ヲタッキーズ139 君はスーパーポジション
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第139話「君はスーパーポジション」。さて、スーパーパワーを封じられたヒロインがテロリストに誘拐されます。
背後に潜む秋葉原の"萌え経済"壊滅を狙う巨大テロの全貌が明らかになった時、ヲタッキーズは総力を挙げてヒロイン奪還に挑みます。
ヲタッキーズ"シーズン1"そして"量子シリーズ"の最終話です。
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 追跡と炎上のルンバ
「嫌ょ!テリィ様、助けて!離して!」
真夜中のパーツ通り。ミユリさんの悲鳴が響く。時空の歪みを越えた肉体が悲鳴を上げ脳内に霧が渦巻く。意識が飛ぶ…
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あら、テリィたん?スマホで電話がかけられるようになったの?大進歩ね」
「ピンクのシュビムワーゲン…ナンバーはWH-1361…」
「え。何?今、何処にいるの?」
真夜中の万世橋警察署。ラギィ警部への直通電話。
「ルイナのラボ…誘拐…ミユリさんが…」
「テリィたん、貴方は無事なの?」
「ピンクのシュビムワーゲン…ナンバーはWH-1361…」
電話は切れる。ラギィは立ち上がり、大声で叫ぶ。
「SATO司令部を呼んで!レイカ司令官を…神田消防とSWATはパーツ通りへ!大至急!」
「了解!…でも、何事です?」
「ムーンライトセレナーダーが誘拐された。TOの目の前で。犯人は…」
最後まで聞こえない。既に万世橋は大騒ぎだ!
「ピンクのシュビムワーゲンだ!パトカーは全車出せ!」
「ヘリも全機飛ばせ!全力出撃!」
「全員呼集!非番もOBOGも総動員だ!1人でも多く集めろ!」
真夜中のアキバにサイレンが響き、ヘリの爆音が轟く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パーツ通りで意識を失い転がってた僕は、駆けつけた万世橋のパトカーに助けられる。パトカーは、さらに続々集まる。
「ピンクのシュビムワーゲン…ナンバーはWH-1361…」
「テリィたん!どうなってるの?しっかりして!"ER"のウメチ先生は来てる?ドクター!」
「命の保証は出来ない。どーするラギィ?」
"ヲタクの主治医"こと"外神田ER"のウメチ先生がズラリと注射器を並べて指示を待つ。アッサリうなずくラギィ。
情け容赦なく僕の腕にブスブス注射器が刺さる←
たちまちシャキンとなりペラペラと語り出す僕w
「犯人は、量子テレポーターで黒のレオタードにマスク。ラボに"量子テレポーテーション"して来て、僕ごと地上にジャンプ。サイキック抑制蒸気でミユリさんのパワーを奪い、音波銃の台尻で僕を殴ってピンクのシュビムワーゲンで逃走。ナンバーはWH-1361…」
「心当たりは?またテリィたんの元カノ?」
「スーパーヒロインの彼女はミユリさんだけだ。ソレより、直ちに電話連絡したから領域探索の確率は…」
ココで白目をむき泡を噴いて倒れる僕。薬切れ←
「ミユリだけナンだ…」
つぶやくラギィ。ソコへ警官が飛び込んで来る。
「神田明神通りにピンクのシュビムワーゲン!追跡中!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新幹線ガードを次々くぐってワーゲンを追うパトカー。
さらに、上空からはサーチライトを照らしヘリが迫る。
追うパトカーも迫るヘリも、ドンドン数を増やす。
「昭和通りで止めます!」
命知らズのパトカーが飛び出す。急ハンドルを切り、パーキングタワーに逃げ込むワーゲン。
パトカーも次々と突っ込んで、パーキングタワーの中でカーチェイス!ドンドンと上の階へw
「逃すか。もう袋のネズミだ!」
逃げるワーゲン、追うパトカー。急カーブの連続に壁を擦り火花が散る。ついに最上階で挟み撃ちにされて壁に大激突w
ワーゲンは爆発炎上。タワーパーキングから紅蓮の炎が噴き出して、アキバ全域から見上げると、夜空に火の玉が現出!
