新説・花咲か爺さん(コメディ)
むかし、むかし。
ある所に、お爺さんが一人で暮らしていました。
え、お婆さんはどうしたって?
……お婆さんは、隣に住むイジワル爺さんに寝取られました。
脳破壊され無気力になったお爺さん。
機械の様に何も考えず、山へ芝刈りへ行きます。
山の中腹まできた頃。
普段は静かな竹林がザワザワしています。
気になったお爺さんは、竹林の中に入りました。
するとどうでしょう。
一つの竹が光り輝いているではありませんか。
その竹を切ったお爺さん。
中にはそれは可愛らしい女の子が入っていました。
お爺さんは不思議に思いましたが、その子を連れて帰り面倒を見ることにしました。
芝刈りの帰り。
お爺さんは今度は川に洗濯に行きます。
するとどうでしょう。
川上からどんぶらこと大きな桃が流れて来ました。
食費が浮くとお爺さんは桃を拾い上げ、家へ持って帰りました。
早速桃を切ると、中には可愛らしい男の子が入っていました。
困惑するお爺さん。
竹から出て来た女の子を"かぐや"、桃から出て来た男の子を"桃太郎"と名付け育てることにしました。
意図せず一姫二太郎です。
◇◆◇◆◇◆
急に食い扶持が増えたお爺さん。
それでも、子に不憫はさせられぬと、藁を編み傘を作って売ることにしました。
山で藁を集めるお爺さん。
一息つくために切り株に座りおむすびを食べようとします。
するとおむすびは手から転げ落ち、地面の穴へと吸い込まれていきました。
残念に思いましたが、なにやら穴から歌が聞こえます。
"すってんころりんどっこいしょ♪"
気になりますが、休憩もそこそこに藁集めを再開しました。
藁を集めたお爺さん。
早速傘を編み売りに出ますが、一つとして売れません。
途方に暮れながらの帰り道。
一羽の鶴が、猟師の罠にかかっていました。
かわいそうに思ったお爺さんは、罠から外してあげます。
すると鶴は、お爺さんに一礼し、いずこかへ飛び去りました。
良いことをしたと気分が上向きながらの帰り道。
今度は雨晒しのお地蔵様が7体おりました。
お爺さんは悲しく感じ、傘を被せてあげました。
傘は売れず、でも気分はよく。
お爺さんは家に帰りました。
◇◆◇◆◇◆
その日の晩、とても美しい女性が訪ねて来ました。
彼女は道に迷い泊めてくれないか、と言います。
部屋はある事情で空いているので快く泊めました。
赤ん坊をあやすお爺さんに女性は言いました。
「私は鶴子と申します。お爺さん、機織り機はありますか?」
ある、と伝えると。
「それではお借りします。申し訳ありませんが、機織りしているところは覗かないでください」
と言い、部屋に引っ込んでいきました。
それから機織りの音が聞こえます。
ただ部屋は障子で区切られてるだけなので、影が映って中の様子はわかります。
……思いっきり鶴でしたが、お爺さんは疲れているので気にしないことにしました。
翌朝、鶴子が一つの布を差し出します。
「お爺さん、この布を売って、それで生計を立てましょう」
その言葉に従い売りにいきました。
するとどうでしょう。
とても高く売れ、1ヶ月は四人で食べるに困らない金額になりました。
喜び勇んで食糧を買い集めます。
その後の帰り道、お地蔵様が七体並んでいました。
昨日の傘を被ったまんまです。
お爺さんは買い集めた食糧からお供えを置き、拝んでから帰りました。
◇◆◇◆◇◆
その様な感じで鶴子の布を売り生活していました。
その頃には子供たちもスクスク育っていきました。
「お爺さんざーこざーこ❣️甲斐性よわよわ❣️でもかぐやが居るから寂しくないね✨」
「爺さん!オイラはビッグになるぜ!ぜってーアンタに楽させてやるから待ってろよな!!」
かぐやはメスガキに、桃太郎は熱血ショタに成長しました。
今まで静かな生活のお爺さんに活力が生まれました。
鶴子も含め4人で仲良くやっています。
そんなある日。
桃太郎が1匹の犬を連れて来ました。
「爺さん!こいつポチっていうんだ!オイラの子分なんだぜ!」
鼻の下を人差し指で擦りながら、犬を紹介してきました。
また家族が増えるのか。
そのことに心温まり、桃太郎が成長したことに喜びを覚えました。
すると。
「初めましてお爺さん。僕ポチです!桃にぃの子分一号です!良かったら"ここ掘れワンワン"しましょうか!?」
喋ることよりも、また濃いキャラ増えたなぁ、とお爺さんはしみじみ思いました。
とりあえず受け入れて、ここ掘れしてもらうことにしました。
「わかりました!良いのを当てて見せますよ!」
ポチは意気込んで地面を鼻で探ります。
しばらく探しているとポチは声をあげました。
「桃にぃ!お爺さん!ここ掘れワンワン!」
お爺さんと桃太郎は示された場所を掘ります。
すると、よくわからない布が出て来ました。
これはなんだろうと考えていると、鶴子がやってきました。
そして布を見て驚きました。
「これ火鼠の皮衣じゃないですか!」
なんと、とんでもないお宝だったのです。
鶴子はひったくる様に衣を取り、そのまま部屋へ行き機織りしはじめます。
どれくらい経ったでしょう。
鶴子は満足した笑みを浮かべ部屋から出て来ました。
その手にはとても綺麗な紅色の着物がありました。
その勢いのまま鶴子はかぐやに着付けします。
かぐやはされるがままに着物を羽織りました。
元々美少女であったかぐやに伝説級の着物が合わさり、傾国を思わせる妖艶さが生まれました。
「うっわぁ……さいこー!
