ドキワク冒険者ギルド
実はこれ書いたの三回目です。二回エラーが出まして。
原因はログインしてませんでした。(泣)萎えちゃってもう泣きそうになったんですけど
この作品のトップをみたら初のブックマークがついていたので立ち直れました。本当にありがとうございます。これからもご期待に添えるように頑張って書かせていただきます。
よし、冒険者ギルドに行こう!
俺は今めちゃくちゃワクワクしている。だって冒険者ギルドだよ!ファンタジーの代名詞の一つである冒険者ギルドだよ!街道を歩いててもモンスターの一匹すら出て来ない!折角転生してきたのにワクワクが全くないんだよ!
というわけで、
「すいませーん、冒険者ギルドに行きたいんですけどー」
相変わらずの吹き出しそうな子供モードで優しそうなおばあちゃんに道を尋ねる。・・・見た目通りの優しいおばあちゃんは丁寧に道を教えてくれた。
冒険者ギルドまでの道のりを早足で歩く。
いや、一応説明しておくが冒険者ギルドに行くことだけが目的じゃないからね!まあ八割の理由はそれなんだけど。一割は門番のおっちゃんが言ってた身分証明が出来るものであろう、ギルドカードを発行することなんだよ。残りの一割は期待でしかないんだけど・・・
「ここが冒険者ギルドか」
周りの建物に比べて一際大きい建物。
ふー、入るか。一割の期待とともにドアに近付く。
勢いよくドアを開ける。冒険者たちの視線が一斉にこちらを向く。ここまでは計画通りだ。さて、この中で俺の期待に応えてくれる人はいるのか。
「おいおい!ここはお前みたいなガキが来るところじゃないぜ!」
嘲笑を浮かべながらまさに筋骨隆々といった感じの男が近付いてくる。
(きたー!!!一割きたー!!!)
ドキドキワクワク中、略してドキワク中の内心を悟られないようにこちらも嘲笑を浮かべて冷たい声で言い返す。
「そりゃあただのガキだったら来ないだろうが、ただのガキじゃないから来てるんだろう。そんなことも分からないのか?」
「ああん!なめてんのか!てめぇ!」
「ああ、ああ、沸点が低いねえ。これだからバカは嫌なんだ。耳障りだ。失せろ」
「調子乗ってんじゃねえぞ!クソガキが!」
男が拳を振り上げてこちらに向かってくる。
ちなみに俺はこいつが近付いて来る時に心の中で密かに『鑑定』を行使していた。その結果としてこいつのレベルは152だった。現在俺のレベルは175、つまり俺の方が強いということだ。いや、そもそもこいつが俺より強かったら喧嘩なんて売ってないしね。自分よりも強い相手に喧嘩売ってボコられても楽しくないじゃん。
周りから男性の声でおい!やめろ!とか女性の声できゃああ!やめて!という声が聞こえてくるが男の耳には全く届いていないようだ。俺的には声出す前に体張れって思うんだけどね。まあそれはしょうがないか。皆自分が傷付くのは嫌だもんね。俺だって嫌だもん。え、今まさに傷付きそうじゃないかって?大丈夫、絶対当たらないって確信してるから。
そんなことを考えているうちに男が拳を振り下ろそうとしている。というかさっきから動体視力が上がっているせいか男の動きがスローモーションのように見える。男の攻撃はただ相手を殴るだけの豪快なフルスイング。懐ががら空きだ。
元々の俺だったら躱すことすら出来なかっただろう。だが今は違う。体は小柄で身体能力も桁違いだ。
男の拳が段々と迫ってくる。並みの子供だったら即死だぞ。
まあ並みの子供じゃないからいいんだけどね。そもそもまともに受け止めてやるつもりもないし。
男の拳が当たる前に男の懐に飛び込み鳩尾に一発叩き込む。
「ぐはっ!?」
男は何が起こったのか理解できず、苦鳴を漏らして気絶した。
周りがしーんと静まり返る。俺はそんなことは意に介さず入り口正面奥のカウンターに歩いていく。
「ギルド登録をお願いします」
「え、あ、は、はい」
たじろぎながらも何とか応答した受付嬢。
その受付嬢の応答がギルド内に響き渡った瞬間堰を切ったようにギルド内がざわめき立った。
ちょっとざわめきに耳を傾ける。
「あいつCランクのドガンを倒したぞ」 「一撃だったな」 「全く見えなかった」
「ドガンってレベル150超えてたよな」 「あの子供何者だ」
俺が倒した奴はそこそこ有名人だったようだな。
少し情報を集めてから意識を受付嬢に向ける。
「登録料は銀貨5枚です」
「はい」
ポケットから出す振りをしてアイテムボックスから銀貨を取り出す。
「銀貨5枚確かに頂きました」
日本でもよく聞く定型文だな。
「では、この水晶玉に触れてください」
門番のおっちゃんが持って来たやつと似てるな。というか水晶玉だから見た目はほぼ同じか。
水晶玉に触れるとステータスが浮かび上がった。
一瞬びっくりしたがちゃんと偽装されたものだった。
「えーと、『偽装』スキル持ちの方ですか。規則により偽装されたステータスは認証できませんので、『偽装』スキルの解除をお願いします」
まあそうだよねー。あんなの見せられた後にこのステータスはおかしいと思うよね。でもちゃんと言い訳は考えてある。
「え、『偽装』スキルなんて持ってませんよ」
とりあえずすっとぼける。勿論これで「はいわかりました」とかいわれるなんて思ってはいない。
「いや、でもこのステータスでドガンさんを倒すのは・・・」
「いやいや、あの人の体重と突進力が乗ったパンチが人体の弱点に入ったんですよ?ああなって当然でしょう?」
「そ、それはそうかもしれませんが、でも・・・」
納得できないといった様子だ。まあ当然だろう。今ので威力は説明できたとしても、あのスピードは説明出来ていない。だが、受付嬢も全てを見ていた訳じゃない。そもそもここは日本ではない。ある程度筋の通った言い訳をすればあとは、
「僕が『偽装』スキルを持っているという証拠があるんですか?」
そうここは日本ではない。防犯カメラなんてあるはずもなく、ステータスはウィンドウの中だ物的証拠だってある訳がない。
「うっ、いや、それは」
「ギルド登録をお願いします」
満面の笑みでゴリ押すのだった。