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EP 3

学期末試験の最終日、シーティアンはかなり自信があった。試験の80%以上はできたと思っていた。最後の科目の試験が終わると、シーティアンがずっと待っていたことがやって来た。それは、スカートをはいてゆっくりと学校を歩くことだったのだ!


「きゃあ!! シーティアン、やめろう!!」


プライファーの悲鳴は、シーティアンの行動を止めることができなかった。シーティアンは親友のスカートを奪って自分で着ようとして、引っ張り合いになっていたのだった。


やっぱり女の力では男の力にかなわない。ついにシーティアンの勝ちだ!!


「シーティアン、このやろう!」

「ねえ、おれ、きれい?」


シーティアンは親友の悪口など気にせず、スカートをはいて一回まわった。自信をつけるためだ。そして女友だちに向かって聞いた。


「きれい? ええ まるでオカマみたいでしょ?」

「な、なにそれ!!」


シーティアンはプライファーに目を転がしてから、学校の運動場へ向かった。

歩き方やポーズにはまるでミス・グランドのステージを歩いているかのような色気があった。

しかし、運動場に着くと、そこには誰もいなかった。

上級生も、男子も、どこにも見当たらない。


「みんなどこ行ったんだよ!!!」


ピーッ!!


警備員さんの笛の音が鳴り、シーティアンは思わず振り向いた。


警備員さんさんがバイクに乗ってこっちに来る!!


男がいないのはくやしいけど、今は逃げるしかない!!


来るときのシーティアンはまるで女王のように優雅だったが、帰るときはすっかり男の子モード。ボクサーの息子のように走りながら、スカートをはいていても全力で逃げた。ああ、なんという悲劇……。


「プライファー! 男はどこだよ! ビウ先輩もフェース先輩も!!」


プライファーはシーティアンをあきれた顔で見つめた。


「わたしたちは中学生なんだから、高校生と同じ日に試験を受けるわけないでしょ」


「そうだった……。じゃあ、三年の男子たちはどこ行ったんだ?」


「期末試験の最後の日だから、みんな打ち上げに行ったんだよ。今年は全クラスでやるんだって。あんたも私も行かなきゃだめよ」


シーティアンはぽかんとした顔をしていたが、すぐに思い出した。自分たちのクラスも試験のあとに打ち上げをする予定で、行かない者は無理やり連れて行かれるのだった。


約束の飲み会の時間になると、シーティアンは家に帰って着替え、

へそ出しのクロップトップにショートデニムを履いて、自信満々に友だちのテーブルへ歩いてきた。


「はあああ〜〜シーティアン!!!〜〜〜!」


「うわっ!シーティアン!その顔どうしたの!?」


プライファーは親友の顔を見てびっくりして叫んだ。

焼肉を食べていたみんなも、思わず顔を上げてシーティアンの方を見た。


みんながシーティアンの顔を見た瞬間、一瞬固まり、次の瞬間には大爆笑が起きた。


「チャイボーグってやつかよ!」

「ちょっ…バカ! 家出る前に鏡見た!? 顔と首の色、全然違うじゃん!!」

「いいじゃん、可愛いでしょ。首までファンデ塗ったら“すっぴん”って言えなくなるじゃん。」


その返事を聞いたプライファーは頭を抱えてため息をついた。


クラスの友達たちは、最近シーティエンをからかうことがなくなった。

というのも、彼女はこのところ見違えるほど引き締まって、腕や腹筋までうっすらと浮かび上がっていたからだ。

みんな、シーティエンがムエタイをやっていることを知っていた。

だから、うっかり機嫌を損ねて殴られるのはごめんだと思っていたのだ。


シーティアンの親しい女友達は、シーティアンの非常に派手な服装を見てから、大きくため息をついた。


「誰か彼を連れて行って、メイクや着こなしの練習をさせてあげてよ...」


みんなは笑い出し、また会話に戻った。


シーティアンはプラァイファーの隣に座り、店の周りを見回した。すると、この店には彼らの学校の生徒しかいないことに気づいた。」


視線の先には、痩せた体に薄いシャツを着た男がいて、炭火の上で豚肉を焼いていた。

その姿を見た瞬間、シーティエンは思わず目を奪われた。

「こんな店、今まで見たことない……」と心の中でつぶやく。


「なに見てんのよ、日焼けするわよ!」

「豚肉焼いてるんだから、ちゃんと見張ってなさいって!」

「ちぇっ、あたしは毎日やってんのに、次の日は“ママ”って呼ばれるだけだし!」

「ママみたいになりたくないわ、あんた!」

「はぁ!? あたしだって、あんたみたいな娘いらないわよ!!」


そんな軽口を交わしながらも、シーティエンは手を止めず、丁寧に肉を裏返した。

焼き色が足りない部分をじっと見つめながら。


シーティエンは、小柄なその男を見上げながら、名前をまだ知らないことに気づいた。

プライファーに聞こうかと思ったが、どうせからかわれるだけだと分かっていたので、別の友達に声をかけた。


「ねぇ、あの人知ってる?」


「どの人?」


「あそこよ。肌が白くて、シャツがちょっと破れてるハーフの男。」


シーティエンは指を伸ばし、かつて自分にしつこく言い寄ってきた小柄な男を指さした。

彼はしばらく姿を見せなかったが、今また目の前に現れていた。


「ふーん、あいつね。ちょっと待って、いろいろ教えてあげるわ。何が知りたいの?」


ミニーは自信満々にシーティエンへ言った。


「名前なら知ってるわ」


「ダンっていうの。本名はダニエル。小学校のとき同じクラスだったの。

お母さんはタイ人で、お父さんは外国人……えっと、どこの国だっけ……あ、ロシアよ!」


それからミニーは、ダンのことをシーティエンに語り始めた。

彼の両親が今どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、兄弟はいるのか――

さらには、小学校時代にどんな子だったかまで。


まるで、ひとつ質問しただけで百の答えが返ってきたようだった。


イーファは、シーティエンの皿に料理を山盛りにしてやったあと、

ミニーとシーティエンが楽しそうにおしゃべりしているのを横目で見た。

彼女はため息をつき、少しだけ目を上に向ける。


そして、シーティエンの皿から肉をつまんで、シーティエンの口へ放り込んだ。


「食え!!」

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