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あっ、これ最強だわ  作者: 白銀次
第二章 イクシルベニア侯爵領
51/76

密談(笑)

 投稿頻度を変更しました。日曜日から土曜日までを一週間と定義し、もう一方の作品と一週間ごとの更新となります。本当は先週がこの作品の投稿週だったのですが、完全に一週間投稿しなかったので今日から一週間の更新となります。どうにもモチベが上がらなくて申し訳ありません。


 最近規模の大きい台風が結構来ていて日々震えながら生きている今日この頃です。(盛った)


 では、本編どうぞ。

 「例の件、どうなっている?」


 大衆食堂の片隅で、周りの喧騒に意を介さず、二人の男が怪しげな話をしていた。


 「順調に事は運んでいる。すでに依頼も取り付けて、今週中には結果が出るだろう」


 「ククク、そうか、ようやくか」


 一応周りには聞こえないように気を使っているのか、男は噛み殺した声で笑う


 「しかし、何故この場所を選んだのだ?もしも誰かに聞かれたら...」


 「どうやら俺達の行動に勘付いている者もいるようだ。だからあからさまに怪しげな所で会うのは更に警戒されるかもしれない」


 「だから、こんな場所で...他にも場所はあっただろうに」


 「安心しろ、気付かれないレベルではあるが防音の結界を張ってある。相当の地獄耳か、Sランク級以上の冒険者でなければこの防音結界を突破して俺達の会話を盗み聞きすることは不可能だ」


 「とはいえ、地獄耳かSランク級以上の冒険者には聞こえるのだろう?」


 事がそれほど重大なことのようで、一方の男は相当慎重になっているようだ。


 「慎重だなお前は、まあ、それくらいでなければ手は組まなかったが。案ずるな、だからこその大衆食堂だ。バー何かであれば密談するためや、情報収集で来る者もいるだろうが、大衆食堂はそうではない。ここに来る者の目的は飲み食いをすることだ。ただでさえ食事に意識を割いているというのに、この喧騒の中から防音結界を破ってまで俺達に意識を移すだろうか」


 「ふっ、お前も人の事を言えぬではないか」


 「当然だ。何も考えずにこんな()()の食事処に来るわけが無いだろう」


 二人の男は怪し気に笑い合う。


 「では吉報を心待ちしておくことにしよう」


 「ああ、そうだな」


 「大人しく死んでくれよ。()()()()()()()()()


 男のその言葉を最後に二人はそれ以上会話をすることなく、何事も無かったかのように大衆食堂を出ていった。


 今の会話が自らの予想とは裏腹に傍聴されていたとも知らずに。




 (危険因子だな)


 綾人は大衆食堂から出ていく二人の男に目を向けながら心の中でそうつぶやいた。


 「アヤト、どうかしたの?」


 ベルにとってはあらぬ方向に目を向けていた綾人にベルが声を掛ける。


 「いや、何でもない。それより、そろそろ料理が来るんじゃないか?」


 「そうね、楽しみだわ」


 ベルの声は弾んだ調子で、とても楽しみにしているのだろう。


 (これを壊そうというのであれば、こちらも本気で潰しに行こう。レイスト)


 「はあ」


 (何だ?呼んだ瞬間に溜息付きやがって)


 「いや、主殿が何を言うのか理解したから少しな」


 (そうか、分かっているのなら話が速い。頼むぞ)


 「承知した」


 レイストがそう言うと、レイストの気配が綾人の影の中からも完全に消失した。


 (さて、おそらく今週中に暗殺者が来るのだろう。いつも気は張っているが、暗殺者が来るまでは寝ている時の警戒を強化しないとな。最悪この体は数日睡眠をとらなくても万全の状態で動けるようだし)