遠くクラクションが鳴り止まないw
第2章 彼女はバウンティハンター
覚醒したら…ソコは、事故現場だ。
目の前をストレッチャーが横切る。
黒焦げのスーパーヒロインの死体が載っているw
「"blood type BLUE"だって?!」
「落ち着いて、テリィたん。ムーンライトセレナーダーかどうかはワカラナイ。とにかく、御屋敷まで送るから」
「帰らない。量子テレポーターが見つかるまで」
ラギィ警部が目配せスルと、僕の左右にメイドが現れる。
「エアリ…マリレも」
「テリィたん。とにかく、帰ろ?」
「ラギィの話も聞かなきゃ」
エアリ&マリレはスーパーヒロイン集団"ヲタッキーズ"のメンバーだ。エアリは妖精担当、マリレはロケットガール。
僕は、バックドアを開けた救急車に座らされる。
「事故ったシュビムワーゲンに乗っていたのは女性2名。いずれも"blood type BLUE"…身元は確認中」
「逃走中にムーンライトセレナーダーを降ろす時間はあったハズだ」
「ムーンライトセレナーダーを残して犯人が降りたのカモしれない」
忌々(いまいま)しいが、もっともなコトを逝うラギィ。
「シュビムワーゲンは、自爆用と思われる爆薬を積んでた。過酸化アセトンで衝撃や熱で爆発するタイプ」
「おいおい。タダの誘拐犯じゃナイな?革命でも始めるつもりか?」
「完全にテロの手口だわ。ソレにしても、なぜムーンライトセレナーダーが標的に?」
全くだ。僕は頭を抱える。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。相棒のスピアとの会話。
「ルイナ。先ずはコーヒー飲も?ギャレーに行こ?」
「スピア、私のそばにいて」
「いるわ。だからギャレーに行こ?」
SATO司令部は、SATOが秘密組織だった頃から外部からの侵入は不可能とされている。
その鉄壁の地下要塞が"量子テレポーター"の侵入を許し、目の前で親友が拉致される…
超天才はショックを隠せない。
「ルイナ、大丈夫?」
「ワカラナイ」
「私に出来るコトは何でもスルょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。万世橋の検視局。
「皮膚サンプルを見る限り、焼死体の1人目は"blood type BLUE"。20代で体重は約80kg」
「ムーンライトセレナーダーじゃない。別人だ」
「2人目も20代女性。肌サンプルからは…実は"blood type BLUE"とは断定出来ない。でも、妊娠3ヶ月。テリィたん、身に覚えは?」
僕は、無言で首を横に振るw
「橈骨に1〜2ヶ月前の音波銃槍がある。"リアルの裂け目"から来たコトは間違いナイ。出入"秋"管理センターのデータベースのDNA鑑定で2人の身元を照合中」
検視官の言葉に、僕はうなずく。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「ルイナ。リモートで聞いてる?ムーンライトセレナーダーは乗ってなかったわ」
「ホント?」
「検視の結果ょ。あのシュビムワーゲンには乗ってなかった。指紋鑑定の結果、1人はウラデ・ルサトと判明。2ヶ月前に"リアルの裂け目"を渡って東秋葉原に潜伏。薬物、暴行の犯罪歴アリ」
モニターに現場の画像。
「この顔に見覚えは?ねぇ集中して。よく見て」
「集中してるわ」
「ムーンライトセレナーダーは、22時48分に誘拐され、12時17分、ココでシュビムワーゲンが見つかった」
モニターに地図が映り2箇所に丸がつく。
「24kmの距離に約90分かかってる。夜中なら30分で行けるトコロょ」
「どこかに寄り道を?」
「最低1回はね…コレで何かワカル?」
超天才相手に無茶ブリするラギィw
「うーん"経路最適化"が使えるかしら。でも、逃亡のバイアスは少ない。これはいわゆる…」
「あぁ何だか混乱してきたわ」
「"オイラー回路"と同じだわ!」
大声で叫びながらギャレーを飛び出して逝くルイナ。
全員が呆気にとられるが、リモート会議は続行スル。
「ラギィ。検問を設置したのはいつ?」
「スピア。連絡が入った時、既にパトカーが数台いた。5〜10分で増員、ヘリはさらに5分かかってる」
「ソレについて、数学者ジョン・コンウェイは天使の問題を提唱してる。無限のチェス盤の真ん中に天使がいて、悪魔が行く手を阻む。天使は、毎回許されたマスに移動が出来る。その度に悪魔が現れて天使の動きを邪魔スル。天使が行き詰まったら悪魔の勝ち。天使が無限に動ける方法もあれば、悪魔が阻止出来る時もある。コレは、警察の非常線や検問と似てるわ」
溜め息をつくラギィ。
「そして、私達が悪魔?」
「ゲーム理論ではね。でも、お陰様で、天使である誘拐犯の経路を推測出来るカモしれナイ」
「スピア。貴女1人でやれそう?」
超天才の相棒ハッカーは胸を張る。
「えぇ問題無いハズょ。もともと、私はワトソン君よりホームズのお兄さんキャラだから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
張り込み中のエアリ&マリレ。2人共メイド服←
「いつも犯人を待ってドアを蹴破りたいワケじゃナイけど、こんなトコロで時間を無駄にスルよりは…」
「ドアを蹴破りたい?」
「その前にコレを見て。しゃがんでた形跡がアル。3日間にわたって監視してきたの」
振り向くと、ウェスタンでセパレートのコスプレ女子w
「誰?カウガール?」
「私は賞金稼ぎ。ずっと奴を追ってる」
「奴って…どなた?」
第3章 テレパスはサイコパス
「賞金首はメイソ・ジリア。"スーパーヒロイン革命党"の党首で"blood type BLUE"。"彼"自身は強力なテレパス」
「あ、そう。で、貴女は?デイジーおばさん?」
「…続けるわ。メイソは反社会的と診断される、暴力的で利口な危険人物ょ。私は、リンデを見て、今回の事件の関連性を知った。あ、私はエジョ・ジャジ。"お嫁さんにしたいバウンティハンターコンテスト"のファイナリスト」
そんなミスコンがあるのか?!
