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「ずいぶん、言葉に力がこもってるわね」

「夢世界で素顔をさらして、現実で干されたやつなんて腐るほど見てきた。夢世界では天下無敵の人間でも、現実世界じゃナイフ1本で殺せるからね」

「……物騒だね」

「だから、例え僕たちの間柄であったとしても、どこの誰かなんて、簡単に言うべきじゃない」

「ふーん、私たちの間柄、ねぇ」


 とか何とか言っておいて、僕もこんなに親身になって話してしまっていた。

 無視すればいいものを。どうしてこんなリスクを冒してまで教えてしまうのか。

 それはひとえに、僕が先輩風吹かせていい気になっているような気がしないでもない。

 僕は少なくとも、家を出る前に甘えてきた猫を撫でるくらいには、世話焼きなのだ。


「チクタクって、意外と大人だよね」

「なーにを仰る。同級生なのに」

「クラスの隅で大人しくしてる人って、自分に自信がない人だと思ってた」

「存外、男子は胸にひとつコレっていう自信を携えているもんなんだよ」

「ふーん。チクタクの自信の源は?」

「教えない」

「なんでよー」

「秘密は秘めておくことで密度が上がり、価値が上がるのです。ダイヤモンドのように」

「なんじゃそりゃ」

「そういうクシナサラだって、他の人とロクに話してるとこ見たことないよ」

「なんか、話すと話すで、プレッシャー与えちゃうのよね」

「美少女ゆえの悩みか」

「いいのよ。私の今の生き甲斐は、夢の世界だけだから」

「ゲーム感覚で入り浸るのは感心しないよ」

「よいではないか。ゲームは私たちの第二の人生だよ」

「ゲームをディスったわけじゃなくてね?」

「うん?」

「いやなんでもない」


 弁明するのが面倒なので放っておく。

 僕はこういうところ、ずぼらだと思う。反省はしていない。


「ね、じゃあ、そろそろ次のステップを教えてよ」

「何、次のステップって」

「”スペルカード”。呪文詠唱について、教えて?」

「ああ、それは……」


 僕は、また先輩風を吹かせて彼女にあれこれ教えてやるのだった。


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