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十七話

-翌日、視察一日目。

ハレイストは朝食を食べていた。同じテーブルにはエレン、トーレイン、イルニス、そしてレイスが座っている。

 本来なら同じテーブルで食べるのは王族に対する無礼なのだが、その王族に命令されてしまっては逆らえるはずも無い。まして、ハレイストが泣きそうな顔をしたのだ。逆らえるはずが無い。

「で、今日は何処に行けば良いんだっけ?」

 朝食を食べ終えたハレイストが正面に座るレイスを見る。レイスは久々のハレイストの王族らしくない振る舞いに懐かしさを覚えていた。昔はこんな事は日常茶飯事だったのだ。何度か領地の人々を招き、身分関係無くお祭りをした事もあった。

「今日は街の方に行って頂きます。街の様子を知るのが一番良いでしょう?明日からは各貴族の屋敷を回って頂きます」

 レイスの言葉に嬉しそうな顔をしたハレイストだったが、後半の言葉にとても嫌そうな顔をした。その隣ではエレンが気遣う様な視線をハレイストに向けている。イルニスは背筋を伸ばし、姿勢良くレイスを見ている。トーレインは一人紅茶を飲んでいる。

「貴族の屋敷…門前払いされないかな?」

 ハレイストは不安そうな顔をした。城であれだけ疎まれているのだ、貴族達に好かれているとは思えない。中には例外も居るかもしれないが、そんな例外はほんの一握りだろう。

「大丈夫ですよ。そんな事になったら俺が切り捨てます」

「貴方が言うと洒落になりませんわ。ですが、許可します。是非やって下さい」

 物騒な発言を至極真面目にしたイルニスを咎めるのかと思われたエレンがまさかの発言をした。真面目なイルニスならやりかねない。切った理由などはエレンが適当にでっち挙げてしまいそうだ。

 ハレイストは助けを求めるようにトーレインを見たが、トーレインは静かに紅茶を飲んでいるだけだった。口を挟む気は無いらしい。

「お二人共、殿下が困っていらっしゃいますよ。落ち着きなさい」

 黒い笑みを浮かべていた二人をレイスが窘める。

 ハレイストは此処に常識人が居た事に心から感謝した。此処にルクシオンが居れば、もっと酷い事になっていただろう。おそらくルクシオンはレイスの言葉では止まらないだろうから。ハレイストが言えば止まるだろうが。

「取り敢えず、この後支度をしたら街へ行きましょうか。皆殿下をお待ちしていますよ」

 静かになった二人を見て微笑みながら満足そうに頷いたレイスはハレイストに向き直る。

「楽しみだな。皆に会うのは三年ぶりかな?」

「ええ、盛大なお祭りを開いて以来ですね」

 ハレイスト楽しそうに言うと、レイスは昔を思い出しているのか、視線を空中に留めた。

 三年前の祭りはそれはそれは盛大だった。街中に祭りの用の明かりが灯され、街には屋台が溢れた。近隣からも人が集まり、街はかつて無い程の熱気に包まれた。催されたのは告白大会や武術大会。その時に出来た恋人達は今も尚幸せにしている。

 それらの費用は全てハレイストが出した。貴族から献上された品物を最低限残し、不要な物は全て売り払っている為、金は溜まっていく一方だったのだ。元々物欲が余り無いハレイストには金の使い道が無かったのだ。

 それに、どれだけ城で疎まれていようと王子なのだ。国王から賜った領地がある。決して広くは無いが、毎年豊富な作物が取れる。領地の利益も意外にあるのだ。その利益をハレイストが使う事は余り無いが。

「早く支度して行こうかな。玄関に行けば良い?」

 ハレイストは待ちきれないのか、立ち上がりながらレイスに尋ねた。ハレイストに続いて他の四人も立ち上がる。

「それでよろしいですよ。目立たない服にして下さいね。おそらく無意味でしょうが」

 レイスはそう言って笑う。ハレイストはそこに居るだけで目立つ。特に、その鮮やかな深緋色の髪は人目を引く。まして、陽の光を受けると鮮やかな緋色になる。その容貌と相まって目立つ事この上ない。

 しかも、そのハレイストの周りに居る者達もそれぞれ目立つ。美少女に容姿端麗な冷たい雰囲気の青年に背の高い騎士の男。これで目立つなと言う方が無理だ。

「う~ん、変装でもする?フード被るとか」

 ハレイストは腕を組んで悩み始めた。確かに、このメンバーで街に行けば目立つ事は必至だ。男女問わず鬱陶しい視線が突き刺さるだろう。

「そうすると殿下の事を分かってもらえませんよ?」

 唯でさえ成長期真っ最中の三年間を見ていないのだ。そのままの姿で行っても分かってハレイストだと分かってもらえるか分からないというのに、変装などしたら誰もハレイストだと気付かないかもしれない。

「それは嫌だな。久しぶりに会えるんだし」

「では、そのままのお姿で参りましょう」

 寂しそうな顔をしたハレイストにレイスが優しく言う。

 その言葉にハレイストは嬉しそうに頷くと、扉の方に足を踏み出した。

「全員準備して来てね。なるべく平民の服装で」

 ハレイストの言葉に四人が頷いたのを確認すると、ハレイストは部屋を出て行った。

まさかの三日連続です!

書けるのは嬉しいんですが、そろそろ勉強しないと課題が…((泣


何か展開が遅すぎて自分が苛々して来ました。

なのに進まない、進めようと思ってるのに…


読んでくださる皆様、本当にありがとうございます!

初心者ですが、これからもお願いします!

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