「メイソ・ジリアは、スーパーヒロイン同士の親睦団体だったティーパーティを乗っ取り"革命党"に改組して地下に潜った」
「キモい。ジリアってカメラ小僧か何か?」
「カモしれない。焼死体の内の1人の正体はケティ・ケイトだわ。彼女は"革命軍"の貴重な戦力である"量子テレポーター"だったけど、ジリアの子を身ごもった。私は、彼女を追って秋葉原に来たの」
「爆薬を積んだ車に妊婦を乗せるナンて」
エジョはスマホにヒロイン系コスプレ女子の画像を流す。
「コレが全部ジリアの恋人ょ。コレ以外にも2人が強盗未遂で逮捕されてる。家出娘に麻薬常習者に娼婦…地方出身の上京失敗者が多いわね」
「全員がパワーに覚醒したスーパーヒロインなの?」
「その路線を狙ってるけど、実際にはタダの(コスプ)レイヤーも多数混ざってる。選別基準はあくまで"見た目"」
自分の顔を指差すエジョ。もしかして、彼女も…
「彼女達は"部族"を名乗ってる。くだらない革命論を振り回して、殺人、放火、強盗を繰り返す。ジリアは、自分の"革命ハーレム"を正当化してるわ」
「最近は爆薬のエキスパートも加わったようね?」
「何か新たな企みをしてるみたい。組織は、2ヶ月前から完全に地下に潜った。ソレも相当な地下」
「…なぜムーンライトセレナーダーが誘拐されたの?」
エジョは首を横に振る。
「ワカラナイわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下牢。サイキック抑制蒸気が白く垂れ込める中、鎖に繋がれて、両手首を壁に固定されたムーンライトセレナーダーw
「何が望みなの?教えて」
「静かにしな」
「"彼"の言うコトを聞くのょ」
周囲をクノイチ、魔女、CA、ナース…多様なコスプレをしたスーパーヒロインが囲む。その全員が"上から目線"だw
「きっと人違いだわ。私、何もしてないし」
「黙りな。殺人音波が欲しい?スーパーヒロインだってイチコロだそーょ?」
「やめて。お願い」
ラッパ型に開いた銃口が額に当てられる。肌に冷たい感触。
「やぁ。ムーンライトセレナーダー」
男の声。見上げるとコスプレ女達が左右に引き、黒ジーンズに黒Tシャツで頭に…カメラの被り物の男が現れる。
右に音波ライフルを持つボディガード?の女戦士。左にセーラー戦士の"チビうさ"コスプレの女。幼女趣味w
「余の名はメイソ・ジリア」
完全にマウントとってるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。モニター画像。
「隠しカメラの方を向くのか?」
「いーから私を見ろ」
「アンタじゃなくてアンタの裁判所をだろ。俺とアンタは、生きる上でのルールが違う。正気かどうか、そして、善か悪かも問題だ」
捜査本部の全員でジリアの取調べ画像を見ている。
「メイソ・ジリアは正気じゃないの?」
「IQは155。窃盗で服役。ニーチェやカルトの指導者を信奉スル傾向がアリます。逮捕されたスーパーヒロイン達からは"殉教者"あるいは"自由の戦士"と呼ばれてます」
「殉教者?何の戦い?」
ラギィ警部は、長い溜め息をつく。画像のジリアは語る。
「俺を十字架にかける気だろう。パリサイ人はキリストを非難した。俺を異常者と決めつけるな。社会が弱者を支え、強者を殺すと言うのか」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下牢。
「なぜ俺はお前を生かしたと思う?俺は時空を超える巨大な腕を伸ばし、お前を召喚したのだ」
「何の用?迷惑だわ」
「お前は俺が呼び寄せたゲシュタルトだ。ウェブや雑誌でお前の名前を知った。人工知能を封印したそうだな」
生成型AI"ベリィ"の事件だw
「アレ、私じゃナイから」
「ハッカーの国際会議で聞いた。今じゃお前は無政府主義者のアイドルだぞ」
「コスプレがウケてるだけでしょ」
ムーンライトセレナーダーは、当初セパレートのコスプレで腹パンチを浴びて敗北、以来メイド風のワンピにチェンジ。
実はドストライクだ、僕的にはw
「ムーンライトセレナーダー。コレからは俺の二進法の使者になれ。拒んでも無駄だ。俺はテレパス。既にお前の心は支配した。さぁ立て」
何と!素直に立ち上がるムーンライトセレナーダーw
「風の音が聞こえるか?猟犬の遠吠えだ。俺には、時間がない。AIの前に立て。俺の指示を聞くのだ」
ムーンライトセレナーダーは、死んだ魚の目←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査会議。ルイナはラボからリモート参加。
「物理的な距離と結果の迅速性の間に相関関係は実証されていないわ」
「(え。何を言ってるの?この人w)わかった。よろしくね、ルイナ。で、真実は現場にありそうね」
「奴が現場に残したマッチコート。鍵や写真に使われてるようなシートフィルムのタイムアップを識別してみるわ。その可能性は低いけど、どこかで見た気もスル」
とにかく、ルイナには何かやらせておこうと思うラギィ。
「OK。ルイナ、何かわかったら教えてね」
