次女様のお茶会1
最近電動自転車を買って乗っているのですが、あれはいいものですね。とても楽です。まあ、充電がなくなったらただの重たい自転車になっちゃうので気を付けないとなと思っている今日この頃です。
では、本編どうぞ。
「これは...」
厨房についた綾人が目にしたのはかなりの数のティーセットだった。
「今回のお茶会はこんなに人数がいらっしゃるのですか?」
「ええ、今回は十人ちょっとが来訪予定よ。だからそれなりの数用意したのだけれど他の従者の方々が多忙で、困っちゃってたのよ。だからアヤト君が来てくれてとても嬉しいわ」
十人ちょっとか、今までも何度か他のご令嬢方とお茶会をしているのを見かけたことはあるが、そんなにも多かった覚えはない。何か理由があるのだろうか?
「とにかく、早く運んじゃいましょう」
「あ、はいそうですね」
少し深く考え始めようとした綾人だが、すぐにシスタの声で引き戻された。
まあ、そういう日もあるだろう。
そう簡単に結論付け、綾人はティーセットの配膳を開始した。
「ふう、ありがとう。アヤト君助かったわ」
シスタがにっこりと笑顔を向けてくる。美人の笑顔はいいものだ。
「いえ、今日はずっと暇ですしこのくらい問題ないですよ」
綾人も同じように笑顔で返す。もし、向けた相手がピアであったのなら顔を赤くしていたことだろうが、
「そう言ってくれると気が楽だわ」
と、シスタは何の動揺もなく返答した。
綾人は他の従者達とも結構交流を持っており、勿論侍女達とも仲がいいが綾人の笑顔に対してなんの同様も見せないのはシスタだけである。
だが、綾人はなんだかそれが少し悔しくて、少し笑みを深め、しっかりシスタの目に視線を合わせて話しかける。
「他に手伝うことはありますか?」
「いいえ、もう大丈夫よ。それにそろそろご令嬢方がいらっしゃる時間だしね」
やはりシスタはなんの動揺もなく返答した。綾人は精神耐性的なスキルでも持ってるのかなと思って『鑑定』してみたが別にそういうわけでもないらしい。素で綾人の笑顔に耐性があるようだ。
綾人がそんなシスタに彼氏がいる可能性を考え始めていると。
「シスタ、そろそろ皆が来るわよ」
「ピア様、ええ、分かっております。...じゃあ、アヤト君お手伝いありがとうね」
「あ、はい、では」
そう言って綾人が去ろうとすると、
「あ、待ってアヤト!」
「はい?」
なんの用なのかピアが呼び止めてきた。
「その、あの、ね」
なんだか煮え切らない様子だ。
「どうしました?」
「えっと、その、...お茶会に参加してくれないかしら」
...お茶会に参加?多分従者としてお茶を注いだりしろってことなんだろうけど、それは流石に拘束時間が長いな。お茶会が終わるまで待たなきゃいけなくなるだろうし、いつ終わるのかもわからない。ここは丁重にお断りさせてもらうか。
「えっと、申しわけ...」
と断りを言おうとしたところで、
「お願い!」
ピアに頭を下げられてしまった。
「えっ、ちょっとピア様!?頭を上げてください!」
これには流石に綾人も動揺してしまった。だが、ピアはどうしても参加してほしいのだろう。
「お願い!」
と、頭を上げずに再度頼んでくる。流石にずっとピアに頭を下げさせるわけには行かないので、綾人は大人しく折れた。
「わ、分かりました参加しますから、頭を上げてください」
「ホント!?」
ピアが目をキラキラさせながら顔を上げた。
「え、は、はい」
ピアに押され気味ながら綾人が返事をした。
それにしてもなんでここまで参加させたいのだろうか?
「あの、ピアさ...」
と、理由を聞こうとしたところでまたもや邪魔が入った。
「ピア様~、ご令嬢方が到着されました~」
「今行くわ」
侍女が持ってきた報告により、ピアは出迎えに行くため、すぐに綾人の前から立ち去ってしまった。
残された綾人はなんだか不思議な気持ちでたたずんでおり、隣のシスタも自分の主が頭を下げたのを見て、少し茫然としていた。
「えっと、とりあえずよろしくお願いします?」
「え、あ、そ、そうね。参加することになったんだからアヤト君にもしっかり働いてもらうわよ」
「はい、お任せください」
綾人が声を掛けたことによって正気に戻った。シスタが腕まくりをしながら言うので、綾人も力こぶを作るポーズをしながら答えた。
しかし、この後起こることは流石の綾人も全く予想できていなかった。
綾人は今座っていた。何にって?勿論イスだ。一般的に座るものの代表といったらイスだろう。しかし、今はお茶会中である。本来従者は主の後ろに立って配膳の機会をうかがっているものだが、どうしてか綾人は今座っている。イスに。
「えぇっと...」
綾人を座らせた張本人、いや、はっきり言おう。綾人をお茶会参加者のイスに座らせた張本人であるピアに戸惑いと助けの眼差しを送る。
が、当然座らせたのはピアなので助けなど出るはずもない。
綾人はその分かり切っていた事実に方を落とし。再びご令嬢方の視線をしっかり意識することとなった。
どうしてこうなった。
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レイスト「おやおや、何やら大変そうだのう主殿よ」
綾人 「心配してる風な口調の割には口元がにやけてるぞレイ...」
レイスト「気のせいではないか?」
綾人 「絶対気のせいじゃない」
ミカゲ「気のせいではないですね」




