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異界大戦史  作者: Nanashi
13/15

13.ヴァリアント

第十三話

連合軍ランディア王国前線司令部

前代未聞の事態に司令部内には重い雰囲気が漂っていた。

「一体何故こんなことに…!」

「全ての戦線が壊滅状態など信じられん…」

「終わりだ…」

「おい勇者部隊はどうなっている!」

「連絡取れません!!」

「これでは作戦も計画も台無しではないか…!」

「それよりかき集めた戦力の補充はどうするのだ…?」

「最短のユーグランド帝国でも半月はかかるぞ」

「増援が来るまで予備戦力で持たせるしか….」

「予備戦力の数では全ての戦線に配置することなど到底無理だろう」

バタン

「お邪魔しまーす」

「何者だ!!」

「君たちの計画を台無しにした者だよ」

「何!?衛兵!早くこの娘を捕まえよ!」

「いくら騒いでも外には届かないから静かにしてくれるかな?」

刹那、作戦室内に轟音が響き衛兵を呼んでいた者が力無く倒れた。

「なっ!?」

「ひぃっ!な、なんなんだお前は!!」

「だから言ったじゃん。君たちの計画を台無しにした者だって」

「な、何しにここに来たんだ」

「それよりさーさっき言ってた計画ってなんなの?教えてくれないかな」

「なぜ貴様なんかに教えなきゃ」

バァンッ

「ひぃ!」

「っ!」

「ぁあああああっ!?」

「教えてくれないと殺すよ?」

「わかった!わかったからやめてくれ!」

「それで良いんだよそれで。で?君達の計画ってなんなの?」

「私が説明しよう」

「君は?」

「私はテール公国軍大将そして連合軍総司令官のクレムリンだ。できれば貴方の名前もお聞きしたい」

「あぁ、まだ自己紹介してなかったね。俺はVFE司令官のレグナだ」

「ぶいえふいーとはなんだ?」

「軍事組織と思ってくれれば良いよ」

「なるほど。では説明しよう。我々が練っている計画は魔大陸を分割占領するというものだ。魔王の反応が消えてから魔王軍は何者かに攻撃され戦力が低下しつつあることから連合国の首脳達がこの計画を立てたんだ」

「なるほど。俺たちが原因ってことか」

「やはり….貴方が魔王軍を攻撃してたのか」

「あぁ、それが俺らの目的だからな」

「では何故我々を攻撃したのだ!!」

「あぁ、私も疑問だ。何故魔王軍を攻撃していた貴方が我々を攻撃したんだ?」

「あの攻撃は君たち連合軍への警告として行ったんだ」

「警告だと?」

「あぁ、君たち5カ国の首脳に伝えてほしい。魔王軍に占領された地域を我々が奪還する代わりに君たちが練っている計画を直ちに白紙にし魔王軍との交戦は攻められた時のみにすること。猶予は1ヶ月。もしこの要求を受け入れないのであれば今回のように攻撃するとな」