「私、何度も捜査に協力し、少ない手がかりからアルゴリズムを組んで来た。でも、今回は…もしもし?え。今日はクレジットカードは使ってないわ。多分誰かが…」
「ルイナ、私が変わるわ。もしもし、相棒のスピアです」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下牢は、ムーンライトセレナーダーの人体実験場と化す。電気椅子?に固定された彼女に、怪しい機器や電極が取り付けられ、床にはソレらが吐き出す膨大なコードがのたうつ。
「あああっ」
電気椅子の上で、大きくのけぞり悶えるムーンライトセレナーダー。彼女のカラダからあらゆるデータが抜かれて逝く。
ソレは精神の陵辱。拒みようのない力で魂を鷲掴みにされ、人格をモギ取られて逝く。今や、彼女の自我は崩壊寸前だ。
「せめて殺して…」
彼女から抜き取られた、あらゆるデータは膨大なコード類を通じ、接続された生成型AIに流れ込む。
つまり、ムーンライトセレナーダーは、生成型AIが深層学習を進めるための素材にされているのだ。
「どうだ、ムーンライトセレナーダー。力づくで精神をハッキングされる気分は?」
「ギブょギブアップ!もぉ許して…でも、悪いけどイカないわ。こんな簡単なハッキングじゃ無理。もっとスペシャルなアルゴリズムが必要ょ」
「イッでない?演技だったのか…ソレとも何か時間を稼ぐ気なのか?」
悶えながらも微妙なコトを逝うムーンライトセレナーダーw
「ウソなんかじゃないわ。私だって、こんな生煮え状態は早く済ませたい。で、おスペで特殊なアルゴリズムは私のPCの中なの。誰かが取って来てくれれば、アナタの大事な生成型AIちゃんの深層学習は、もぉ驚異的なスピードで進んじゃうわ」
「(マ、マジかょw)ムーンライトセレナーダー。私は昨夜、物語を読んだ。あるインドの姫が魔王にさらわれてしまう話だ」
「ラーマーヤナ?」
煙幕を張るつもりが、逆に煙に巻かれてるジリア←
「(え。知ってるのかw)うむ」
「ハマヌーンと救出スル?」
「猿の王様だ。俺がお前を秋葉原から救出した。アニメ、フィギュア、ゲーム…物欲にあふれた秋葉原を自由な世界と呼ぶのか?」
真剣な顔のジリア。ドン引きのムーンライトセレナーダー。
「物語は終わりだ。お前は救われた。PCは手配スル」
電気椅子の上でグッタリとして、ピクピクと痙攣するムーンライトセレナーダー。まぁコレこそが彼女の演技ナンだが。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下アイドル通りの1本裏の路地。
「ルイナが"天使と悪魔の問題"を使って誘拐犯の動きを分析した。この路地の何処かに姉様が拉致されてる」
「マジ?確かに、ココなら人目につかず、薄暗いから(年の割にハデなコスプレのw)姉様を隠せるカモ」
「おっと。いつも突然の登場ね」
路地を見下ろす廃ビルの非常階段にエジョがいる。
「全く誰も私に気づかないんだから」
「貴女のやり方でもココにたどり着いたワケ?」
「私のやり方?単に現場から追跡しただけょ。タイヤ痕も足跡と同じ原理。しかも、途中で急カーブしてたから超簡単だった。裏口、開けといたから自由に入って」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
廃ビルに入るヲタッキーズ&追跡屋エジョ・ジャジ。
「貴女の頭の中の思考回路を見てみたいわ」
「見せてあげるから、ライトを振り回さないで…4ドアのセダンだと追跡が難しくなるのょ。来て。過酸化アセトンだわ」
「ココは爆薬工場?」
床に何処か"味の素"を思わせる白い粉末。
「ココで作業を終えてから誘拐に出掛けたんだわ。因みに、ココは半年前に倒産した花火工場で今は無人…にしては、随分と人通りの激しいコト」
腕、足、そして頭…胴体の無いマネキンが床中に散在スルw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。相棒のスピアの声が響く。
「ルイナ。カード会社からだったけど、貴女のカード番号で誰かがガラクタを買い漁ってる。アンティーク時計やスチームパンクなティーポット。ソレに季節ハズレのスノーボードにスノードーム…」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。ジリアの取調べ画像が続く。
「…囚人服で俺を定義し、アンタ自身はスーツを着てる。でも、スーツを脱げばアイデンティティは喪失だ。所詮アンタはゲロやゴミを漁って生きてる野良犬だ」
「そりゃ逞しいな…」
「テリィたん?」
突然、僕のスマホに割り込んで来るのはルイナ…と逝うか、スピアにハッキングさせて割り込む困った車椅子の超天才w
「何かわかったのか?」
「うん。姉様は生きてる。カードの不正使用で私に連絡してきた。アンティーク時計は、私がお誕生日に送ったの。スチームパンクのティーポットはテリィたんからの御屋敷開店のお祝いょね?でも、このスノードームとボードは?」
「先週、僕が冗談で逝ったシリーズ打ち上げ旅行の…」
実は、次作から新シリーズなんだが、その前にモントルーのジャズフェスに行きたいって彼女と話した覚えが…くそっ!
