表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2年前まで同居してた高校生の担任になってしまった  作者: 冴花


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/23

お揃い

琥珀と出会った近所の公園に不良のような学生が入り浸るようになった。

大声を出したりチャリがぐちゃぐちゃに置いてあることで近所からクレームがあり、たまに警察がうろうろするようになった。


琥珀はどんな学生なんだろう。

家にいるのしか見たことないけど、まさか不良生徒なのかと考えたりしていた。



ある日、仕事が早く終わってスーパーの近くを車で走っていると琥珀を見かけた。

男女のグループの中の1人の男子が琥珀に話しかけ、琥珀が何を言って頭を叩くと女子が笑っていた。


ちゃんと友達がいるんだと安心していると、スーパーに入っていった。

放課後に友達となんか食べるのかな。てかどんな話をしてるんだろ。


車を止めて少し離れて歩き、後ろをついていく。




「琥珀今日は何作るの?」


「餃子」


「え、琥珀って料理できるの?メロい」



晩ご飯の買い物だったのか。いつもありがとう。

それにしても美男美女グループだな。類は友をってやつか。

うちの琥珀が一番ビジュいいけど。



「なんでいっつもオムライスとか炒飯とかじゃないの?」


「琥珀の同居人って酒飲むんでしょ?つまみ作ってんだって」


「前言ってた年上の女だ。俺に紹介してよ」


「汚れるからやだ」


「バイ菌扱いすんなよ(笑)愛が深い~」


「え、一緒に住んでるのに彼女じゃないの?」


「琥珀の片思い」


「えっ琥珀なのに?」


「どういうことだよ」



女子の言葉に琥珀が言った。

うちの近所では琥珀はイケメンで有名だから、高校でもモテてるってことだろうな。

てか私に片思いしてると思われてるんだ。訂正しろよ(笑)