「きょ、脅迫じゃないか!」

「そうだ!そんなの受け入れられるわけないだろ!!」

「俺は今この人と話してんだ。外野は黙っててもらえるかな?それか何?死にたいの?」

「….すまんが諸君、この人の言う通りにしてくれ。君たちを失いたくない」

「クレムリン殿…」

「わ、わかりました…」

「レグナ殿、首脳達は受け入れないと思いますよ」

「その時は今回以上の攻撃をしてあげるよ」

「…わかりました。首脳達に伝えましょう」

「サンキュ〜じゃあ俺は失礼するよー1ヶ月後またここに来るからね〜」

「待ってくれ」

「ん?何?」

「貴方の目的は一体…?」

「秘密♪」

バタン

「総司令!あんな要求飲めませんよ!!」

「そうですぞクレムリン殿!」

「しかし飲まなければまた壊滅状態にされますぞ!」

「では易々要求を飲めと言うのか!」

「諸君、どうか首脳達を説得してくれないか?私もこれから本国に戻り説得しに行く」

「クレムリン殿!?」

「総司令が行くんですか!?」

「代わりは副司令に任せる。それと諸君、あんな短時間で全ての戦線が壊滅状態にされたんだ。そんな組織と戦えばどうなるか、わかるな?」

「しかし….」

「君たちの気持ちはわかる。悔しいだろう。だがここは耐えてほしい。この通りだ」

「「「わかりました…」」」

「では私はこれから本国に戻る。副司令、頼んだよ」

「了解しました!」


「大公殿下は受け入れてくれるだろうか…」

クレムリンは馬車の中でそう呟いた。


「どうですか司令?気持ち良いですか?」

「あぁ〜やっぱ書記ちゃんの耳かき最高だわ疲れ全部取れるもん」

「ふふ。それは良かったです♪今日は忙しかったですもんね」

「ほんと色んな事があったよなぁ。あ、そういえば昨日神様とメールしたんだけどさ、あの人えぐいこと打ち明けてきたんだよ」

「えぐいことですか?」

「俺をここに送ったもう一つの理由が人口増えすぎてどうにかして減らしてほしいだってさ」

「神のやりそうなことですね」

「神も見方を変えれば悪魔と同じってことかぁ」

「しかしよくそんなこと打ち明けてきましたね」

「俺が初手で核使ったから打ち明けても問題無いと思っただってさー」

「この世界の奴らがどうなろうが知ったことじゃないと思ってたけど、流石に同情しちゃうよ」

「司令はお優しいですね♪」

自分は優しいアピールをしているが本音を言えばこの世界が荒廃してしまえばサラとのスローライフに支障が出るかもしれないと焦っていて全く彼らになど同情していないのである。

「書記ちゃん」

「どうしました?」

「結婚旅行は…もう少し待ってほしい」

「ふふっ司令も大変ですもんね。わかりました。待ってますね♪」


翌朝 定例会議

「司令官殿、衛星の打ち上げ準備が整ったそうですぞ」

「え?早くない?来週のはずじゃ?」

「徹夜でやったそうです」

「そんな無理しなくて良いのになぁ」

「明日にはもう打ち上げできるそうですよ」

「マジかよN○SAもびっくりだよ」

「あ、海軍部に聞きたいんだが今空いてる大型のドックってどれくらいある?」

「えー、4つですね」

「じゃあ大和型とティルピッツ借りて良いかな?近代化改修したいからさ」

「わかりました。では必要な人員を…」

「いや、俺1人でするから大丈夫だよ」

「司令官お一人で…?」

「あぁ、だから乗員たちに連絡だけしといてくれ」

「わ、わかりました」

「ついに近代化するのですね司令官!」

「さすが戦艦大好きピーター君。興奮してんねー」

「当たり前じゃ無いですか!あの大和型を近代化改修するなんて地球じゃ叶いませんでしたからね!!」

「米軍が沈めちゃったからなぁ」

「そうですよ!ほんと米軍は何考えてたんだか!!」

「お前も米軍所属だったろ!」

「今はVFE所属だから良いんですよ!!」

「はいはい落ち着け。それとピーター、爆心地周辺の放射能濃度がまた下がったってマジ?」

「それがマジなんですよ」

モニターに詳しい詳細が表示された。

「濃度を見るに1時間以内であれば人間がマスクなしで行けるぐらい低くなってますね」

「絶対魔王軍何かしてるだろこれ…」


一方、テール公国では

港の岸壁に各国の首脳と来賓、大勢の関係者が集まっていた。岸壁には巨大な幕がかけられ静かに揺れていた。


「テール公国大公のヴィレット・ヨルデだ。我が民たちと各国の諸君、忙しい中よく来てくれた。皆もすでに察しているだろうが今回、我が国は持てる技術を結集しある船を作った。分厚い鋼鉄を纏い最新の魔砲を備え数多の砲弾や攻撃魔法にも耐え、あの北海の荒波にも耐えることができる新型艦」

「砲塔艦ヴァリアントであるっ!!」

大公の大声と共に幕が下がるとそこには鋼鉄を纏った巨大な帆船が姿を現した。

「「「!?」」」

「ヴァリアントは全長116m、幅21mで公国海軍最大の戦闘艦である!そして初となる魔力推進機を搭載した艦だ!それと世界一の分厚い鋼鉄でどんな嵐が来ようと航行することが可能なのだ。武装は前部と後部に28cm連装砲塔が2基搭載されていて舵を回さなくともあの砲自体が回り敵を狙い撃つことが可能なのである!!それにすでに2番艦の建造が始まっている。諸君!この艦は我が国と連合国の象徴となり必ずや敵を打ち滅ぼしてくれようぞ!!」