僕と2人で逝く気だったのかw
「ルイナ。どうやってアクセスしてるのかは知らないけど、ソレは偶然じゃない。ミユリさんは、僕達に話しかけてる。全部、御屋敷にあるモノばかりだょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
真夜中の御屋敷。"窓の外"で待機するエアリ&マリレ。
因みに、僕がオーナーだけど高層タワーの最上階にアル。
「姉様が暗号で話しかけて来たんだって?」
「まさか。テリィたんがワラにもスガる気持ちなのはワカル。でも、ニワカには信じられないわ」
「でも、あんなテリィたんでも、姉様のコトになると鋭い時がアル。何か考えがアルのでしょ」
空中に浮いたママ、うなずき合うメイド達。
「1時の方向」
暗視双眼鏡の中にナイフを抜く女の画像が浮き上がる。
「"スーパーヒロイン革命党"のデータベースと照合して」
「…ヒット。パイパ・セジョ。党の"喜び組"所属」
「やれやれ。ルイナを疑うだけムダね」
ミユリさんが不在で閉店中の御屋敷に押し入り、何かを探すパイパ。カウンターのPCを見つけバックに押し込み専用EVで一気に地上に降りる。ダークの車に乗り込む。
「ヲタッキーズ!動くな!」
"舞い降りる"ヲタッキーズ!
ドライバーが振り向き音波銃を構えるが、一瞬早くマリレが発砲、ワーゲンのフロントガラスいっぱいに血飛沫が飛ぶw
「抵抗すれば撃つ。手を挙げて」
「コレでアンタ達の"あばずれメイド"も死んだも同然ょ」
「お黙り」
第3章 アジトにて
地下牢の夜。狭い地下室のアチラコチラで思い思いの格好で寝ている"部族"の女達。
ムーンライトセレナーダーが見回すと、音波ライフル片手のボディガードも寝ている。
「お出かけか? 」
立ち上がった途端に声がかかる。
「おトイレ」
「オリラ」
「はい、様
薄く目を開ける女。
「トイレに案内しろ。ちゃんと戻って来いょ」
ムーンライトセレナーダーの髪をいじる。
「お前を抱きたい」
「死んでもゴメンょ」
「その内に気も変わるさ」
キスをする。瞬き1つしないムーンライトセレナーダー。
「おトイレに行くが良い」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。ラギィ自らパイパを取調べるが、無理矢理僕も紛れ込む。彼女には色々貸しがアルw
「アンタ達の"あばずれメイド"がアタシの帰りを待ちわびてるわ」
「ソレ、もう聞いた。ソレから、貴女はハメられたの」
「ダラサにね。私がジリアの"喜び組"だから嫉妬してた」
いつの世も、女の世界を回すのは"嫉妬"の力←
「あのパソコンは?」
「アンタ達の"あばずれメイド"が頼んだのよ。 ジリアは、彼女も部族の1人だというの」
「ソレはジリアの過ち?」
鼻で笑うパイパ。
「アタシ達はバラバラのゲシュタルトだけど、 ジリアには全体像が見えてる。あの"あばずれメイド"は、もう死んだも同然ょ」
「その"あばずれメイド"だけど、僕の推しナンだ。名前もちゃんとアル」
「ええっ。あんなスーパーゾンビにもTOがいるの?ソレは驚きね」
ミラー越しの隣の部屋。
「テリィたんじゃ生ぬるい!私達も尋問に加わるわ!」
「待ってくれ、ヲタッキーズ。テリィたんに任せろ。見ろょ。あんなテリィたん、見たコトないぜ」
「どちらにせよ、彼がゲットした情報が全てのカギとなる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ルイナのラボ。超天才を急かす相棒のハッカー。
「データ解析には、まだ時間がかかりそう?」
「全力を尽くしてる」
「わかってる。でも、もし拉致されたのがテリィたんだったら?」
この難しい時に"男と女"を持ち出すスピア。やはり女だ←
「そりゃ…邪魔者は全て排除してアキバ中を探し回るわ。だって…スピアはどーなの?」
