第一章 ニ話
投稿遅れて申し訳ありません。
「あんたほんとなんで無一文でこんなとこほっつきあるいてんのよまったく・・・」
返す言葉もないとはまさにこのことだ。
いや、ホントは文句だって言いたい。
むしろ文句しかない。
こちとら犬に巻き込まれてこんなとこにいるのだ。
お前のせいだぞバウ
「バウン!!バウン!!」
俺がジッと睨むとバウはよだれを撒き散らしながらこちらを吠えてくる。
「バウン!!バウン!!」
ん?なんとなく吠え方がトゲトゲしいというかいつもより強い気が
ふと気になり後ろを見てみると茂みがほんの少しだけ揺れた
「なんかいるぞ!!」
バウは俺に吠えていたのではなくこの気配に吠えていたのだと気づく
そこにいたのは3匹の狼の群れであった
こちらを威嚇するように睨み付けている
「気をつけて、エンペラーウルフよ」
「エンペラー!?知ってるのかアリス」
「群れで動く狼型の魔物よ」
エンペラー同士が群れで動いちゃダメだろ
名前負け感がすごい
「ところでアリスって戦えるの?」
「無理よ。私回復職だもん。」
なんで回復職が一人でほっつき歩いてるんだ
「色々あるのよ」
ていうかまずい。非常にまずい。
魔物3匹に対してこちらは非戦闘職に庶民に犬だ。
勝てるビジョンがひとつも見えない。
「バウン!!バウン!!」
ああもう威嚇しないのバウちゃん
まったく強気なんだから
「ふぁ〜あ、ねえ私急いでるから早く倒して欲しいんですけど」
こんな状況なのにアリスはあくびなんてしおった
無理に決まってんだろ、こちとら庶民だぞ
「倒すったってどうしようもねえよこんなん」
「え?使い魔に戦って貰えばいいじゃない」
たしかにバウはステータスが高い。
でも犬だぞ?
「お前から見た感じバウは勝てそうなのか?」
「魔力的に余裕でしょ?」
え?そうなの?
「バウいける?」
「バウン!」
おお、どっちだ
微妙な顔をする俺をバウは一瞥し、俺たちを守るかのように一歩前に足を踏み出し、エンペラーウルフと対峙する。
「グルルゥ」
「バウン!!」
バウの体が急に淡く光り出した。
そして、こちらに襲いかかるエンペラーウルフの攻撃をバウは全て回避し、1匹ずつ確実に相手の頸動脈を噛みちぎっていく。
え?バウあほ強くね?
なんか光ってるし、まさかこれが光魔法ってやつ?
めっちゃかっこいいじゃん!まじで交換して!
「バウゥ」
エンペラーウルフを全て倒し終えるとバウの体の光は消え、パタリとその場に倒れた
「おい!大丈夫か!バウ!」
「ちょっと!大丈夫!?」
俺とアリスはすぐにバウのもとに駆け寄る
「バウ〜ン」
よかった、いつも通りのアホ面だ
「これまさか魔力の拒否反応・・・?」
「なんだそれ?」
「人間とかは魔力に適した体をしているから基本起きることはないんだけど、魔力に適していない生物が魔力を使うと体が拒否反応を起こして酷い麻痺を起こしてしまうのよ。
まあそんな生物が魔力を持つこと自体が普通はないからほとんど見られない現象なんだけど、それがなんで今」
そういうことか。
バウは異世界に来るにあたって魔力は与えられたが、犬という生物が元々魔力に適した作りになっていなかったのだろう。
そりゃそうだ、そんなのないとこから来たんだからな。
「これって治るのか?」
「少し時間が経てば麻痺が緩和されて動けると思うけど」
ならよかった。
にしてもそうか、バウはかなり強いが一度魔法を使い動いてしまったらその後は動けなくなってしまうと。
時間的には大体1分くらいだったか。
なんともリスキーな力だ。
「なんにせよまあとりあえずバウは担いで行くとして、街まで急ご・・・って何してんだ?お前」
アリスはエンシェントウルフの死体を漁って何か石のようなものを取り出している
「なにって魔石を取り出してるのよ、あんたお金ないんだから道中の魔石くらいちゃんと取りなさいよね」
おお、ファンタジーっぽいな
「なるほど、ありがとな」
「別にいいわよこれくらい、じゃあ気を付けて行きましょうか。バウちゃんが麻痺しちゃってる今、もしも敵とエンカウントしたらすぐに逃げるわよ?わかった?」
「了解した」
こうして俺たちは再度ロスタリアに向かい始めた
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