「「「うぉおおおおおお!!!」」」

「大公殿下万歳!!」

「テール公国万歳!!」

「まさかすでに魔力推進を実用化していたとは…」

「なんて大きな船なんだ…」

「我々とこの国はあまりに技術力の差がありすぎではないか?」

「確かに今は頼もしいが…」

「この大戦が終われば次の脅威はテール公国か…」

「ここまできたらもう我が国はあまり強気に出れんなぁ」

テール国民たちが盛り上がる中、各国の首脳たちは自分たちの約2倍の軍艦を建造でき主流だった戦列艦を一気に旧式艦へ変えたテール公国の技術力に更に恐れを抱くようになった。


隣の岸壁ではヴァリアント建造を担当した技術者たちが大公の演説を聴いていた。

「大公様、あそこまで言っちゃって大丈夫なんですかね」

「国民を安心させるにはあそこまで言わないとダメなんだろうよ」

「しかしあの船は少しでも浸水したら!」

「バカ声がデカ過ぎるぞ!」

「そういう技術長が1番でかいですよ」

「ははっ確かに」

「何か言ったかお前ら」


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挿絵(By みてみん)

公試運転中のヴァリアント


テール公国海軍 旗艦ヴァリアント

基準排水量 8300トン

満載排水量 9940トン

全長 116m

全幅 21m

喫水 8.2m

主機 アストラ式魔力推進機関×4、2軸

出力 7400馬力、最大18ノット

帆装 3檣シップ

乗員 700名

装甲 水線部230〜80mm 砲塔 250〜220mm 司令塔 200mm

兵装 11インチ(28cm)連装砲塔×2、5インチ(12.7cm)固定単装砲×2

外見はイギリス海軍 砲塔艦キャプテンに類似。

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二日後 夜 公邸

大将のクレムリンは公邸でヴィレットと面会していた。

「久しいなクレムリン爺さん」

「もう貴方は大公殿下なんですからそのように呼ぶのはいかがなものかと」

「良いじゃないかこんな時ぐらい。久しぶりなんだから」

「…そうですな。こんな時ぐらい息抜きしますかな」

「それで、話というのは?よほど急いで来たそうじゃないか」

「ランディア戦線のことなのですが…」

「あぁ、すでに聞いてるさ。何者かに全ての戦線が壊滅状態にされたって」

「はいそのことなんですか」

「責任なら取らなくていいよ」

「いえ、責任は取るつもりです」

「言っとくけど、全戦線壊滅状態なんて前例が無いからわからないけど死刑以外無いと思うよ」

「…」

「俺はまだクレムリン爺さんには死んで欲しくないんだ。頼むから、考え直してくれ」

「殿下…」

「と、話がずれたな。それで戦線がなんだって?」

「その攻撃した者が司令部に侵入してきたのです」

「なんだって?」

クレムリンはレグナの要求をヴィレットに伝えた。

「….仮に俺が受け入れたとしても、他の首脳たちが受け入れるとは思えないぞ」

「いえ、連合国一の軍事力を持つ我が国が受け入れたとなれば」

「他の国も追随せざるを得ないというわけか」

「はい。ですから殿下の決断に人類の未来がかかってるんです」

「しかし…」

「殿下、短時間で全戦線を壊滅させられる軍事組織と戦えば結果はとうに見えております」

「…クレムリン爺さん、そもそも彼らの言うことを信用できるのか?」

「確かに信用できません。しかし彼らと戦えば我々に勝ち目がないことは確実でしょう」

「そうか…わかった。明日、各国首脳と話をしてみる。それから決めるとしよう」


翌日。連合国首脳は公邸に招かれ大公と五カ国会談を開催した。

大きな円状のテーブルにテール公国、ランディア王国、リトバール王国、グレーシア共和国、ユーグランド帝国の首脳たちが座っている。会談は重苦しい雰囲気の中進められていた。