「そりゃ私は、テリィたんの元カノ会の会長だもの。会長としての責任がアル…でも、今はルイナの身になって考えているの。だって、私が冷静でないとムーンライトセレナーダーを連れ戻せナイ…ん?何かわかったの?」
「ソレが…可能性を1つに絞れナイの」
超天才の深い悩みに相棒が即効のアドバイスw
「可能性を無理に絞る必要はナイわ。2つの可能性を同時に持つのは量子論の基本でしょ?量子重ね合わせょ。ルイナはテリィたんのコトになると、いつも自分を見失うから」
「じゃあどうすれば良いの?」
「直感に従うの。女の直感に」
スピアは、ルイナの肩に手を置く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。エアリとマリレ。
「"ムーンライトセレナーダー拉致"の後半戦で"革命党"は、マネキンだらけの爆薬工場へと移動した」
「その後、ソコを引き払いムーンライトセレナーダーも移動させた」
「ピンクのシュビムワーゲンは、最初から処分するつもりだった。魂胆を隠蔽スルために」
ココからエジョ・ジャジが加わるが…ナゼかメイド服w
「中東の国の諜報機関の仕事をしてた時、ガザではマネキン爆弾を仕掛けられたわ。胴体が無いナンて、まるでピースが欠けたパズルょね」
「私達をココに誘導したのかしら…にしても、ナンで貴女までメイド服なの?」
「だって、そろそろファイナルだし。ココは秋葉原でしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
僕のスマホを強制ハッキングして来たのは…
「え。何?ルイナ、今、取り調べ中ナンだけど」
「テリィたんに質問がアル。ホントにスノードームに2万円も払ったの?Montereyのお土産のスノードームのコトだけど」
「いや。アレは確か千円だった。現金で払った。因みにティーセット¥2300。アールデコ調の置き時計は¥340。虫除けの鬼やんまブローチは¥830。アレのお陰で、あの夏は虫刺されがパッタリ…」
ルイナは聞いてない。スゴい効き目だったのにw
「…支払いが発生してナイわ。姉様がハッキングで買い物カゴに入れてるだけ。コレは、姉様とテリィたんにしかわからナイ…考えて。姉様はテリィたんに話しかけてるわ。2人の思い出ナンでしょ?」
「こんな数字、何の意味もない。ホントだょ」
「¥830の鬼やんまブローチ…」
モニターに明滅スル数字を見つめるスピア。
「そっか!IPブイ4アドレスだわ!」
「ダークウェブ?」
「プライベートネットワーク!」
スピアが何か打ち込むとモニターに一斉に文字列が出現w
「姉様ったら…スゴいわ」
「なんなんだょ、コレ?おい、スピア?」
「ミラーIPアドレスょ。姉様は、自分の手の内を全部見せてる。ソレも恐らく奴等の目の前で」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下牢。一心不乱にアルゴリズムを打ち込むムーンライトセレナーダー。トレイに載せた粗末な食事が運ばれて来る。
「私はハクホ。喜び組のNo.2だけど、今度No.1に繰り上がったの。ウレP(死語w)」
「ソレは愛の表現なの?」
「YES。ココには"部族"の愛が満ち溢れてる」
ハクホは、全く化粧してないが、恐ろしいホドの美人だw
「男と女のあるべき姿ょ」
「気づいていないだけだ。お前は壮大な宇宙の1部、俺のゲシュタルトだ。メッセージを受け取ればわかる。宇宙からのメッセージだ。映画はコケたが…ムーンライトセレナーダー、アルゴリズムの入力は進んでるか」
「OSのバージョンが古い。私のPCは未だ?」
"スーパーヒロイン革命党"党首自らが絡んで来るw
「同じ過ちは繰り返さない。俺だって馬鹿じゃない」
「どーゆーコト?」
