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2年前まで同居してた高校生の担任になってしまった  作者: 冴花


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21/23

再会

夜は嫌いだ。

でも、目の前に琥珀がいる。



少し大人になった気がする。

いや、わからない。

だって久しぶりだったから。

森川がくれた寝顔の写真しか持っていなかったから。



本当に辛かった。会いたかった。

一人の時間をなんとか過ごしてきた。




いろんなことがあった。

いいこともあった。

でもそれを今日全てかき消すようなことがあった。

死にたくなった。

殺意すら芽生えた。




でも、私には琥珀がいる。

ほかには何もいらない。失いたくない。

もうこんな思いをするのはごめんだ。

どうしたらずっと一緒にいられる?





「来てくれたんだね」


「うん」


「約束したから?」


「うん」




琥珀が私の前に来て、ネックレスに触れる。



「つけてくれてたんだね」


「うん」


「大事にしてくれてありがとう」



琥珀のやさしい声に、涙があふれる。

琥珀は私をソファーに座らせて、自分は隣に座った。



「鼻水出てる」



ティッシュをくれた。


ひとしきり泣いて、ぼーっと考える。

そしてまた涙が出てきて、またぼーっと考える。

昔のことを思い出して、また泣く。


でも、その次は嬉し涙に変わった。

呪いを供養するように、どす黒く汚れた心をすすぐように。



琥珀がいることだけでもう十分だった。

本当にそれだけでいい。


ただそっと隣にいてくれる琥珀は、甘い香りがする。

香水をつけているのだろうか。

それとも、柔軟剤の香りだろうか。

なぜか、聞けなかった。どうしてだろう。



琥珀が立ちあがる。




「ご飯食べな。あっためる」


「うん」


「ちょっと待ってて」




琥珀が、とても久しぶりにキッチンに立っている。

ご飯作ってくれたんだ。中学生なのに。


でも、もう16歳になったんだな。高校生になるんだ。

そりゃあ少し大人になるよね。

出会った時の森川と同じ歳になったんだ。

小学生だったのに。



何から話せばいいのかもわからず、心の中でひとりごとを言いながらこの時間をひたすら噛みしめることで精一杯だ。





私の誕生日に、琥珀がいる。

私のためにご飯を作ってくれた。

ケーキを用意して、誕生日を一緒に祝ってくれている。


これは、私の唯一の幸せだ。



ひとしきり現状を噛みしめてから琥珀の隣に行った。




「何作ったの?」


「塩だれかけたきゅうり、揚げ出し豆腐、出し巻き卵、手羽元の唐揚げ」


「居酒屋みたい」


「ビールに合うと思ったけど、だめだった?」


「嬉しいに決まってんじゃん・・・」


「前飲んでた外国のビール買ってきた。これで飲んで」




冷凍庫から凍ったビールグラスが出てきた。

ビールグラスはチューリップグラスみたいな、おしゃれなグラスだ。




「高いものだと気を遣うと思って。これが俺からのプレゼント」


「一番嬉しい」


「ネックレス渡して満足したのもあってこれ以外思いつかなかった」


「毎日使う」


「そっか」




琥珀が微笑む。




「髪伸びたね」


「切ったほうがいいかな」


「切ってもいいし、切らなくてもいい」


「・・・ビール飲む」


「うん(笑)」




琥珀がビールを注いでくれた。



「いただきます」



一気に飲み干す。

乾いていた心にしみわたって、心が満たされる。

一人で飲むビールもおいしい。


でも今日が一番おいしく感じる。

だって今、私の目の前に琥珀がいる。




「あのね、歳が近い先生と仲良くなったの」


「よかったね」


「森川のお兄さんと友達にかわいいって言ってもらったの」


「ふーん」


