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はじまりの物語  作者: はあや
本編
63/431

王族としての自覚 ①

新学期が始まる少し前。

シスツィーアが騎士団長とメイド長から、個別に教えられ始めた頃から


アランも新たに母である王妃から、王族としての心構えや人付き合いの方法を学ぶことになった。


「いい?アラン。まず大事なのは、何事にも公平さと公正さを持つことよ」


優雅に微笑みながら、王妃がアランの前に座って1つ1つ教えていく。

そこには息子が健康になり、こうやって自ら教え導くことが出来る喜びが隠しきれてない。


「ああ。うん。兄上もよく言ってたよね?」

「そう。わたくしたちが、誰か特定の人物ばかり贔屓にしていたら、他の人たちは面白くないでしょう?」

「・・・そうだね」


兄ばかりが褒められて、認められて。

確かに面白くなかったし、兄に嫉妬に似た感情を持ったこともあった。


兄と自分の度量の違いを見せつけられて、自分の器の小ささや不甲斐なさや惨めさで泣くことも。


「だから個人的なお付き合いと、大勢の前で王族として振る舞っている時のお付き合いの仕方は、少し変える必要があるわ」

「じゃあ、ツィーアとも?」

「そうなるわね」


むー。っと眉を顰めるアランは、ピンときていない様子だ。



「あなたとシスツィーア嬢の、仲が良いことは聞いているわ。けれど彼女にも、他の方と同じような接し方が必要よ。それに個人的なお付き合いだとしても、節度あるお付き合いが必要だわ」

「側近なのに?」

「だからこそよ。身近な者にはどうしても甘くなってしまうわ。情が移るというのかしら?日頃の人となりを知っているからね。けれど、だからこそ厳しい態度で接することも必要なのよ」


微笑みながらアランを諭す王妃。


『あなたには無理をしてほしくないの』


これまでのそんな雰囲気から


『立場に相応しい威厳と立ち居振る舞いを』


と言う、王子の立場を意識したものへ変わっている。


アランはそれを嬉しく思う反面、期待に応えられるか不安で、王妃へ向ける視線が弱々しいものになる。


「僕にできるかな?」

「できるわ。最初は難しくても、意識していれば自ずと見に付くものよ。レオリードというお手本もいるでしょう?」

「う・・ん。そうだね」


思い浮かぶ兄の顔。

けれど、シスツィーアに対する姿とキアル、オルレンに対する態度は違うとは思えなくて


(あ、でも。ツィーアには、兄上ちょっと違うかも)


キアルたちとは違って、ちょっとだけよそよそしい態度。


仕事の事では話しかけているけれど、個人的な話はした事がないように思う。


あれが側近と、そうでない者への違いなら


(キアルにはわからないけど、オルレンにはどうかな?)


アランも幼い頃からほとんど一緒に育ったキアルへは、従兄弟なこともあって遠慮することはあまりない。キアルもそこまでアランやレオリードへ畏まった態度は取らないから、気にしたことはなかったけれど


(やっぱり、オルレンには違うのかな?)


オルレンはレオリードへ、いつも畏まった態度を取る。

それはアランへも同じだけど、キアルにはどうだろう?


キアルもオルレンには違うのかな?


キアルが『王族』として振る舞う姿をアランは知らない。『王族』としてキアルが行動するときは、どんな風なんだろう? 


そう考えると、アランはみんなの立ち居振る舞いに興味が湧いて。


「ちょっと、意識してみるよ」

「ええ。あなたになら出来るわ」


笑みを深めて、優しく王妃は頷いた。




最後までお読みいただき、ありがとうございます。

次話もご覧いただけると幸いです。

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