「お前の裏切りは予想してた。全て計画の内さ。使いを出してからどれぐらいだ?」
ハクホを振り向くが彼女は白痴のようにヘラヘラ笑うだけw
「…恐らくパイパ達は死んだ」
「ソンなコト、ワカラナイでしょ?」
「俺のリクエストだから2人は危険を犯した。ソレが"部族"の掟だ」
お粥の入ったボールを掴む。
「今はともかく、食え」
ナイフ片手にボールをつかみ、ムーンライトセレナーダーの口に流し込む。口からダラダラと溢れ出るお粥。次の瞬間…
ジリアの顔に、ぺッとお粥を吐きかけるムーンライトセレナーダー。ジリアもコスプレ女達も全員が立ち上がる。騒然w
「ダイエット中なの」
ジリアがムーンライトセレナーダーをピシリと引っ叩く。
「今は…今だけは許してやる」
第4章 コスプレ経済を救え
「"スーパーヒロイン革命"の全貌がわかった!奴等は秋葉原の"萌え経済"を壊滅させる気だわ!キーエレメンツはカード会社へのサイバー攻撃。ソレに気づいた姉様は、奴等の目を盗み、革命の全貌をテリィたんのカードを利用して教えてくれた」
「"萌え経済"を壊滅させる?もう始まってるの?」
「今は、ダミーのウェブサイトだから多分攻撃を装ってるだけだわ」
オンラインで聞いてた万世橋の捜査本部が一斉に色めき立つ。ルイナの傍らで相棒のカリスマハッカー、スピアが叫ぶ。
「ムーンライトセレナーダーの居場所を逆探知してるけど、正確に特定出来ない。量子論的にはコレで良いカモだけど」
「"スーパーヒロイン革命党"が狙うカード会社は、秋葉原のカード債務の15%を占めてる。コレは"組み木パズル"ょ。1800年代に発明された、組み立てるとイガグリみたいな形になるパズル。6ピースだと組み立て方は314通り。1本でもピースを抜くと全てが崩れる」
「で、このカード会社は、秋葉原のヲタクが抱える債務の15%を占めてるけど、その総額は4兆円近くw1〜2日のネット障害で秋葉原の経済は崩壊スルわ!」
その話にピンと来た僕は、再び取調室にとって返す。
「弱点を取り除けば構造が崩れ落ちる…でも、その時に初めて全てがひとつになるのか。なぁパイパ。ジリアが何度も話したろ?弱点を取り除けば、構造は崩れ落ちて組み木も崩れてしまうンだょ」
顔を上げるパイパ。その瞳に狂気。ヤレるw
「パイパ。君が"スーパーヒロイン革命党"の弱点だ。君はムーンライトセレナーダーにとって変わられた!」
「え。私が"あばずれメイド"に?ウソつかないでょ!この豚野郎」
「君は、僕達に捕まるためにジリアに送り込まれたのさ」
立ち上がろうとスルが、手錠が机に繋がれいて立てないw
「ウソょ!ジリアは絶対に私を奪い返しに来る。そして、アンタの目玉をボールペンでくり抜くわ」
「(何でボールペン?)僕はパリサイ人だっ!」
「誰?バルタン星人?」
よっしゃ完全に僕のペース←
「君は、ジリアのアジトへ俺達を案内するコトでのみ、パズルのピースとなるコトが出来る」
「そ、そーなの?!」
「あの"あばずれメイド"の命を救いたいのか?なぁ一体どーなんだ?ハッキリしやがれ沢田研三」
激しく首を横に振るパイパ。
「みんな地獄に送ってあげる。地図を描くわ。紙と鉛筆!」
世にも恐ろしい微笑を浮かべるパイパ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田リバーの川辺に立つ廃工場。例のマネキン工場だw
「万世橋SWATは裏に回って。警官隊とヲタッキーズは正面から。人質は殺されても死なないから発砲は自由。全員突入!」
「オーライ!GO!GO!GO!」
「2方向から発砲あり!狙撃兵に注意!」
飛ぶ系ヒロインのヲタッキーズが上空から狙撃兵を狙撃!
「音波ライフルガールは片付けた」
「量子テレポーターは昨日、潰したわ」
「正面を突破!工場内へ突入!」
制服、私服、コスプレ隊が突入!