「でも、その仲良しの先生に寝返ったの」


「見る目ないね」


「志穂と篠田と連絡取るのやめたの」


「前一緒にいるの見かけたよ」


「そうなんだ」


「俺はね、あやから連絡が来た」


「より戻したの?」


「なんで?」


「それは・・・」


「より戻してほしいの?」


「・・・別に・・・そういう・・・」


「はっきり言いな」


「・・・あんた意地悪になったね」


「そうかな」



低くてやさしい声でぽつりと返す琥珀が大人っぽくて、

私をまだ好きでいてくれているのだと少しどきどきして、ビールがはかどる。

つい、水のように飲んでしまう。

それでもなかなか酔わない。どうしてだろう。




たたききゅうりがおいしい。にんにくが効いていて、味が少し濃い。


揚げ出し豆腐は、温かくてまだ少しサクサクしていて、やさしい出汁の味がする。


だし巻き卵には明太子と大根おろしが添えてあって、切るとじゅわっと出汁が出てくる。

普通の卵焼きと違って、ぷるぷるしている。もちろんおいしい。


手羽元の唐揚げの、骨の部分にリボンが結んである。雑貨屋とか手芸屋で買ったのかな。

_______かわいい。

少し生姜の味がする。サクサクで柔らかい。もちろんおいしい。




ケーキはアイスケーキだ。

ビールが注がれたグラスの形で、グラスの部分は土台になっていてソーダの味がする。

その上に重なっているビールの部分はオレンジで、水玉模様みたいな泡はバニラの味がする。

一緒に食べるとおいしい。クリームソーダみたいな味がする。




琥珀は料理が上手だ。

本人にそれを伝えると、「レシピ通りに忠実に作るからだよ」と言った。

私も同じだ。それでも、琥珀のほうがずっと丁寧だ。


全部が染みる。心遣いが染みる。

心が満たされていく。空白の時間を埋めていく。






お礼も兼ねて洗い物をした。

洗っている最中、たまにビールを飲ませてくれた。



洗い物が終わってソファーに座ると、隣に琥珀が座った。

なんだかいたたまれず、テレビをつけた。


近すぎない。でも離れすぎてもいない。

絶妙な距離のはずなのに、心が落ち着かない。

さっきは平気だったのに。どうしてだろう。



これは普通なのか。この甘い香りのせいだろうか。


高校生とはいえ、子どもだ。



でも私は「高校生だから」どきどきしているのではない。



それでもどこか懐かしさを感じたせいなのか、ビールの酔いが回って生きたのか、しばらく経つと少し気持ちは落ち着いた。


あっという間に二時間も経っている。




「何時に帰ろうかな」



琥珀がぽつりと言った。




「え、泊まってかないの」


「うん」





そっか。そうだよね。

何のために私たちは離れたんだ。

わかってることなのに。

今日が終われば、琥珀はここからいなくなる。





「・・・誕生日なのに・・・」




そう言うのが精いっぱいだった。

琥珀が私の目をみつめる。




「・・・なんで困らせるの」


「困ってるの・・・?」


「当たり前じゃん」



私より背が高い琥珀が、茶色い瞳で私を見る。



「そんな顔すんの、やめてくれない?」



低い声で言う。

それでも、目はやさしい。







見つめあう。









「俺にどうしてほしいの?」





琥珀の声がやけに耳に響く。








私はどうしてほしいんだろう。



どうして私は教師なんだろう。




じゃあ、一緒に住むために教師を辞める?



でもその選択は本当に正しい?

教師になることで自分の力で生きてこられた。

琥珀のために働いた。


その積み重ねてきた自分の糧を、壊してしまうのでは。

一時的な感情に身を任せていいの?



琥珀は私との距離を守ってくれたのに?



それならどうする?

この距離は守るべきなんだ。







でも辞める必要がある?

このまま一緒にいちゃ、だめなの?






だれも見ていないのに?