「え、振られたの?」


「別に告ってないし振られてない。そんなくだらないことより今の生活を大事にしたいだけ。

吉田、ビール3本持ってきて」


「俺をパシんなよ(笑)俺のことも大事にして(笑)」



みんなが笑った。



琥珀、今の同居生活をそんな風に思ってくれてたんだ。嬉しすぎ。




「琥珀の同居人ってビール飲むんだ」


「うん」


「うちの姉ちゃんすげえ飲むよ。でいっつもゲロ吐いてる」


「そうなる前に俺がやめさせるから」




私の健康は琥珀に管理されている。

つまみを作っても味つけはそんなに濃くないし、たまにビールをトマトジュースで割って、レッドアイにして飲ませてくれる。サラダが出てくることも多い。

お茶が出てくると、自分が酔っていることに気づいて飲むのをやめている。


そんな今の生活を守りたいと思ってくれてたんだ。



ついスキップをして、子供から見られたので普通に歩いた。




私もこの生活を守りたい。

友達と遊びもせずに毎日ご飯を作ってくれてるのにお礼もできていない。

もっと琥珀にしてあげられることはないだろうか。

そうだ。









「琥珀、はい!」



夜、餃子が焼き上がるのを待っている間に封筒を渡した。

今日は先に家で待っていて、餃子は一緒に作った。



「これなんのお金?」


「いつもご飯作ってくれるお礼。何が欲しいかわからないし、これで好きなもの買って」


「こないだお小遣いもらったばっかりじゃん。食費ももらってるし」


「それとは別だってば。たまにお礼させてよ。いつも作ってくれてありがとね」


「いやいいって」


「こういうのはもらっておくの。使わないなら貯金すればいいんだよ」


「別に苦じゃないからいいのに。ありがとう」




琥珀が笑った。めちゃくちゃかわいい。







餃子を食べながら、あやのことを思い出した。

そういえばあの一件から全くLINEが来なくなった。



「ねえ、あやは元気にしてる?」


「んー元気なんじゃない?全然喋ってない」



あやの名前を出しても琥珀は全く動じていない。




「そうなんだ。鈴木って子と付き合ったのかな」


「付き合ったよ」


「まじ。とうとう取られちゃったか~」


「取られたとは思ってない」


「振ったのは琥珀だもんね・・・」




かわいい子だったんだけどな。




「琥珀はどんな人が好きなの?顔がかわいい子?」


「別に顔はどうでもいいし、付き合いたいとかわかんない」


「そっか」


「今の生活が続いてれば別に彼女はいらない」




かわいいやつだ。



琥珀も私も、いつか好きな人が現れたらどうなるんだろう。

血がつながってるわけでもないからそれぞれ他人みたいに別々に生きていくのかな。

一緒に暮らしてから2年以上経つのに、すっかりこの生活が当たり前になっていた。




次の日、琥珀に小さな包みを渡された。



「えっ」



開けてみると、携帯ケースのスマホリングにビールのキーホルダーがついていた。



「え、これくれるの??」


「ほしいもの買いなって言ってたから」


「私のもの買ったら意味ないじゃん」



琥珀が携帯を取り出した。

透明なケースにスマホリングがついていて、同じビールのキーホルダーがついていた。



「お揃いじゃーん」



すぐにケースを変えているのを見て琥珀がうれしそうにしている。



「ありがとね琥珀~これ見たら頑張れる~」



琥珀が笑って「うん」と言った。








次の日、志穂と篠田がビールを持って来た。




「紹介したい人がいるんだけどさ」




志穂が見せてくれた写真の人は黒髪で日に焼けていて、あまり周りにいないタイプだった。

篠田も色黒ではあるけど、なんというか。サーファー系?



「会社員で、もともとは事務員だったけどビジュがいいから営業になったらしいよ。趣味でサッカーやってるらしくてさ。イケメンだよね」


「何歳なの?」


「21。高校の時同じクラスだった人」




琥珀が来て、志穂の携帯を覗き込んだ。



「お。イケメンから見てどう?イケメン?」



志穂が言うと、琥珀は



「イケメンだけどなつめのタイプではないね」



と言って私を見て「なつめは俺のほうがイケメンだと思ってるから」と言った。

笑って志穂を見たので志穂が目を覆う。落ちたな(笑)



「棗・・・・琥珀くんのこと紹介して」


「いや俺わい」



篠田が突っ込んだ。



「まあ、とりあえずLINEだけでも。なつめのLINE送っちゃうよ」


「うーん」


「このまま出会いなかったらあんた、教師か生徒と付き合うしかないよ」


「高校生と教師って付き合えるの?」



琥珀の言葉に「ヤったりしたら捕まるよね」と志穂が言った。



「まあ高校の時いたけどね。付き合ってる先生と生徒」



私が言うと、琥珀は「ふーん」と興味なさそうに返事した。



「他人事ではないんじゃないの?あんたのこと好きな人いるかもよ」


「いるけどさ」



琥珀が来て、「誰?森川?」と言った。



「いや、森川がうちのクラスに2人いるって言ってた」


「へえー、イケメン?」



篠田も食いついている。



「私の話はいいって(笑)」



LINEの通知が来た。

「桃山 があなたを友達追加しました」と書いてあり、メッセージも届いた。

「こんにちは。なつめちゃんだよね?桃山です!よろしくね」と表示されている。



「桃山さんって人がその人?」


「そうそう。下の名前はりくと。上陸の『陸』に『大〇翔平の翔』で陸翔りくと


「名前もかっこいいじゃん。なんて来たの?

 ・・・へえ、アイコンなしのタイプね」


「篠田は志穂との写真だもんね。篠田っぽい」




篠田が私の携帯ケースについたビールのキーホルダーを見た。



「ん?これ、あれ?」



琥珀の携帯を見た。



「お揃いなの?」


「そう。琥珀にもらったんだ」


「へえ・・・前あげた俺とお揃いのパーカーは着なかったのに」


「琥珀は特別だもん」


「一回も着てないよね。志穂にあげるから返して」



篠田が不機嫌そうに言うと、志穂が篠田の太ももを叩いた。



「やだ~、一回あげたもの返せっていう男~」


「志穂、俺とのお揃いいらないの?」


「そんなのまた買えばいいじゃーん。今までお前に使ったゴム返せって言ってきた元カレ思い出した。気分悪い」



志穂が嫌な顔をしてビールを飲むと、琥珀がパーカーを志穂に差し出した。



「はい」


「いや琥珀くん(笑)勝手にそんな(笑)」


「いや、私着ないし・・・」



篠田を見ながら言うと篠田はむすっとして目をそらした。

慌てて「着てみなよ!」と志穂に言うと、志穂がTシャツの上から着た。



「かわいい。ね、篠田」


「・・・似合うじゃん」



篠田が機嫌を直したのでほっとした。



「でもあんた、他の男とお揃いのキーホルダーにしてるの見たらいい気持ちしないと思うよ、桃山」



志穂が言うと琥珀が「俺は特別だから」と言った。




「特別枠・・・って許されるのか?」


「志穂の元カレは束縛すごかったもんね」


「そうなんだ。俺が束縛したらやだ?」


「えー?別に・・・」



篠田が嬉しそうにして、志穂は「きも」と笑った。

後ろで琥珀がビールのキーホルダーをつついて遊んでいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