日常パート?3
50話まで毎日投稿すると言ったな、あれは嘘だ!...ごめんなさい。今日のはちょっと長いので許してください。といっても800文字くらいですが。
最近人気のFALL GUYSっていうゲーム面白いですよね。...やったことないけど。でもキャラが可愛いから好き。
では、本編どうぞ。
「で、お嬢、どこに食べに行くんだ?」
「街の大衆食堂に行こうと思っているわ」
「大衆食堂?」
「ええ、庶民の食事を食べてみたいと思ってね」
「ああ、だから今若干地味な恰好をしているのか」
ベルは今、いつもの貴族の装いとは違い、地味な恰好をしている。しかし、地味とは言っても貴族の装いとしてはだ。平民からすれば十分に裕福な家庭の者に見えるだろう。
「アヤト、女の子に地味だなんて言うものではないわよ」
「ん?そうか、すまない」
ベルが綾人の失礼な発言を咎めるが、綾人は全く気にする様子が無い。
「そうだよアヤトくん!女の子にそんなこと言っちゃ駄目だよ!」
「そうか、そうだよな。女の子に地味だなんて失礼だよな」
「...はあ、アヤトにはもっと忠誠心というものを持ってほしいわね」
ルナとの対応の差にベルは思わずため息を付いた。
「俺にそんな物を求めるなよ。賃金に対して正当な対価を支払っているだけだ。ん?普通は逆か?」
「はあ、仮にも従者なのだからそういう考えはやめて欲しいのだけど。他の貴族家であれば打ち首ものよ?」
「おー、怖い怖い」
「はあ、従者の護衛というより傭兵の護衛を雇っているようだわ...」
ベルの三度目の溜息と愚痴によりその会話は締めくくられた。
暫く馬車に揺られていると、
「お嬢様、付きましたよ」
と御者が声を掛けてきた。
「しっ、あまり大きな声で言わないで頂戴。ばれたら我が家の家格に関わるのですから」
「も、申し訳ございません」
ベルが大衆食堂に行くのは完全にお忍びだ。そのためにわざわざ地味目の服に着替えたり、途中で普通の馬車に乗り換えたりしたのだ。貴族が庶民の営む大衆食堂に行くのはあまり外聞のいいものではない。貴族はいつも食べている美味しい食材たちを食べるより、庶民の料理を食べる方が難しいのだ。
「アヤト達もここからは私を偽名で呼びなさい」
「分かった。が、偽名って?」
「......」
「まさか考えずにそんな事を口走ったのか?」
「そ、その今日いろんなところを周っている間に考えておこうと思ったのだけど...」
「あー、そういうことね...じゃあ、スズってのはどうだ?」
「スズですか?」
綾人にとってはベルという名前を楽器の方で捉えて日本語にしただけの安直な名前だ。だがこちらの人間は英語も日本語も分からない。
「気に入らないか?」
「いえ、いいと思うわ。それで行きましょう。ルナじゃ敬称も敬語も気を付けてね」
「はい!じゃなくて、うん!分かったよスズちゃん」
「では、行くわよ」
ベルのその声と共に、綾人達は馬車を降り、大衆食堂に向かった。
「ほぉー流石に大衆食堂というだけあって賑わっているな」
大衆食堂の中に入ると、そこは大勢の人で賑わっていた。
「早く席に座りましょう。今は晩御飯には少し早い時間ですが、ピークになるとすぐにいっぱいになってしまうかもしれないわ」
「それもそうだな」
綾人達は適当に空いている席を見つけて座る。席にはメニュー表が置いてあり、忙しそうにしている店員に直接頼むタイプだろう。まあ、券売機なんてあるはずもないので当然だ。
ベルがメニュー表を手に取り、パラパラとめくっている。
「あの、アヤト、コース料理はないのでしょうか?」
「へ?あるわけないだろ」
あまりにも予想外の質問に思わず強く否定してしまった。だが、ベルの常識と自分の常識が違うことに思い至り、言い直した。
「すまない、言い方が強かった。こういう庶民が営む店では普通単品単品で頼むものなんだよ。コース料理を出す店は無いことは無いだろうが、結構少ないと思うぞ」
「へーそうなのね。...あなた記憶を失っている割には詳しいのね」
「あ、い、いや、それはあれだよ、粗方の常識は覚えているというかなんと言うか」
