余命なんてクソ喰らえだ‼︎
私は、高校三年生。
学校には、たまにしか行かない。
しかも行ったとしても屋上に向かう。
どうせ行ってもさ…。
ハァ…。ハァ…。ハァ…。
息を切らしながら階段を昇る。
「やっと着いたー‼︎」
屋上に上がると明るい太陽の光がさしてき
た。
「あー、いい天気」
ガバッ。
ビクッー⁉︎
誰かいる⁈⁈
「誰だよ…オレの昼寝のじゃまする奴。山頂
じゃねーんだぞ。」
うわー…感じわるー…。
起こしたのは悪いけどさ…。
「あのっ…ごめんなさい。誰もいないと思っ
てつい…」
「ふーん。誰もいないこんなところでなんで
そんなに沢山のお菓子持ってんの?」
私の持っていた袋に目を向ける男子。
つっっ…
恥ずかしい…
まさか一人でいまからこんなに食べるなん
てバレたら…
どうしよう。
なんか言い訳…
チュンチュン
小鳥…
いいところに小鳥‼︎
「あぁ、これね。小鳥さんにお裾分けするの
にさ…その持って来たみたいな?…」
「ふーん。鳥にねぇー。」
疑いの眼差し半端ない…
あーもうっ‼︎
「嘘です‼︎これ今から私一人でたべるんです
よ‼︎文句あります⁉︎」
ふー。言ってやった。
「ぷっ、あははは。食いしん坊だな」
「そうですよ!私は、どうせデブですから。
いいんです。笑ってください。」
「女の子が自分からデブとか言うなよ。せめ
てぽっちゃりさんって言いなよ。」
「えっ…あんまり変わらない…結局太ってる
って事ですよね⁈」
「うーん。ってかさ、やけ食いかなんか?」
「いえ、もうこれは病気です。家だとお母さ
んにみつかるし、ここなら安全だから。」
「ふーん。そっか。で、授業でないの?」
「はい。どうせあと一年だし。」
「あっ、三年生。オレもだ。あと一年なら、
なおさらでないともったいないぞ。」
「あー…その一年じゃなくて余命が一年なん
です。どうせ一年しかないし…」
「えっ…余命って……なんかごめん…」
「いいんです。お構いなく。」
「一年しか…かー…ってかそんな食っていい
のかよ?」
「そこもお構いなく。」
バリッ。
ムシャムシャ
ボリボリ
サクサク
あー、美味しい!
ポカンと口を開けたままその人は、こっち
をみていた。
でも、気にしない。
どうせ死ぬんだから。
「あんたさ、どんな病気か知らないけどそん
なに沢山食べてたら寿命がどんどん縮まる
んじゃねーの」
えっ⁉︎
「なんで⁈どうせ死ぬんだから最後くらい好
きにしたっていいじゃない」
… … …
「ま、それもそうか。じゃーな」
その人は、そう言って屋上を出て行った。
はーぁ…
本当は、私だって…
私だってさ…
…
あれ⁉︎
なんか落ちてる。
学生証。
成瀬 良。
さっきの人成瀬君って言うのか。
仕方なく職員室に向かった。
「失礼しまーす。」
「おう、山川どうだ?体調は?」
げっ…
よりによって話好きの立花先生。
「あー、まあまあです。それよりこれ屋上に
落ちてました。」
学生証を渡し職員室を出ようとしたら、
はじまった…
先生のおしゃべり。
「また成瀬屋上でサボってたんだな。ちょっ
と前まで研究者になるんだって頑張ってた
のに、おふくろさんが亡くなってからすっ
かりやる気無くしたんだよな。」
「え、お母さん亡くなったんですか?」
「うん。先月な。もうすでに手遅れで病気が
わかって一か月足らずでな。」
… … …
「一か月…」
「うん。でもこればっかりはどうしてあげる
事もできないからなー。」
キーンコーンカーンコーン
「おっ、授業始まるぞ。」
「はーい。」
どうせ行かないけど、とりあえず返事をし
ておいた。
そうか…
一か月か。
はっ‼︎
私、さっき一年しか余命ないって成瀬君の
前で…
成瀬君にしたら一年もあるじゃないかって
思ったよな…
ごめんなさい。
成瀬君。
私は、心の中で謝った。
次の日どうしても直接謝りたくてまた屋上
に行ってみた。
今日は、いないんだ…
残念。
それにしても気持ちいい風だなぁ。
このまま風と一緒に飛んで行きたいなぁ。
両手を広げた。
ふわー。
ギューッ。
えっ⁉︎
誰かに抱きしめられてる‼︎
「何⁉︎誰⁇」
「お前、何してんだよ。まだ一年もあるんじ
ゃねーかよ。生きろよ‼︎オレも協力するか
らさ‼︎」
「えっ⁇なんのこと?」
「ん⁉︎」
「あの…⁇」
「え?今両手広げて…その…」
「あー、風が気持ちいいなーって思ってね」
「あ、そうだったんだ。オレの勘違いだ。ご
めん。」
「ううん。ありがとう。助けてくれようとし
たんでしょ?」
「うん…まぁな…。で?今日も食うの?」
「ううん。今日は、たべないよ。あのね、謝
りたくて来たの。昨日はごめんなさい。」
「何が?」
「余命一年しかって言った事。」
「あぁ、もしかして誰かにオレの母親の話聞
いた?」
「う…ん。」
「そっかー。」
「私、少し頑張ってみようかな。色々」
「そっか。頑張れよ」
「で?さっきオレも協力してくれるっておっ
しゃいませんでした?」
「あー…あれは…つい。」
「ついつい協力したくなったのね。ならよろ
しく‼︎」
「おいおい、強引だな…何をよろしくだよ」
「そうだなー。なら、とりあえず授業に二人
ともきちんとでて私は、ダイエットする。
だから成瀬君は、勉強頑張ってよ」
「んー、よくわかんねーけどオレも頑張って
みるか!」
「うん‼︎私二組の山川。よろしく。」
「オレも二組。成瀬。よろしく。」
二人で教室に向かった。
不登校がいきなり二人も登校してきたもん
だからクラスが一瞬ざわついた。
でも、そんなの一瞬だけだ。
思った通りあっという間にクラスに馴染ん
だ。
成瀬君は先生の言う通り勉強がとてもよく
できる。
しかも学年トップの成績じゃん!
