表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/31

法王猊下と私・3

 それにしても演し物(だしもの)か……。

 私はあの騒ぎをそういうことにして終わらせるつもりはないんだよね。

 とりあえず相手の出方を見ようかな。


「殿下。私の可愛い甥っ子をあのような役回りにするなんて酷いじゃありませんか。

 聖女といっても異世界の娘を次期法王に推挙するような暴漢を演じさせるなど、事情を知らない者たちからすればコックス伯爵家は謀反を疑われてしまいます。

 栄えある聖騎士団団長の家柄として許しがたいことです」


 宰相の腰巾着B。

 ビリー·コックスがいかにも困ったような表情をして言う。

 聖騎士団団長ノア·コックス伯爵の実弟だ。

 成人しても独立せず、無能な兄を丸め込み、留守居役としてコックス伯爵家の主のような振る舞いをしている。


 本来ならそんな無官で爵位もない伯爵家の穀潰(ごくつぶ)しが、私はもちろんアレスティラ様の御前(ごぜん)に許可なく座り、話すことなど許されない。

 この国は身分がものをいう封建社会だからね。

 壁際に立っているアレスティラ様専属の近衛騎士たちや侍従の眉間がピクついている。法王に対して忠実だから無礼な態度にお怒りのようだ。

 だいたい私が、どういったご用件ですか?と言った相手は腰巾着たちじゃないんだけど……。

 それなのに。


「猊下の前ですが、私も言わせていただきます。

 側近を使って、あのような場所で悪趣味ですよ。

 あれではコックス伯爵家だけでなくジョシュア殿のオーリー侯爵家、ルイス殿のハーネット公爵家も謀反者(むほんもの)を出した家と見られます。

 それに私たちを待たせてエンドレス·ルームで何かされていたようですが、あの場所は子供の遊び場所ではありませんよ」


 調子に乗った宰相の腰巾着C。

 ジョシュアの父親オーリー侯爵の従兄弟、ベルクス伯爵だ。

 彼は自分の娘をジョシュアの妻にしたがっている。

 次期法王の側近の妻の父親という……私から見ればあるのかどうか疑わしい権威を得たいのと、侯爵家を継ぐジョシュアからのおこぼれに預かろうとしているのだ。

 しかしティルダに却下されたらしい。格下の同族の娘など、何も得られるものがなく可愛い息子の嫁には不要ということだ。

 まさか、娘がジョシュアに相手にされないのも私のせいにするんじゃないだろうな?


「殿下がジョシュア殿を頼りにしてくださるのは嬉しいのですが、彼の私生活まで縛ってはいけませんよ」


 予想通りの発言、ありがとうございます~。

 ……バカばっか。

 おっと、いかん。

 はい、次の勘違い発言者は誰かな?


 宰相はこちらの様子を見ている。

 ラザラスは苦い顔だ。

 一緒になって私を(なじ)りたいが、養子に出したといっても実の親子。我慢して大人しくしている。

 ラザラスと後継者争いをしているフィリップも黙っている。

 ヴィリジアンというカードがあるせいか、余計な口出しはしないようだ。


 では私から言わせてもらいますよ。


「ねぇ、レンフィールド。法王宮に戻ろう」


 アレスティラ様に出鼻を(くじ)かれた。


「今夜のパーティーの話は私も聞いてるよ。

 だから宰相もレンフィールドの発言の真意について聞きたいから呼んだのかと思ったのに、これでは話にならない。

 きみのことは私に一任されているのだし、きみの立場は私に次ぐもの。

 それも分からない者たちに、これ以上付き合う必要はない」


 そう言って立ち上がり、私の手をとる。

 自然だ。

 なんて、感心している場合じゃない。


「アレスティラ様。それでは私の……」

「ここは私に任せて、きみは先に外に出て少し待っていてくれる?」

「……はい」


 いつになく強引なアレスティラ様に言われて、しぶしぶサロンを出る。

 室内が気になったので盗聴……のスキルはないので、風魔法で聞こうとしたがアレスティラ様の『聖魔法』で遮断されていた。

 突破できないこともないけれど、バレるので止めた。

 護衛の騎士もついているしね。

 それにしても何の話をしているのかな?




「お待たせ。じゃあ帰ろう」


 侍従たちを連れて出てきたアレスティラ様は、またもや自然と私の手をとり恋人繋ぎをして歩き出した。

 遅い時間といえど、宮殿内は人が多い。

 今夜はパーティーを催したから尚更だろう。

 法王宮までの道すがら、色々な人とすれ違う。

 彼らは皆、端により頭を下げる。

 でも視線は感じる。

 アレスティラ様と繋ぐ手に……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