私たち以外、誰も知らないのに。











わかってる。





ちゃんとわかってる。






だからお願い、私の前からいなくなって。

もう帰ると言って。




「・・・もう帰って」




お願い。


もうやめて・。



その目で見ないで。








お願い、お願い、お願い。













「じゃあね、なつめ」





琥珀が立ち上がった。


リュックを手に持ち、私を見る。






「もうそんな顔したらだめだよ」


「・・・まって」






琥珀が私を見ている。







「LINEは、もうできるよね・・・?」


「いいよ」


「もうメモじゃないよね・・・?」


「メモにしてもいいよ」


「・・・既読はつく?」


「つくよ」


「・・・返事はくれる?」


「メモに?(笑)」


「じゃあ、メモじゃなかったら・・・?」




琥珀がやさしく笑う。



「返事する」


「・・・うん」


「・・・だからそんな顔しないで。もう帰るから」


「・・・うん」


「これ以上ここにいたら俺」





あのとき、琥珀の膝にうつぶせになったときのことが頭をよぎった。





「俺もう限界だから」





私もだ。


私も限界だ。


くらくらして、頭がおかしくなりそうだ。



そっと目をそらす。

琥珀は私を見ている。








ここが私たちの限界だ。



琥珀も、わかってる。

でも琥珀もいっぱいいっぱいなんだ。

ちゃんと伝わる。



それだけでもう十分だ。

もうLINEもできる。



それは、今ここでちゃんと一線を引いたからだ。


だからこれでいい。もう大丈夫。




「俺の住所送っとく。日帰りで遊びにおいで」





琥珀がどこにいるのかもうわかる。





「どうして今教えてくれるの?」


「びっくりさせたかったから」


「LINEを無視したのも?」


「うん」


「びっくりした?」


「・・・別に」





クラッカーの音が不意打ちで、ピストルで撃たれたと思ったなんて自分に酔い過ぎてて言えない。



「残念」




琥珀が帰って行く。



それでも、LINEが来た。

住所が書いてある。


思ったより離れていて安心した。





グラスにビールを注ぐ。

ビールの泡がゆらゆらと上に上がっていって、少しずつ散っていく。

はじけて音を立てて消えていく。


気持ちが落ち着いていく。



琥珀が戻ってきたことをかみしめる。

十分すぎるくらいなんだ、これ以上求める必要なんてない。


その日から、琥珀とたまにLINEをするようになった。

一日に何度かやりとりをしたり、一日置いたり、三日返信がなかったりした。

綺麗に会話が終わって、それ以上送れなかったりした。

それでも、次の日にLINEが来たりしていた。











有給を取った誕生日の次の日、もしかしたら森川はプレゼントをくれるのではないかと思った。

でも、もらわずに一日が終わった。

「誕生日おめでとう」とは言ってくれた。


時計の一件で、森川は一線を引いてくれてる。

あれが森川の気持ちで、最初で最後だったのだろうと思っていた。




でも、森川は第二ボタンをくれた。






3月になり、森川の卒業式が終わった。

森川を桐沢先生が呼び止める。

桐沢先生と二人で何かを話している。


それを見ていると、

相澤くんと木戸くんが来た。



「2人とも、卒業おめでとう」


「先生のことめっちゃ好きでした」


「俺もです」



二人が頭を下げる。



「ありがとう。でも、そんなこと言っといて二人ともしれっと彼女作ったくせに(笑)」


「だって。森川に取られたと思ってましたもん」


「え、そうだったの?」


「正直、付き合ってんのかと思ってました」


「まじか」


「俺たちは二人で話してただけっすけど、まじで女子たちがうるさかったんすよね。だから森川の彼女が先生の知り合いだから仲がいいんだって言っときました」




そうだったんだ。


この二人は私たちを守ってくれたんだ。



だから、森川との噂を聞くことはなかったんだ。

あれ以来、青山先生からは注意を受けていなかった。



二人のおかげだったんだ。

噂を信じていても、私を守ってくれる人がいたんだ。




「…私ね、噂を流されて嫌な思いをしたことがあったんだ。そこからもう全員敵だと思ってた時期があった。だから・・・すごく嬉しい」


