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妖怪の妻になってしまった男  作者: 夢想花
妖術
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6.法力使い

 ゾージャは夕食後は本を読むのが日課だった。特に用がないときは自分の部屋で本を読んで過ごしていた。そして今井もゾージャと一緒にいた。本心は1人で自分の部屋にいたかったが、一緒にいた方がゾージャが喜ぶと思ってゾージャの部屋で一緒に本を読んでいた。

 しかし、今日は、昼間の沖田さんの話が気になっていた。

「ゾージャ、私がここにいても法力使いは危険なの?」

 ゾージャは顔を上げた。

「何を心配してるんだ?」

「あたし封印を破って逃げ出したでしょう。法力使いは私を追いかけていないのかと思って」

 ゾージャの顔が急に険しくなった。

「確かに、そうだ」

「ここにいれば大丈夫よね」

 ゾージャは深刻な顔して考えている。

「もし、やつらがもう一度封印するつもりなら・・・」

 ゾージャはその考えを振り払うように頭を振った。

「大丈夫だ、そこまでしつこくないよ。逃げた事にも気がついていない」

「逃げたことに気がついているよ」

 気がついていることは間違いない。

「大丈夫だ、気にするな」

 そう言われると逆に気になってきた。

「ここにいても、安全じゃないの?」

「ああ、やつらが法力で襲ってきたら、向こうの世界に引きずり出されて封印されてしまう」

 そうなのか、今井はだんだん怖くなってきた。

「でも、居場所が見つからないと大丈夫なんでしょう?」

 ゾージャは心配そうな顔をしている。

「やつらが、本気で探せばそのうち見つかる」

「見つかったら、どうなるの?」

「探していないよ、心配するな」

 探しているのは間違いないのだ。では封印されてしまう。

「封印されたら、どうなるの?」

 ゾージャは辛そうな顔をしている。

「その話はやめよう」

「教えて、どうなるの?」

「この前のは偶然で、普通は死ぬまで封印される」

「いやよ、ぜったい、いや」

 あんな狭い穴の中に死ぬまでいるなんて。考えるだけでも恐ろしい。

「ゾージャ、どうすればいいの?」

「だから、探していないって」

「探してるわよ。法力と戦うにはどうすればいいか教えて」

「探していないって」

 ゾージャは頑なに首を振る。

「ゾージャ、お願い、法力との戦い方を教えて」

「法力に抵抗する方法はないんだ」

 そんなバカな、封印されてしまう。

「でも、今までは、大丈夫だったんでしょ」

「それは、人間を襲っているのが君だと人間に分からなかったからなんだ」

 そうなのか、ナキータだと分かってる今、ナキータの逃げ道はないのだ。

「ゾージャ、助けて、封印されるの絶対にいや」

 今井は本気でゾージャに抱きついた。

 ゾージャはナキータをやさしく抱きしめてくれる。

「心配ないって、探していないよ」

 このままでは封印されてしまう。法力でなんとかする以外にない。

 最初からあきらめるなんてできない、絶対に戦ってみせる、俺には法力がある、法力で戦おう。

 今井は今日から法力の練習をするつもりだった、しかし、どうやって法力の使い方を会得するかまったく当てがなかった。


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