 綾人は目の前で楽しそうに談笑しているルナとベルを眺めながら、暗殺者撃退の算段を立てていた。




 「美味しかったですねー」


 「ねー」


 大衆食堂を出て、馬車に向かっている途中、満足そうにベルとルナが笑っている。


 「そうだな」


 そんな二人に対して、綾人は今だ思案顔をしていた。


 「アヤトどうしたの?先程から少し様子がおかしいように感じるのだけど」


 「いや、気にしないでくれ。スズが気にすることじゃ無い」


 「そう、ですか。何か困っていることがあったら言ってね?」


 「そうだよ!アヤトくん!」


 「ああ、ありがとう。だが、これは護衛である俺の問題だ」


 「そう、貴方が大丈夫だというのなら私は構わないけど」


 「大丈夫だ。心配してくれてありがとう。さ、帰ろう」


 話しているうちに馬車に着いたので、綾人が先に乗り込み、綾人に手を引かれて、女子二人が乗り込む。


 「しかし、庶民の食事というのも良いものですね」


 侯爵家の馬車とは比べ物にならないがそこそこ座り心地のいい座席に腰を落ち着け、ベルが話し始める。


 「それは良かったな」


 「少々濃い味付けですが、たまに家で出る薄味の料理よりもおいしいです」


 貴族家では料理の組み合わせが考えられた物が出されるため、まだ子供舌のベルには薄味の料理があまりおいしいとは思えないのだろう。


 貴族の料理とは正反対に大衆食堂などで出る料理は、定食などでなければ単品で一度の食事が完結するため、大概が濃い味付けになっている。


 「うん、侯爵家で出される食事もおいしいけど、私はやっぱりこういう食事の方がおいしいし落ち着くなぁ」


 「そういえば貴方達も庶民だったわね」


 ベルがはっ、と思い出したように言う。


 「いや、何で忘れてるんだよ。士官しているんだし、それだけで十分庶民だろ」


 「いえ、貴族家でも次の領主になる長男や、もしも長男に何かあった時のための次男を除いて他の貴族家に仕官するケースは数多くあるわよ」


 「ん、そうなのか?」


 「ええ、まあ子息であれば他家に仕官するよりも騎士団に所属することの方が多いけど、令嬢はその限りではないわ。そもそも、わざわざ庶民から面接して、素性を調べて、慎重に雇用するよりも、貴族の子息令嬢であれば生い立ちも人柄も情報を集めようと思えばすぐに集められて、初めから礼儀作法をしつけられているから教育する必要もなく、ほとんどの者が見目麗しい」


 「なるほどな」


 「分かってくれたかしら?」


 「ああ、よく分かったよ。子息令嬢を雇用する利便性と庶民を雇用するデメリットを完全に無視して俺達を雇用したお嬢のヤバさも」


 「仕方がないでしょう。他国にまで行って見つからなくてかなり切羽詰まっていた状況だったんだから」


 「ああ、そうだな。仕方ない仕方ない」


 「全く心が籠っていないのだけど」


 完全に棒読みな綾人に少しイラっと来たのかベルが口角を引くつかせている。


 「まあまあ、二人とも落ち着いて」


 ルナが一応仲裁に入った。別に放っておいてもこれ以上綾人はベルを煽るつもりは無かったし、ベルも本気で怒るつもりは無いので形だけの仲裁だ。


 「大衆食堂に行く前の馬車でも言ったけれど、アヤトにはもうちょっと忠誠心を持ってほしいものだわ」


 「大衆食堂に行く前の馬車でも言ったが俺にそんな物を求めるな」


 「そうね、実力は十分なのは分かっているから、ちゃんと守ってよ?」


 「愚問だ」


 何故なら綾人は現在進行形でベルを守るための計画を練っているのだから。

 ブックマークや評価、感想をしていただけると作者のモチベに繋がります。してやってもいいだろうという方は是非お願いします。


 誤字報告大変助かっております。してくださった方ありがとうございます。


レイスト「主殿は順応が速いな」


 綾人 「順応?」


レイスト「ああ、主殿の様子から見るにレベルアップは短期間で相当上がっているのだろう?」


 綾人 「まあ、そうだな」


レイスト「レベルアップではスキル強化やジョブ強化はもちろんだが、基礎能力を上げる効果がある。腕力、脚力、瞬発力、五感でさえもレベルアップにより強化される。だから突然それら全てが急激に向上してみろ。自分の体が思うように動かせなくなるだろうよ」


 綾人 「それが今の俺の状態ってことか...あいつがバランサーか何かを付けたのかもな」


レイスト「あいつ?」


 綾人 「いや、何でもない」

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