「中学生とのやつっすね」


「え、知ってたの?」


「はい。俺、弟いるんで。でもその噂はもう潰しましたから」


「え・・・?」


「森川と仲良かった中学生の男の子だったんで、証拠をもぎ取りました」



琥珀のことだ。



「その子、噂を流した女のLINE知ってたんで。LINEのやりとりを流出させました」



噂を流した女。志穂のことだ。



心臓の鼓動が早くなる。


木戸くんが見せてくれたスクリーンショットを見た。


志穂が先に琥珀にLINEしていて、スタンプを送っている。

それに対しての返事はない。



その次は平日の夜だ。



「棗って、桃山と付き合ったの?」



桃山は、元彼の陸翔くんだ。

琥珀は



「わかりません」



と返事している。

それに対して志穂は、



「もし付き合ったら教えて」



と送っているが、それに対する返事はない。

その後、志穂が琥珀にスタンプを送っているが、それに対する琥珀の返事はない。




その次のやりとりは、志穂と揉めたあの日と同じ日付だった。



「琥珀くん、  との噂を流したりしてごめん。琥珀くんを傷つけたいと思ってたわけじゃないことだけはわかって欲しい」





私の名前は隠されている。





「目的は?」


「  が羨ましかったの。琥珀くんのこと、いいなって思ってたから」


「俺たちが本当にやましい関係に見えましたか」


「いや、噂を流せば琥珀くんが  のところからいなくなるって思ってたから」


「家族として一緒に住んでくれている人の気持ちを踏みにじって、どう思ってますか」


「反省してる。だから、私のLINEは消さないで」


「  には謝りましたか」


「いや、連絡してない」


「  は  さんのこと、大事な友達って言ってましたけど」


「いや、  とはもう連絡を取るつもりないから」





志穂からのこのLINEに対して、琥珀は返していない。





木戸くんが次に見せてくれた写真は、

志穂からの一方的なLINEだ。




「琥珀くん、本当にごめんね」


「まだ怒ってる?」


「会って話さない?」


「元気にしてる?」


「どうしても一回会いたいんだけど、だめかな」




というLINEだ。

琥珀はどれに対しても返事をしていない。



木戸くんが画面をスライドすると、彼女がハンバーガーを頬張る写真が出てきた。

木戸くんは「あっ、これで終わりか」と言って、慌てて画面を消した。


微笑ましい。



「まあ、これを学校の掲示板に載せたら広まったみたいで、これの噂になりましたね」


「高校の掲示板にも載せました」



そうだったんだ。

私に話しかけてくる人が誰もいなかったせいで私だけが知らなかったのだろうか。


だとしたら、これでよかったのだろうか。

それとも噂を消すこともできたのだろうか。



いや。これでよかったんだ。

森川と、この二人が消してくれたんだから。




「そしたら数学の時間のときに、青山先生が『LINEの写真が掲示板に流出してると聞きました。もう校長に相談した結果、それは削除してます。いいですか。こういった個人を特定して情報漏洩させることは訴訟問題にもなりかねません。この問題に関わらないように注意喚起します』って言ってて、噂も今は消えてると思います」


「・・・青山先生が・・・そうだったんだ」




どうして先生方にも何も言われなかったんだろうって思ってた。



青山先生は私を守ってくれていたんだ。



職員室で私に厳しく注意してたのは、もしかしてパフォーマンスだったのだろうか。



私の噂も知っていたんだ。

その上で『あなただからできたこともある』と言ってくれた。



私はいろんな人に守られていたんだ。

琥珀がいなくなって、誰も信用できずに心を閉ざしてる間に、そんなことがあったんだ。



辛いことばかりじゃなかった。

いろんな人が私を助けてくれていた。



「・・・琥珀はどうなったの?」


「こはくくんか。そうだ。そんな名前でしたね。この女は誰だって聞かれたらしいですけど、『疑いが晴れたならもうどうでもいい』って言って黙ってたみたいです」


「で、森川も俺らも、この女をブロックしろって言ったんすよ。でもこはくくんは、もしかしたら先生に謝りたいと言ってくるかもしれないからまだやめておくって言ってたみたいす。森川が言ってました」





