暗殺の全貌
コロナ禍である今現在ならハロウィンやクリスマスにボッチでも免罪符が出来るなと思った今日この頃です。
では、本編どうぞ。今日会話ばっかりです
「まず最初に、主殿が盗み聞きを行った連中の立場だが、どうやら隣領の領主たちのようだ。イクシルベニア侯爵領の善政は王国中に知れ渡っており、各地から移住してくるものは絶えない」
「それは知っているが、どうしてそれで侯爵を暗殺しようと?」
「イクシルベニア侯爵領に比べて隣領はどちらかと言えば悪政らしい、その為度々イクシルベニア侯爵領に民が流れてきておるようだ。隣領ともなれば遠方から移住するよりも安易に移住出来るからな」
「それで?」
「どんどん減っていく民と税収を見て焦った隣領の領主たちは、苦肉の策でイクシルベニア侯爵領最大の利点である税率の低さを真似した」
「ああ、もう展開読めたわ」
「おそらく主殿の想像通りだ。領主たちは一時税収が下がるのを覚悟で税率を下げ、民が移住してくるのを待ったが、結局ほとんど領の人口は増えなかった。何故なら同レベルの税率で街が発展している、暮らしやすい、商売も盛んなイクシルベニア侯爵領には勝てるわけが無かったからだ」
「隣領が小さな光を発したところでイクシルベニアの大光があるから民の目に隣領の光は映らなかったということだな」
「そういうことだ。そのせいで更に税収が減り、また税率を戻すことにしたが、それは逆に悪評を呼んだ。それにより、また民は流れ更に税収が減るという悪循環に陥ったようだ。現在そうとうな財政難らしい」
「税率を下げても評判は変わらないのに元に戻す、もとい上げると評判が落ちるのか。悲しいものだな」
「領主たちがイクシルベニア侯爵の暗殺を目論んだのは以上が理由だ」
「なるほどな、でも侯爵を殺したところで何も変わらなくないか?長男のチェルトが家督を継ぐだろう?彼はかなり優秀なようだぞ」
「どうやら娘を嫁がせるつもりだったようだ。その婚姻による繋がりで資金援助を要求し、娘に侯爵領の財政に手を出させ侯爵領の評価を少し下げるつもりだったらしい」
「何てハチャメチャな事を考えるんだか...そもそもチェルトがその嫁がせるつもりの娘と結婚するかもわからないのに...」
「財政難と言ったが本当に潰れる寸前らしい。そんな状況になるまで対策をしなかった愚か者どもが焦って正常な判断が出来なくなっておるのだ仕方なかろう」
「そういうもんかね」
「そういうものだ。さて次だが、領主たちが暗殺を依頼した組織についてだ。そこの娘が所属しているのはどうやら裏ギルドと呼ばれるものらしい」
「裏ギルドとはまた面白い名前が出てくるものだな」
「活動内容については面白味の欠片も無かったがな。公にして依頼することのできない依頼を取り扱っている組織のようだ。ギルドとは言うが制度的には根本的に違うところがあり、組員が受ける依頼を自身で選び、決めるのではなく組織の上層部が適した人材に依頼を割り当てるらしい」
「つまりこいつは暗殺に適しているとされてここに送り込まれたわけか」
「そういうことだな」
「で、こいつに関する情報は?」
「ああ、この娘は組員の一人に拾われた孤児だったらしい。見てくれが良かったから育てて性奴隷にしようと考えていたようだが、能力を鑑定してみると隠密に特化したスキルやジョブで埋め尽くされていたそうだ。主殿もこの娘が潜んでいる時は気配が希薄に感じられただろう?」
「ああ、だがそういうスキルを使えばなるんじゃないのか?」
「この娘のレベルは132だ。主殿と比べれば雲泥の差だろう?それだけレベル差があると隠密系のスキルを使ってもほとんど効果がないのだ。だが、この娘は複数の隠密系スキルとそれを補正するジョブを持っていた。『暗殺者』を持っているのが一番だろうがな」
「何だそれ?俺が知らないジョブだな」
「それは適正が無いからだろう」
「適正?」
「まさか適正も知らないのか?主殿は...適正というのは個人によって取得できるジョブやスキルに差があることを差す。取得できないジョブやスキルがあればそれは適正が無いということだ」
「へぇー知らなんだ」
「話を戻すぞ。この娘はその隠密に特化した能力を発見されたが故に、裏ギルドで使うため教育を受けた。そしてつい最近その教育が終わったらしい」
「教育なんてものもやってるのか熱心なことだな」
「そして教育が終わり、実践に投入されたのが...」
「今日なのか?」
「そういうことだ。つまりその娘はまだ人を殺していない。引き返せる位置にある」
レイストの報告はこれで終わりだった。
「引き返せる位置ね...」
綾人は逃げることを諦め座り込んでしまった少女に目を向ける。
「よし、今のお前への信頼度はゼロだ」
「え?今の報告で、ですか?」
少女が呆けた声を上げる。
「ああ、そうだ」
「でも私は貴方に阻止されなければ本当に侯爵様を殺すつもりでしたよ?」
綾人の訳の分からない判断に少女は余計なことを言う。本当は言わなくてもいい事であるはずなのに。
「なあ、お前は好きで殺しをしようとしたのか?」
綾人の声音は静かだった。その声音から少女はこれが最終確認なのだと覚った。
「わ、私は、私は...人殺しなんて、したく、ないです...」
かすかな声だった。だが彼女の言葉は間違いなく切実なものだった。
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レイスト「喉が渇いた」
綾人 「ずっと喋ってたからな。ていうか喉渇くのかよ」
レイスト「気分的な問題だ」
綾人 「...ほら水だ」
レイスト「謎空間から引っ張り出してきた水を飲めと?」
綾人 「別に有害なものなんて入ってねえよ。...(ごくっ)ほらな、何ともない。いいから飲め」
レイスト「これは...間接キスというものになるのでは...」
綾人 「はあ?そんなこと気にするたまかよ?」
レイスト「なっ、妾だって乙女なのだぞ!」
綾人 「へぇへぇ」
レイスト「何だその返事はー!」