"革命党"は押されて後退スルw
「ホゥプが殺されたわ」
「落ち着け!計画を思い出せ…キスしよう」
「う…うぐ」
傍らの"喜び組"にキスするジリア。意外にキス魔。
「あらあら。貴方の壮大な計画も終わりみたいょ?」
「黙れ、ムーンライトセレナーダー。なぜお前を選んだと思う?SATOとの関係が偶然だと思うか? わざと呼び寄せたのだ!…でも、時間がないコトも確かだ。カード会社のサーバーを破壊しないとお前も死ぬぞ」
「手品だとでも思ってるの?ちょっと指を動かせばセキュリティが破れるとでも?私はスーパーヒロインょ?ハッカーじゃナイわ」
銃声が近づく。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続々と突入スル警官隊は、廃工場を制圧して逝く。拳銃、短機関銃、音波銃を構え前に進む。
その周囲で、巧みに退却するコスプレ女達が弾除けがわりに配置したマネキンを次々と爆破。
硝煙、銃声、悲鳴が渦巻く。
「警官隊!指揮官と話したい」
「悪いが、今、手が離せない。ソッチの要求は? 」
「15分間。15分を要求します」
命と引き換えに時間を稼ぐコスプレ女達。
「聞いたか?お前に与えるのも15分だけだ。指を動かさないと指をへし折るぞ」
「貴方じゃ私の指は折れないわ。どいてょ。組み木パズルの邪魔。貴方は不要なピースそのもの」
「ジリア、もう防ぎ切れない。やる気のある者はいないわ」
次々と撃ち倒されて逝くコスプレ女達。
「マネキン爆弾の後に立て。時間を稼げ!戦うんだ」
「ホゥプもミゼルも、ジリアのために死んだわ。みんな、死んじゃったのょ!」
「ん?何してる?口座を消去してるのか?」
微笑むムーンライトセレナーダー。ジリア、発狂w
「わかった。警官隊を入れろ。終わりだ」
「私達、刑務所に送られるわ!」
「しかし、俺が今成し遂げたコトは、マドフ、エンロン、AIGの10倍の衝撃だ。俺は今宵、神になった。きっと俺の顔入りTシャツも出来るぞ!」
その時PCに"姉様、伏せて"の文字が大きく明滅。
伏せた次の瞬間、殺人音波に貫かれ斃れるジリアw
「ミユリさん、無事か?」
「テリィ様、遅い」
「インドア派ナンだ。無理逝うな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
日没のアキバ。解散が決まり、後片付けが始まる捜査本部。
「あまり寝てないけど疲れも感じナイな」
「ツケが回るわょテリィたん」
「ラギィは活力に満ちてるな…刺されて逆に絶好調だw」
ギャレーの紙コップを掲げる。
「私の良い調子に乾杯」
「コーヒー?ビールを飲むなら付き合うわ」
「素敵。今宵ご一緒に」
ラギィと腕を組んで出掛けるのは…賞金稼ぎのエジョ。
誰もが"え?"って顔をスル中、夜のアキバに消えるw
「予想外の展開ね」
「彼女は僕を推してると思ってた」
「さすが最終話。何でもアリね」
笑い声が弾ける。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
深夜の"潜り酒場"。
「毎週毎週、何て週末だ。宇宙に帰るとホッとスルょ」
「この1年で、ラギィは刺され、ルイナも狙われ仕事を失いかけました。列挙すれば、列車事故、脱獄犯、連続殺人、銀行強盗もありました」
「生きるのに必死で、アキバの歩き方を忘れるな。おまけにラギィが宗教にハマりかけた」
クスクス笑う僕は、第3新東京電力初の宇宙発電所長に就任し、1年の多くを衛星軌道で過ごす生活をスルようになる。
そろそろ、今回の休暇も終わる。
「テリィ様、コレからどうなさいます?」
「仕事に戻るさ。自分が必要とされる内はね」
「お仕事、お好きナンですね。でも"推しゴト"の方は、推しの近くにいるコトが大切です。ヲタクの神が存在スルのなら、ヲタクのささやき声の中にこそいるハズです」
カウンターの中のミユリさんはホンキだw
「ずっと信じてた。必ず私のTOが来てくれるって」
「TO自身よりTOのコトを信じてる?アイドルとしては珍しいパターンだ」
「でも、ソレで良いのでしょ?ココはアキバだから」
いよいよ覚悟を決める時だ。
僕はカウンターの中で跪く。
「この1年でハッキリとわかったコトがアル。量子時代に、未来の人生がどうなるか、誰にも予測は出来ない。全ての可能性はマルチに共存スル。つまり、未来を予測するコトには意味がナイ。だから、大切なコトは失ってから気づいたんじゃ遅くて…」
ミユリさんは息を飲む。その瞬間!光芒が僕達を包むw
「何?何なの?」
窓の外でジェットヘリがホバリングし、サーチライトで僕達を照らし出す。ヘルメット姿のパイロットが敬礼している。
「"ユギオ2.5"発動です。テリィ宙将、衛星軌道にお戻りください」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"カルト集団"をテーマに、カルトな革命家、革命家の恋人、元恋人の量子テレポーター、同じく妊婦、同じく"喜び組"、同じくボディガード、カルト集団を追うバウンティハンター、スーパーパワーを封じられたヒロイン、ヒロイン奪還を誓うヲタッキーズ、カルト集団を追う超天才や相棒のカリスマハッカー、敏腕警部などが登場しました。
さらに、性で支配されるカルト集団の女性達の悲哀もサイドストーリー的に描いてみました。
なお、ヲタッキーズ"シーズン1"および"量子シリーズ"最終話です。次作もヲタッキーズと、その世界観は登場しますが、設定が進化スル予定です。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、もはや中央通りを行き交う人々の会話が非日本語であるコトの方が多い?秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。