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グレーテルと悪魔の契約  作者: りきやん
契約のはじまり

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13/110

1-13. 【閑話】悪魔の考え

 メフィストは、肩に担いだ少女へちらりと視線を向けた。


 さきほどまで「絶対に落とすな!」と騒いでいたのに、今は諦めたのか、ただ大人しくメフィストの服をぎゅっと握りしめている。その身体は、かすかに震えている気がした。秋の夜空を飛ぶのは、人間には少し酷なのかもしれない。


(魂は半分しかもらえないけど……。まあ、ひとまず契約は成立した)


 本当なら、魂を丸ごと渡してもらえれば話は早かった。しかし、普通の人間は、余程のことがない限り、そのような契約に応じることはない。今回のように窮地に追い込まれて、ようやく首を縦に振る。


(――あいつみたいに、若返りたいからって契約する向こう見ずはそうそういないか)


 メフィストは、かつての契約者を思い出す。あの時は、こき使われた挙げ句に、魂を取り逃がす羽目になった。とんだ骨折り損だ。


 そして――。


 あの時、魂を奪うのを邪魔したのが、今、肩に担いでいるこの少女だった。


(しかしまあ、人間というのは……生まれ変わると、随分と見た目が変わるものだな)


 茶色の髪に、焦げ茶色の目。地味で、どこにでもいるような平凡な少女。もし、()()()を目にしていなければ、きっと興味すら持たなかっただろう。


(契約の履行を邪魔した、あの力。絶対に俺のものにしてやる)


 力を奪うための布石は打った。まずは、あの力の使い方を調べなければならない。


『君の言うことを何でも聞く下僕になってあげる。そして、ずっと君の魂の側にいる。その代わり、君の魂の半分を貰う』


 力の使い方さえ分かれば、魂の半分をいただく。そして、「ずっと君の魂の側」にいる、という制約を設けたおかげで、残りの半分をどうにかできる。

 再契約は面倒だが、何度生まれ変わろうと、文字通り「ずっと」側でついてまわれる。チャンスは必ず来るだろう。


(神官とレムルに対して、力を使わなかったということは、まだ使い方が分かっていないのか? そもそも、もし生まれ変わりに力が引き継がれていなかったら、また無駄骨……いや、魂の半分は手に入るから、無駄ではないか)


「メフィスト……」


 頭の中で考え事をしていたところに、声がかかる。メフィストは意識を引き戻して「なに?」と返す。


「ごめん……上下の揺れで、酔って、吐きそう……」

「えっ」


 小刻みに震えていたのは、寒さではなく、吐き気からだったのか。


「うぇ……」

「……落としていい?」

「絶対に駄目」


 メフィストは小さくため息をつくと、静かに揺れないよう、高度を下げた。

グレーテル「おえぇ」

メフィスト(間に合ってよかった)


グレーテルは ゲロインのしょうごうを てにいれた!

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ルフナ大賞一次選考通過!(通過率3%)
魔法使いと私
完結済の師弟もの甘々ラブコメファンタジーです。
よろしくお願いします〜!
by りきやん

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