「では本題だが…」

1分後

「大公殿、これは到底受け入れられませんぞ」

「そうですよ。第一、本当に我が国の領土を奪還してくれるのかも怪しいですよ」

「しかし受け入れなければまた攻撃されるのであろう?これ以上我が国が兵力を出すのは厳しいぞ」

「貴公はなぜ犠牲が出る前提で話しておるのだ?」

「塹壕にいた兵もやられたのだ。何しようがやられるのがオチであろうて」

「皆の言うことはよくわかった」

「大公殿はどうお考えで?」

「私は…できるのなら受け入れたいと思う」

「た、大公殿、分かってるのですか。貴国が受け入れてしまったら我々は….」

「分かっている。我が国が受け入れれば貴国らは頼る国が無くなってしまう。だから追随するしかなくなってしまう。私は分かってて言ってるのだ。しかし、リトバール王が言ったように彼らは短時間で全戦線を壊滅させたのだ。そのような組織と戦えばどうなるかは皆もわかるはずだ。それに、我々が思っていた以上に魔王軍は強力だった。我々は敵の力を見誤っていたのだ。レグナという者が現れなくても計画は白紙になっていただろう。そして我が国の経済もついに戦争の影響が出始めている。これ以上魔王軍と戦えばどうなるか想像つくだろう」

「「「「…..」」」」」

「大公殿、一つよろしいか」

「どうした皇帝殿」

「仮に受け入れたとして、我々はどうやって臣民を納得させるのだ?我々は数多の犠牲を臣民に強いたのだ。ここで戦うのをやめたら。暴動が起きるかもしれんぞ。下手したら革命が起きるかもしれぬ」

「「「「…」」」」

大公が長い沈黙を破った。

「偽の…物語を作るのはどうだ」

「民を欺けと…?」

「何を今更、すでに何度か欺いてきただろう?」

「それで大公殿、どんな物語を作るんです?」

「戦線で生き残ったものはほぼゼロと聞く、だから彼らは魔王軍に攻撃されていた我々を助けにきたのだと国民に伝えるんだ。そうするしか他に方法はないだろう」

「そうか…」

「攻撃を見ていた者達はどうするのだ?」

「口封じするしかないだろうな」

「攻撃を報告していた監視兵だけでも軽く1000は超えてるぞ…全員殺すのか?」

「その命で人類を救えるかもしれないのだぞ?」

「あとは勇者殿か…」

「勇者殿が納得するとは思えん」

「勇者殿は今気を落として自室に引きこもっていると聞いたが」

「納得しない場合は勇者殿も….」

「あとは報告を聞いていた司令部の人間には説明して納得してもらおう。皆、ここは我慢しようじゃないか」

「本当にこれしか方法は無いのか….」

「こんな屈辱、今までにあったか…!」

「こんなの、あまりに酷じゃないか!!」

「….」

ガタッ

「皆聞いて欲しい。もし受け入れなければ我々は二つの勢力を相手に戦わなければならなくなるんだ。今の我々にそんな余裕があると思うか!!」

ガンッ!

「「「!?」」」

大公ヴィレットは表情を変え、拳で力強くテーブルを叩いた。

「万一のことがあればいくらでもこの命を差し出そう。だからどうか皆、ここは一つ、受け入れてくれないか」

「「「「…」」」」

「承知した。帝国は受け入れよう」

「リトバールも受け入れます」

「我が共和国も…受け入れましょう」

「…」

ランディア王は沈黙を続けていた。

「ランディア王」

「…わかりました。我が王国も受け入れましょう」

「御理解に感謝するランディア王」

「ただ、万一のことも考慮し並行して対策を進めておくべきかと」

「皆もそれでよろしいか?」

「あぁ、異論無しだ」

「我もだ」

「私もです」

「異議無し」

「では我ら五カ国は彼らの要求を受け入れることで一致、また同時に万一の対策も進めることで一致。よって今回の会談は閉会する。以上」


これでも素人なりに頑張って描いたんですよ泣。

それにしてもスタレ結構面白いですね。決してハマって投稿が遅れたわけではないですヘルタ可愛いですね。

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