にひひ、もっと可愛くなっちゃった❣️私の前ではみんなザコザコ〜❣️」
かぐやは調子にのっています。
鶴子、桃太郎、ポチはというと。
「いい仕事しました……!」
「ヤベーなかぐや!カッコいいぜ!」
「僕頑張りました!」
と、謎の達成感を覚えていました。
◇◆◇◆◇◆
そんなある日。
お爺さんの元に手紙が届きます。
差出人は合同会社Gゾーン。
知らない名前でしたが、是非会いたいと書かれていたので、全員で行くことにしました。
向かった先は山の中腹。
おむすびを落とした穴があるところです。
しばらく待っていると穴の中から声がしました。
"お爺さん家族いらっしゃーい!"
その声と共にお爺さんたちは穴の中に吸い込まれて行きました。
穴の中はとても広く煌びやかで、まるで極楽の様です。
そこに七人の青年が現れました。全員イケメンです。
その中の一人が前に出て言いました。
「お爺さん、覚えていますでしょうか?
私たちは、あなたが傘と食糧をお供えしてくれた地蔵です。」
お爺さんは大層驚きました。
話を聞くと、お供え物を元手に事業を始めた様です。
その中で、お爺さんが穴に落としたおむすびの縁で鼠と知り合ったようです。
そうして鼠浄土をベースに、雀のお宿や様々な施設を合体させた大型スパリゾートを作ったのでした。
どうやら恩返しがしたい様で、ここで好きに過ごしてくれと言われました。
お爺さんを他所目に他のみんなは喜びました。
かぐやは、その美貌から複数の男達に言い寄られ下僕を増やす勢い。
桃太郎は、闘技場で鬼とタイマンバトルで熱血友情を深め。
鶴子は、雀の女将から家事のいろはを教えてもらい。
ポチは、温泉で出会った猿や雉と友好を深めています。
逆にお爺さんは困惑します。
わしはここまでしてもらえる様な出来のいい人間ではないと。
それを地蔵の一人が否定します。
「そんなことはありません。
お爺さん、あなたがいなければ私たちはいなかったのです。
子供たちも、鶴も、犬も。
この光景はあなたの優しさが作りあげたのです。
どうか、ご自分を否定なさらないでください。」
それを聞いたお爺さん。
みんなとの思い出が一気に甦り、感極まって涙を流しました。
それからはお爺さんも楽しみました。
キャッスル竜宮でタイやヒラメのショーを楽しみ、
バー養老でお酒に舌鼓をうち、
天女の寿限無説法に感心し、
カジノマウンテンでウサギとカメのレースに熱狂。
ただ楽しむだけでなく、鶴子、かぐや、桃太郎、ポチとも思う存分遊び尽くしました。
◇◆◇◆◇◆
そんな楽しい時間もあっという間に過ぎ去ります。
ここに滞在して3日。そろそろ帰ることにしました。
地蔵たちや施設のみんなは名残惜しみます。
かぐやは、姫と呼ばれるほどに慕われ。
桃太郎とポチは、猿と雉を仲間にして鬼とのスペシャルマッチの再戦を誓い。
鶴子は、スーパー鶴子に進化しました。
帰ろうとした時、お土産を渡されます。
それはとても小さな箱でした。
「この中には私たちの気持ちが詰まっています。それを使えばいつでもここに来れます。
また会えるのを楽しみにしています。」
そうしてお爺さんたちは穴から元の山の中腹に戻りました。
山に戻ったお爺さんたち。
楽しかったと笑い合いながら帰る途中でポチが何か見つけました。
どうやら野ざらしにされた骨のようです。
お爺さんは不憫に思い、穴を掘りみんなで丁寧に弔います。
家に帰って、桃太郎が早速お土産を開けようと言いました。
ワクワクしながらみんなで開けると、そこには小さな、黄金で出来た小槌が入っていました。
かぐやが手に取り振ると、空中に穴が開きました。
その穴は鼠浄土につながっている様でした。
いつでも会えるとはこのことか、とみんなホッコリしました。
その日の夜。
美しい女性が訪ねて来ました。
彼女は道に迷い泊めてくれないか、と言います。
お爺さんは快く泊めました。
鶴子は感じます。
こいつはあの野ざらしだと、ライバルが来たと。
そうしてお爺さんの家族が増えました。
お爺さんはみんなに囲まれてとても笑顔です。
まるで満開の桜が咲いたように。
恩返しはどこまでも続いていくことでしょう。
お爺さんの優しさが、そこにある限り。