______琥珀。





「そうだったんだね・・・二人ともありがとう。本当に、もう・・・感謝しかない・・・。私と琥珀を守ってくれて、本当にありがとう」




森川が近づいてきた。



「じゃ、先生。森川にもお礼言ってやってください」


「あいつ、先生の耳に入らないようにクラスのやつらにも口止めしてたんすよ」


「余計に女子がうるさかったっす。そんときは」


「でも、桐沢先生が来てから桐沢先生も森川のことを気に入ってるって話になって。ちょっと上書きされてたかもしれないです」




二人が頭を下げて森川のところへ行くと、三人で何やら話してから笑いながら戻っていった。





そして私のところに来た森川は、私の手のひらに第二ボタンを置いた。




「桐沢先生にあげなかったの?」


「うん。ほしいって言われなかった」



森川が言った。




「俺さ、桐沢せんせーとちゃんと向き合おうと思う」


「向き合うって?」


「真剣に考えてみようかなって。LINE交換したし」




そうか。

二人はちょっとずつ距離を縮めていたんだ。

もしかしたら、いつか二人が付き合う日が来るかもしれない。



でも、そこに私はもう必要ない。


あとは二人が決めることだ。




「でも俺は、せんせーのことずっと想ってる」


「そっか」


「どうしても白雪先生を忘れられなかったら、その時は諦めるって桐沢先生が言ってた」


「そっか」


「俺最低かな?」


「いや。あんたはいい男だよ」


「え?・・・うわー・・・」




森川が顔を手で覆う。



「・・・好きだー・・・」





森川に出会えなかったら私は今みたいな教師生活は送れなかった。

ここからいなくなることが辛いのは、そのせいだ。





「え。森川泣いてんの」


「だってお別れじゃん」


「卒業したからもう私とは会わないってこと?」


「やだ。免許取ったら絶対ドライブ連れてくから」


「まじ?じゃあ期待してる」


「バイクと車、どっちがいい?」


「うわー、絶対バイクがいい!」


「俺からのLINE既読無視したら桐沢先生と行くからね」


「いいんじゃない?」


「うわ。ずるい。勝てねー!」


「ははっ」




森川は絶対会いに来る。

ヘタしたら頻繁に来る。

それでももうここに来ることはない。

それだけのことなのに。



人生で初めて救急車に乗ったのは、森川に付き添ったときだ。

あの日、起き上がれずに仰向けに横になっている森川を、ただただ心配した。

それでも、周りを心配させないためか、


「俺どのくらい血出てる?ちょっと鏡見たい」


と言って鏡を見て、


「うわ、ドラマでよく見るやつじゃん、やべー・・・吐きそう」


と言って、ショックで血圧低下を起こして気絶した。

自分で見たくせに。



それでも無事に卒業してくれてよかった。








少しだけ、私も泣いた。

心の支えをなくした悲しさと、森川の気持ちの嬉しさだ。






そんな気持ちも、あっという間に上書きされることになる。









4月になって、私は1年生の担任を受け持つことになった。



「1年5組の担任の、白雪棗です。よろしくお願いします」



名簿を手に取る。



「では、一人ずつ名前を呼ぶので簡単に自己紹介をお願いします」





か行に加藤が三人いる。


佐藤も三人いる。


意外と、高橋が一人しかいない。




まずは「あ」だ。




「秋月・・・こは・・・・く・・・?」


「はい」




すっと一人立ち上がる。

しかも目の前にいた。




「やっと気づきました?」



目の前に琥珀がいる。



琥珀は、私の顔を見てにやりと笑った。






「先生、なんでびっくりしてるんですか?」

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