「都合のいい記憶だけ残っているものですね」
ベルがジト目で綾人を見ている。綾人がどう誤魔化そうか考えていると、
「おいおい、ガキども!なぁにいっちょ前にこんな所で談笑してるんだぁ?」
神経を逆なでるような声とフレーズが綾人の後ろから飛んできた。
綾人はすぐに頭を正常に戻し、声の主に目を向ける。
「何だ?何か文句があるのかおっさん」
目を向けた先には冒険者の恰好をしたおっさんがいた。しかもかなり酔っているようで、息をするたびに酒にまみれた臭気が漂ってくる。
「あぁん!口答えする気かガキがぁ!」
酔っているからか、それとも他に別の理由があるのかおっさんはかなりあれているようだ。
「おっさん、ちょっと酔いを冷ましてきたらどうだ。口が酒臭くてかなわねえよ」
綾人は熱くなっているおっさんに反して冷静に受け答えする。
「ちょっと、アヤトそんな煽るようなこと言わなくても...」
綾人は普通に受け答えしていたつもりだったのだが他人から見れば煽っているように聞こえるらしい。
「てめぇ、痛い目見たいらしいなぁ!」
ここで、周りが異変に気付き始めた。
「おい、あれ、Bランクの...」
「ああ、ボルグだな。今日討伐クエスト失敗したらしくて冒険者ギルドでも相当荒れてたぞ」
「うわっ、しかも酒まで入ってるのかよ。あの子供ただじゃすまないかもな」
「誰か止めろよ」
「勝てるわけねえだろ。仮にもBランクだぞ」
皆相変わらず傍観者を決め込むようだ。だが、綾人も一々そんなことで落胆することはない。いているだけ無駄なのだから。
「てめぇちょっと表に出ろよ」
「断る。俺に何のメリットも無いし付き合ってやる義理も無い」
ボルグは完全にやる気のようだが、綾人は極めて冷静に対応する。
「アヤト、荒事は...」
「大丈夫だ。心配ない」
ベルが懸念しているようなことは絶対に起こさない。何故なら綾人は、動かずとも対処できるから。
「舐めてんじゃねぇぞ!ガキが!だったら今ここで、痛い目見せてやるよ!」
「失せろ」
一言だけ、綾人は一言だけ放った。何の意味も無いように思える一言。だが、それには絶大な効果があった。
綾人に殴りかかろうとしたボルグが動きを止めた。そして、膝が笑いだし、しまいには地べたに座り込んだ。
「二度は言わないぞ。とっととしろ」
綾人の声が耳に届いたボルグは、すぐに立ち上がり一目散に食堂から出ていった。
「なん、だ?」
「何がおこったんだ?」
観衆がざわめきだす。
「ボルグの気まぐれか?」
「いや、もう完全に殴る態勢に入ってただろ」
「じゃあ、あの子供が何かしたって言うのか?」
「状況的にはそう考えるしか...」
綾人にとってはもう慣れたものだ。全てに耳を貸していてはきりがない。
「アヤト、あなた何をしたの?」
「別に、人と人には絶対に超えられない壁があるということだ」
「...そう」
勿論ベルに納得した様子はない。
「さっ、頼むもの決めようぜ。腹が減ってるんだ」
観衆のざわめきは無視して綾人はメニュー表に目を向けた。
「そうね」
ベルも諦めたようにメニュー表に目を移す。
最後の一人であるルナは綾人をキラキラした眼差しで見つめていた。
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レイスト「さっきの男の撃退のしかた、見事だったな」
綾人 「そうか?」
レイスト「ああ、声に『威圧』のスキルを乗せて対象である単体にのみ効力を発揮させる。高度なことをするものだ」
綾人 「まあ、あの場で普通に『威圧』なんて使ったら酷い惨状になるのは目に見えているからな」
レイスト「ククク、それはそうだろう。大勢が失神、耐えられたとしても体はほぼ動かんだろうな。あの時動けたボグルとやらに称賛を送りたいわ」
綾人 「なんだかそう言われると癪だな。もっと加減せずに放てばよかった」
レイスト「やめておけ、下手したら死ぬぞ」
綾人 「え!『威圧』で人死ぬの!?」
レイスト「実力差があまりにも開いていればショック死することがあるぞ。ちなみに主殿とあの男とであれば十分だな」
綾人 「うわ、こわ...」