私も毎日学校に来るようになり成績も元通
り。
しかも、規則正しい生活だから体重も減っ
てきた。
たまに成瀬君がそんなに痩せて大丈夫か⁈
って心配してくれる。
元が元だから体重も落ちやすいだけなんだ
けどね!
優しいな。
成瀬君。
私達は、よく話すようになった。
毎日が楽しい。
数ヶ月が経ち検診の日
主治医の先生は、驚いた様子だった。
血圧も安定していて体重も減り脂肪がごっ
そり無くなってるって。
病気の進行も進んでないって。
もしかしたら、もっと生きられる可能性大
だと先生がおっしゃってくれた。
でも、寿命が少し延びただけなんだよな…
嬉しいけどなんか複雑。
こんな日は、屋上で空気を吸う。
はー…
「あれ、来てたんだ。」
「うん…」
「なんだよ。元気ないじゃん。具合悪い?」
「ううん…そうじゃないんだけど…ないんだ
けどさ…」
「なんだよ?話くらいなら聞いてやるぞ」
「うん…実は私夢があったんだ。少女漫画描
くの好きでね。しかもハッピーエンド。」
「うん。」
「漫画ってさ、自分の思い通りにお話が描け
るからいいんだよね。そんなハッピーエン
ドの恋したかったなってさ…」
ニコッ。
成瀬君のうつむいた顔をみたら、何故か
無理矢理の笑顔が一気に崩れた…
ポロポロ
なぜだか涙がとまらない…
どうしよう…
「どうしたんだよ?」
「あっ、これは涙じゃないからね。なんだろ、
うんと…これは…ね…あの……」
ギュッ〜。
「うん、、わかったから。もうしゃべんなく
ていいよ。」
成瀬君は優しく私を包み込んで頭を撫でて
くれた。
トントントントン
誰かが屋上に上がってきた。
パッと手を離す成瀬君。
「あっ、見つけた。山川。ちょっと話がある
んだよ。今お取り込み中?」
「ううん。ちょっと勉強教えてもらってただ
け…」
「だめだよ。こんなところで…目太陽の光で
やられちゃうよ?」
「あっ、本当だね。」
ゴシゴシ目を拭った。
「とりあえず保健室行こ」
「うん…」
きっと話って告白じゃないか?
よかったな。山川。
夢が現実になりそうじゃん…
次の日屋上に山川から話があると呼ばれた。
きっと昨日の報告だろう。
祝福してやろう。
山川がやってきた。
「成瀬君‼︎」
「ん?」
「好き‼︎」
えっ⁉︎
「うんぇっ⁈」
思わず変な声を出してしまった。
「ねぇ、聞いてる?私成瀬君が好きなの‼︎」
「あっ…えと、昨日の人は?」
「うん。お断りした。だって私成瀬君が好き
だから。」
…何回オレを好きって言ってくれるんだよ。
照れるじゃねーか。
なら、お返しに少女漫画風に。
一応妹の漫画を読んだ事がある。
山川を優しく抱き寄せて言った。
「ありがとう。オレも好きだよ。」
「う…うん。嬉しい。ハッピーエンドだ」
「エンドじゃ終わっちゃうだろ。オレたちこ
れからはじまるんじゃん⁉︎」
ポロポロ泣き出す山川。
「なんで泣いてるの?」
「うん。嬉しくて。夢が叶って…もう思い残
す事ない。夢叶えてくれて本当ありがとう。
卒業まで生きられたらそれまでお友達とし
てよろしくね。」
「なんで友達なんだよ。付き合わないの?」
「うん。だって必ず別れが来るんだよ?そん
なの成瀬君に申し訳ない…」
「そんな事言うなよ。申し訳ないなら生きろ
よ。」
「無理だよ…」
「無理じゃないと思うよ。一緒に頑張ろう」
「⁇…うん…。」
それから十年後
成瀬君は、お墓の前でお線香を用意した。
もくもくと煙が上がっていく。
この匂いは、嫌いじゃない。
お墓に手を合わせる成瀬君。
「母さん。オレたち結婚します。」
横で私も手を合わせた。
私は、成瀬君が開発した薬のおかげで今も
こうして元気に生きている。




