これで博霊神社も安定して、一件落着よ。」
ゆくひめ「こういう時、誰もが図にのるよな。」
霊夢「図にのるとは失礼ね」
魔理沙「自覚しろよ、まったく」
ゆくひめ「今回はこれで終わりです。」
??「くだらねぇ」