ゴミ
今年はホントに梅雨なのかっていうくらい雨が降りませんね~。まあ、洗濯物干しやすいから万々歳と思いながら過ごしている今日この頃です。
では、本編どうぞ。
100人近くの人間が倒れ伏している惨状、一見すべて死んでいるかのように見えるが、ちゃんと生きているので安心してほしい。
大半はハッチの近くで倒れており、残りは普通のギルドでいう酒場のような場所で倒れている。おそらく結構な人数が飲んでいたのだろう、酒瓶やジョッキが所狭しと並んでいる。
さて、酒場にて茫然と突っ立ている男が一人、自らが初めて直面した、絶対に勝てないという恐怖に体が凍り付いてしまっている。いままで数々の強敵と戦ってきたし、その分自分も強くなっていくのを感じていた。
だが、今目の前で起こった光景はなんだろうか?確かに敵の動きは捉えられた。だが、捉えられているだけなのだ。自分がその捉えた動きについていくのは100%無理だろう。勝負が始まれば確実に負けるだろう。いや、勝敗などと考えることすらおこがましい。瞬殺、ただの蹂躙となるだろう。
しかし、敵は中々仕掛けてこない。すでに周りにいた仲間たちは全員倒れている。死んでいるのか生きているのかは分からないが、呼吸しているのが確認できるやつもいるので、敵は皆殺しを前提としているわけではないようだ。
もしかしたら、こちらのレベルを知るすべがあって、一応Sランク級である自分に警戒しているのかもしれない。そんなことをしても無駄だというのに。なぜなら警戒していたって自分は絶対に仕掛けないからだ。だが、今はその警戒が吉となっているかもしれない。警戒しているということは、相手も穏便に済ませたい気持ちがあるのではないだろうか。もしそうであれば、そこから交渉の糸口が掴めるかもしれない。
「な、なあ話をしないか?」
ヴィランは凍り付いていた体を何とか動かし、綾人がいるであろう方向を向いて話しかける。相変わらず姿は見えない。
「俺は戦う意思はない、だから、な?話をしよう」
ヴィランは姿の見えぬ敵に必死で訴えかける。
なんか言い始めたぞ。取り巻き全員の首に手刀を叩き込み終わってどうしようかと観察してたらなんかしゃべり始めた。話し合い?......
「ふざけるなよ?」
「ヒェッ」
綾人の冷徹さと怒りを多分に含んだ声にヴィランが思わず小さな悲鳴を上げる。
綾人は冷静さを欠いたのか、その『隠蔽』を切ってその姿を現した。
「こ、子供?」
ヴィランのその驚愕は当然のものであった。裏ギルドは普通の世界では活躍できず、堕ちてきた者たちが集う場所ではあるが、それでもかなりの実力者が揃っている。さっき綾人が簡単に屠った取り巻きの中にも騎士養成学校で優秀な成績を収めていたものやかなりおおきな腕自慢大会で優勝をしたものなど堕ちてはしまったが粒ぞろいな連中だったのだ、それが子供一人にやられていたというのは笑えない話である。
しかし、そんなヴィランの驚愕は気にも留めず、綾人が再び言葉を発する。それには綾人が抑えきれずに出しているさっきが乗っていた。
「話し合いだなんて面白いことを言うじゃないか、お前は自分が今まで何をやってきたか分かっていないのか?何故俺がこうしてお前たちを潰しに来たのか理解できていないのか?」
俺は、レイが口でミカゲの報告をしているとき、『念話』で一緒に裏ギルドの全体像の話を聞いていた。裏ギルドのやっていることはどれも極悪非道なものばかり。ミカゲのような暗殺者を使った暗殺、ミカゲがやられたように売り払うためや優秀な人材として育て上げるための子供の拉致、依頼があれば他にも強盗、虐殺、強姦、テロあらゆる非道をこなしているらしい。勿論そんな裏ギルド討伐のために騎士団も動いたことはあるが、とてつもなく強い人物がいたらしくことごとく全滅、皆殺しだったらしい。今にしてみれば恐らくとてつもなく強い人物というのはこいつのことだろう。そんなやつが話し合い...
「話にならないな」
綾人は簡潔にそう吐き捨てる。そして、その言葉には取り付く島もないことを理解しているのかしていないのか分からないが、ヴィランは慌てて言葉を並べ立てる。
「ま、待ってくれ。お前それだけ強いんだ。こ、こっち側に来ないか?こっちなら自分の利益を自分だけのものにできるし、実入りのいい仕事がすぐに見つかって、お前ならすぐに大金持ちになれる。それだけの強さだ。多分このアジトを嗅ぎ付けた国がお前を送ってきたんだろう?誰かの下で働くのは辛くないか?苦しくないか?でも、こっちに来ればお前は間違いなく最強で、誰にも仕えることなく、むしろお前が従わせる側になれる。な、最高じゃないか?どうだ?こっちに来たくはならないか?このアジトはばれちまったが裏ギルドのアジトは世界中どこでもある。お前なら国にばれたって居場所がなくなることはない。だから...」
言葉を続けようとしたヴィランはその時気づいた。綾人のごみを見る目にもはや綾人には自分が人間として映っていないということに。どこの人間が廃棄物の言葉に耳を傾けるだろうか。いや、それ以前の問題だ。人間はごみが喋っているだなんて考えもしないのだ。
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レイスト「ゴミだな」
綾人 「ああ、ゴミだ」
ミカゲ「ゴミですね」
作者 「この子たちこわひ(^_^;)」




